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2013/10/9 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
きのう(8日)閉幕したAPEC首脳会議。欠席したオバマ米大統領に代わって、記念撮影で前列中央部に立ったのは中国の習近平国家主席だった。
これはシンボリックな出来事だ。ホスト国インドネシアの英字紙は「今回のAPEC首脳会議により、21世紀のアジア太平洋地域のリーダーが米国ではなく中国だと確認された」と書いたほどだ。
実際、米国債のデフォルト危機で大統領が首脳会議に来られないなんて、大国のメンツ丸潰れだ。米国のアジアでの存在感は確実に薄れつつある。米国ベッタリ、中国嫌いの日本もセットで地盤沈下していくだろう。安倍首相はというと、記念撮影で後ろの方で小さくなっていた。これも暗示的なシーンである。
オバマは09年の大統領就任以来、「アジア重視」を経済・外交の基本戦略に据えてきた。軍事的、経済的に膨張する中国を牽制すると同時に、経済発展の著しいアジア各国で主導権を握る。その延長線上にあったのがTPPだ。だから米国は年内妥結を急いでいるし、オバマのAPEC参加は極めて重要だったのである。
それなのに、政府機関が一部閉鎖するという前代未聞の内政問題に足を引っ張られた。信じられないような失態だが、これが米国の現実だ。もう外交どころじゃない。自国の財政問題で、文字通り、首が回らないのである。
◆この国の末路が見えたAPEC
「与野党対立の原因は、オバマ大統領が進める医療保険改革『オバマケア』です。富裕層に支えられる共和党が猛反対し、成立させられそうにありません。『チェンジ』は掛け声倒れで終わり、求心力は急低下。世界の警察を気取っている余裕はありません」(日本経済大教授・安井裕司氏=国際政治学)
オバマはシリア問題でも一度空爆を決断しながら、立ち往生した。リーダーシップを貫けず、「議会の承認」を言い訳に先延ばししているところに、ロシアが登場、シリアに核兵器廃棄を約束させて、助けてもらった。目を覆うような威信低下だ。
そんな米国衰退をシリ目に、各国は米国の頭越しに動き出している。
シリア問題でロシアが主導権を握ったのは一例で、欧州でも米国と距離を置く動きが目立つ。イラク戦争では米国と共同歩調を取った英国は、シリア空爆では議会が軍事行動に反対すると、キャメロン首相はあっさり米国との共同歩調を断念した。
元CIA職員、スノーデン氏が暴露した米国家安全保障局(NSA)の諜報活動には、欧州各国が激怒し、仏オランド大統領はスパイ行為の中止を求め、独メルケル首相も首脳会談でオバマに真偽をただした。どの国もいまや、米国に遠慮なしなのである。
「米国は軍事力と経済力で世界を牛耳ってきた。しかし、グローバル化したいまは、人もモノもカネも国境なく動く。米国の独り勝ちはできないのです」(安井裕司氏=前出)
オバマ不在のAPECでは、中韓首脳が3度目の会談を行い、蜜月関係を再確認した。日本のメディアは、安倍首相が中韓首脳と握手しただけで大騒ぎしていたが、中国外務省の副報道局長は「非常にくだらない」とにべもなかった。米国追従の日本の今後は哀れだ。それがハッキリしたのがAPECだ。
◆「バッシング」「パッシング」を経て「ナッシング」の時代
世界情勢がこれだけ激動、流動化しているというのに、安倍政権はまったく、アタマの切り替えができていない。APECと同時期にインドネシアで行われたTPP会合で、安倍首相と甘利担当相は、喜々として「年内妥結」の旗を振っていた。
安倍は「年内の交渉妥結に向けて、日米でリードしていかなければなりません」とか言っていたから、おそらく、オバマの代理でもやっているつもりなのだろうが、どうにもならない感覚だ。
マレーシアなど新興国でさえ、自分勝手な米国が知的財産権の保護強化や国営企業への補助金禁止を強引に進めようとしていることに反発を強めている。日本だって農産品重要5項目の関税が撤廃されれば、アウトだ。弱肉強食のルール作りであるTPPで得をするのは米国だけであって、だからこそ、経済がボロボロの米国はTPPを急いでいるのに、分かっていない。というより、はなから米国のご機嫌伺いしか頭にないから、尻尾を振ることしか考えないのである。
TPP交渉の首脳会合終了後、安倍は記者団に「年内妥結に向けて大きな流れができた」なんて言っていた。首脳声明では年内妥結の「決意」が示されただけなのに、合意の既成事実をつくろうとシャカリキだ。
妥結を急ぐ米国の足元を見れば、したたかな交渉ができるのにバカ丸出し。いまや、世界中が日本を奇異の目で見ているのではないか。
「TPPでマレーシアはそう簡単に妥協しません。米国との関係しか頭にない日本とは違うのです。バブルのころ、日本は世界中から叩かれ『ジャパン・バッシング』といわれた。その後、長引く不況で『ジャパン・パッシング』になり、いまは、『ジャパン・ナッシング』の時代です。米国ベッタリの日本は、世界で無視される存在になっています」(立教大教授・郭洋春氏=経済学)
この期に及んで、外務官僚が米国追従なのは、その方が楽だし、自身の出世につながるからだ。それを妄信している安倍政権の痴呆ぶりには言葉もない。
◆安倍外交には主体的な軸がない
多摩大学学長の寺島実郎氏が月刊誌「世界」11月号でこう書いていた。
〈2013年夏を振り返る。世界を動き回りながら日本へと視線を照射してきた。(中略)強く心に沁みたのは、世界潮流から取り残された「内向する日本」であった。「株価が上がった」と内輪の祭に興じ、「近隣の国には侮られたくない」という心理に鬱々とする思考停止状態にある日本。(中略)中国の脅威を日米同盟を中核とする「自由と繁栄の弧」で封じ込めようとする安倍外交の姿勢は冷戦イデオロギー外交を一歩も出ていない〉
安倍は、「バイ・マイ・アベノミクス」とニューヨークの外国人投資家にトップセールスをかけた。その前は、中東など歓迎してくれる国だけを訪問し、原発などを売りまくった。世界が見えていない首相が、卑しい、偏狭な外交をしている間にどんどん、日本は世界の孤児になっていく。
元外交官の天木直人氏はこんな安倍外交を「無政策状態」と切り捨てた。
「対中外交が暗礁に乗り上げているだけでなく、対米も危うい。米国自体がここまで迷走しているのに、安倍政権には外交の主体的な軸がなく、従って、戦略も描けず、流されていくだけだからです。国民にとってこれほど不幸なことはありません」
TPPで国を売り、集団的自衛権行使で、いよいよ、世界から危険視される国になるのに、国民はまだ気づいていない。
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