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2013年10月11日(金)長谷川 幸洋 現代ビジネス
野党再編をめぐる駆け引きが活発化している。
9日夜には、民主党の細野豪志前幹事長、日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長、みんなの党の江田憲司前幹事長らが新党結成も視野に会合を開いた。
会合には3党所属の議員らのほか、みんなの党を追われて無所属になった柿沢未途衆院議員も参加している。
一方、みんなの党は10日、両院議員総会を開いて「新党ではなく政党ブロックによる政界再編をめざす」という方針を機関決定した。渡辺喜美代表は江田たちの新党構想を力づくで封じ込める姿勢だ。渡辺と江田の対立は、もはや抜き差しならない段階まで深刻化している。
こうした動きをどう評価したらいいか。
■今の日本にはどんな野党がふさわしいのか
先の参院選で自民党が圧勝し、衆参両院のねじれ状態が解消した中、野党がどう存在感を示していくか。この「野党問題」は当の野党議員だけでなく、多くの国民が気にかけている。
政権与党がなんでも勝手に決められる政治よりは、与野党が互いに政策を競い合っていく姿のほうが健全である。だから、なんとか野党にはがんばってほしい。
そんな期待を前提にしたうえで、では、どんな野党が望ましいか。永田町の政争をひとまず離れて、国民の側から考えてみると、大事なのはやはり政策である。数はもちろん重要だが、数さえあればいいのかといえば、そうはいかない。
それは、いまの民主党をみればあきらかだ。
民主党は一度は多数派を形成して政権奪取に成功しながら、昨年末の総選挙、7月の参院選で国民の支持を得られず、大敗北を喫した。
いまや「流れ解散しかないのではないか」と思われるほどだ。
なぜ、民主党は負けたのか。
私は、民主党が安倍晋三政権のアベノミクスに対抗できる経済政策を打ち出せなかったからだ、と考えている。
参院選では憲法改正や原発、環太平洋連携協定(TPP)問題など多くの争点があったが、有権者がもっとも切実に問うたのは景気回復への方策だった。
15年にわたるデフレを脱却し、日本を再び成長軌道に戻せるのは、どの政党か。
民主党は子ども手当や高校授業料無償化、農家への戸別所得補償を掲げた。これを一言で言えば、税金を原資に「政府による所得再配分で成長を」という政策である。
■国民は所得再配分ではなく成長路線を選んだ
これに対して、安倍政権はアベノミクス、とりわけ大胆な金融緩和でデフレを克服し、規制改革で自由な企業活動を応援する政策を用意した。
国民の多数が選んだのは、所得再配分政策ではなく、活発な企業活動をエンジンにした成長路線だった。
民主党内にも成長を重視する議員はいる。だが、多数派ではない。
労働組合の支援を受けている議員は当然ながら、公正な所得再配分を重視している。成長か再配分かという対立軸は、必ずしもマスコミの世界では明確に報じられなかったが、国民は直感で理解していたのではないか。
日本共産党の躍進は、その証明である。
共産党は資本家と労働階級の階級対立が歴史の原動力と考え、公正な所得再配分の実現こそが政治の大義と考えている。公正な再配分を最優先で求める国民は、あいまいさが残る民主党より共産党を選んだのだ。
そう考えれば、いまの野党再編論議についても、まず「成長をどう考えるのか」と問いたい。
とりわけ細野前幹事長は先の参院選で民主党政策をまとめた責任者の1人である。細野が民主党公約のように、成長より再配分重視であるなら、おそらく成長重視の江田たちとは路線がズレてくるだろう。
それから憲法問題である。それは安全保障問題と裏腹だ。
なぜ憲法と安保かといえば、安倍政権が憲法改正と集団的自衛権の見直しを真正面から言っているからだ。
自分たちのライバルになる政権政党が重要課題に掲げているのに、そこから目をそむけていては、国民から見て、野党の役割を果たしていることにはならない。
■憲法・原発・エネルギーを新野党はどうするのか
憲法改正や集団的自衛権の見直しに反対ならもちろん、仮に賛成であったとしても、自分たちの立場をはっきりと示すべきだ。
それに原発とエネルギー問題もある。安倍政権は原発再稼働に熱心だ。では、再編で誕生するかもしれない新党はどうするのか。そこも知りたい。
新党を視野に入れる野党議員たちは、たとえば社会保障制度改革や地域主権の問題を入り口に勉強を重ねようとしているようだ。それは、もちろん大事な問題である。
だが、もしも「話し合いはまず一致できる部分から」と考えているのだとすると、ちょっと違うのではないか。
私は「一致できない部分はどこにあるのか、それをどうするか」という難問にこそ、真っ先に取り組んでもらいたいと思う。
一致できない部分が、もしも「成長か再配分か」をめぐる経済政策や憲法、原発のような重要課題であるなら、なおさらだ。
一致できない重要政策の合意を先送りして、一致できる政策だけで合流したとしても、合流した瞬間に、マスコミや国民は必ず「重要政策の合意はどうなったのか」と問いただす。
政権側が明確な政策課題に掲げているのだから、野党側に党としての見解を問うのは当然である。そこにあいまいな部分があれば「やっぱり」となるだろう。
そんな展開は、東西の政治勢力が合流した日本維新の会で経験済みだ。
■日本維新の会とみんなの党の合流がご破算になったのは残念
野党議員たちが党の所属を超えて幅広く野党のあり方や再編論議をするのは賛成である。重要政策で一致できるかもしれないし、できないかもしれない。
それは話をしてみなければ分からない。
振り返れば残念だったのは、ほとんどの政策で一致していながら、ご破算になった日本維新の会とみんなの党の合流話だ。新党結成に至る主導権争いが背景にあったのかもしれないが、多くの国民は政策を中心に、どういう政党を支持しようか、と考える。
主導権がどうだとかは、二の次だ。
マスコミは主導権争いの話が大好きだが、政治家はそもそも国民の代理人である。
普通の国民からみれば、代理人同士の内輪もめよりも「代理人が何をしてくれるのか」のほうが、よほど肝心なのだ。いま注目を集める野党政治家たちも「国民は野党に何を期待しているか」を基本に据えて行動してほしい。(文中敬称略)
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