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哀しいかなTPP交渉における日本政府の対応は理解できるが、尖閣諸島をめぐる日本政府の対応は理解を超えている。
その象徴とも言える発言が、日米外務・防衛閣僚会議(2+2)で来日した米国ヘーゲル国防長官との会談で行われた「力による現状変更を認めない」、「日本は変わらず自制的に対応している」という説明であろう。
尖閣諸島領有権問題について第三者である米国政権が、「現状の変更を試みるいかなる力による一方的な行為にも反対する」と語るのは外交メッセージとして理解できる。
中国も日本も、角を突き合わせないで外交(対話)を通じて問題を解決して欲しいという表現である。
しかし、日本政府にとっての「尖閣諸島問題」は、米国政権と同じニュアンスで語る段階をとっくに超えている。
尖閣諸島領海及び周辺海域が、日本・中国両方の公的船舶が巡視活動を行うという“二重権力”状況が常態となりつつあるからである。
小野寺防衛相の「力による現状変更を認めない」、「日本は変わらず自制的に対応している」と説明しているが、中国公船が日本の巡視船に対して尖閣諸島領海を自国の領海と主張しながら巡視活動を続けている状況を「現状の変更」と言わずして何と言う。
安倍政権は、水面下で中国政府との交渉を続けているようだが、尖閣諸島周辺の“二重権力”状況の解消(中国側の侵犯活動をヤメさせること)を急がなければならない。
“二重権力”状況が常態化すれば、中国国民のなかに、尖閣諸島が自国領であるという錯覚がますます浸透しいっそう強くなる。日本国民の対中国意識もますます厳しいものになる。
中国共産党がとりあえず鉾を収める条件は、尖閣諸島領有権問題の“棚上げ”である。
日本政府が領有権を“棚上げ”することは誤りだが、中国(台湾を含む)が尖閣諸島の日本領有に疑義を主張している事実を認め、尖閣諸島の“現状”(12年8月以前)を維持しつつ、外交を通じて焦らずじっくりと合意の形成を図るという意味での“棚上げ”(尖閣諸島の領土領海を平和条約での国境画定領域に含めないこと)を明文化すべきだと思う。
米国政権は「尖閣諸島が日本の施政下にあり、日米安全保障条約が適用される」ことを認め、日本政府や自民党など保守系政党そして主要メディアは、それをもって、日本が尖閣諸島を実効支配できる保証のように考えている。
しかし、中国公船が自国領海と主張しながら巡視している状況は、尖閣諸島に対する日本の施政権がすでに犯されていることを意味している。
米国政権も認める日本の施政権が侵され“二重権力”状況になっていても米国政府が動けない(動かない)日米安保条約は、尖閣諸島をめぐる中国共産党的対応に対して無力だと言えるだろう。
中国政府に米国政権に対し、尖閣諸島をめぐって中国側から先に武力攻撃を仕掛けることはないと約束している。
現状のような睨み合いは、防御しなければならない日本のほうが不利である。自国の領海において主権を行使することが、先制攻撃と認定されかねないからである。中国側は、自国の領海であると主張しながら遊弋しているだけで主権行為と誇れる。
そのような行動には反対だし煽るつもりもないが、日本政府が尖閣諸島の領有権を正当と考えるのなら、自国の領海であるかのように振る舞っている中国公船を領海に侵入させないようにしなければならない。外交ルートで働きかけても中国公船の侵入が止まない場合、強制力を行使してでも阻止しなければならない。それが主権や施政権の意義でもある。
しかし、日米安保条約の規定から、日本が先制攻撃を仕掛けた場合、米国政権は調停など外交で動いても、軍事的に日本を支援することはない。
いずれにしても、中国との関係を抜き差しならない状態まで悪化させるのは愚の極みである。
そのようなことからも、日本の領有権をしっかり主張しながら、尖閣諸島の領土領海を平和条約における国境画定領域に含めないという意味での“棚上げ”を落とし所と考え、表での中国との交渉を急ぐべきである。
※ 参考:日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第五条
「 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。」
この条文は、日本領域にある米国の軍事基地(及び外交施設)が攻撃を受けたとき、日本政府が自衛隊を出動させて軍事的対応をすることを求めたものと言える。
戦後世界でもっとも頻繁にしかも盛んに軍事行動を行ってきたのは米国であり、相手国が反撃可能なところ(米国本土は無理だから)として在日米軍基地を狙う可能性を危惧してのものである。
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日米防衛相会談 尖閣諸島について日米両国の立場あらためて確認[FNNニュース]
小野寺防衛相は3日午前、アメリカのヘーゲル国防長官と防衛省で会談し、中国当局の船による領海侵入が相次いでいる沖縄県の尖閣諸島について、「力による現状変更を認めない」と表明し、日米両国の立場をあらためて確認した。
会談で小野寺防衛相は、尖閣諸島について、「力による現状変更を認めない」と述べたうえで、「日本は変わらず自制的に対応している」と説明した。
これに対して、ヘーゲル長官は、「尖閣諸島が日本の施政下にあり、日米安全保障条約が適用されるという立場は明確だ」と強調した。
また、政府機関を標的にしたサイバー攻撃に共同で対処するため、連携を強化する方針で一致し、審議官級の作業部会を設置することの重要性を確認した。
会談後、ヘーゲル長官はケリー国務長官と共に、東京・千代田区の千鳥ケ淵戦没者墓苑を訪れ、献花を行った。
アメリカの閣僚の訪問は、初めてという。
(10/03 20:31)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00255094.html
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