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【尾崎文康】4月に小・中学校で実施した今年度の全国学力調査について、大阪市教委は8日、全校長に対して学校別の成績(平均正答率)をホームページなどで原則公表させることを正式に決めた。ただし小規模校は除外するなど、一定の配慮もみせた。文部科学省によると、指定市が学校別の成績公表を各校に指示するのは「聞いたことがない」という。
学校運営の管理規則に「成績を速やかに公表する」と追加したため、校長が公表を拒めば「処分の検討対象になる」(市教委)。ただ特別支援学校や、調査に参加した小6、中3が1学級しかない小規模校約80校は「公表しないことができる」と配慮した。
文科省は今年度の都道府県別の平均正答率などを8月に公表。だが学校別の成績公表は、序列化や過度な競争につながるなどの懸念があるとして、教委に対して実施要領で禁じている。
市教委は、文科省が「学校が保護者への説明責任を果たすため、自校の結果を公表するのは各校の判断に委ねる」とした点に注目。橋下徹市長らが3月に作った教育振興基本計画で「市民に積極的に学校の情報を提供する」としたことを踏まえ、全校それぞれに公表させる方針を固めていた。
8日の教育委員の会議では、「教育成果の重要な情報であり、開かれた学校づくりのために公表すべきだ」との意見が大勢を占めた。公表には出席した委員全員が賛成したが、長谷川恵一教育委員長は「違反者を罰する形にする必要はない」と規則改正に反対した。市教委は15、22両日に校長への説明会を開き、公表の方針を伝える予定。
昨年度は学校の自主性を重んじ、「保護者らのつくる『学校協議会』の意見を踏まえ、校長が公表を判断する」とした。その結果、全小・中429校のうち、公表した学校は今年6月末で19校にとどまった。
橋下市長は8日、「一部弊害があるからといって、全部非公開という時代ではない。まず公開した上で、マイナスがあれば対処する」と述べた。
学校別の成績公表を巡っては、静岡県の川勝平太知事が先月、県内の上位86小学校の校長名を公表。佐賀県武雄市も、市長の意向を受けて市教委が学校別成績を公表した。文科省は首長らの要請を受け、学校別の成績公表を認めるべきか検討している。
■現場は「序列化」懸念
【尾崎文康】大阪市教委は、橋下徹市長が掲げた「学校選択制」を来春から12区の中学校などで始める。橋下氏は8日、学力データは「選択の一つの要素。保護者の選択権を奪う方がデメリットが多い」と述べた。
だが、学校間の成績の比較が過熱し、序列化や過度な競争が起きるのではないかという疑念は現場の校長にこそ強い。学力に課題を抱える小学校の元校長は「『あの地域は点数が低い』と見られたら、一番傷つくのは子どもだ」と話す。判断を校長に委ねた昨年度は、公表校は一部にとどまった。今回のトップダウンの決定は、現場の意向を踏まえたとは言い難い。
機械的に政策を押し付ければ、現場に不信感と混乱を生む。委員からは「学校の平均正答率に限らず、子どもの点数の分布がわかるデータも開示できないか」との意見も出たが、極めてデリケートな情報であり、乱暴な公表は許されない。
校長一人ひとりに特色ある学校づくりを求めるなら、市教委はまずは校長の不安を解消し、理解を得られるよう十分な説明責任を果たすべきだ。
http://digital.asahi.com/articles/OSK201310080020.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_OSK201310080020
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