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「米韓FTAに見られる“間接接収による損害賠償”にTPPの危険がよく見えている
2013年10月1日、午前10時から午後6時ごろまで、「TPPを考えるマレーシア・韓国・日本 国際会議」がIWJで生中継された。
時間の許せる範囲で見ていたが、あまりにも多岐にわたる問題点が話し合われていて、めまいがする思いとともに、事態の深刻さに暗澹たる気分を払うことができなかった。
この中で、新規性の強い情報としては、アメリカの市民団体『パブリックシチズン』のロリ・ウォラック女史が、米国企業代表600人しか閲覧できなかったTPPの内容資料が米国議員も閲覧できるようになったということだった。
例によって、国内マスコミはこの出来事に全く触れていない、
日本のTPP推進派官僚、政治家、財閥などは、米国多国籍企業の思惑を忖度して、自ら売国的に動いているから、米議員がTPPの資料を閲覧できた事実を、日本の議員にも踏襲させようとは決してしないだろう。
国民の負託を受けた議員連中が、国民生活の破綻ばかりか、国家の存続命題を脅かすTPPの内実に触れることは重要である。
7月以降、国民は遅ればせながら、TPPの徹底した秘密主義に懐疑を向け始めている。
単なる貿易交渉ならば、なぜ内容が秘密なのだろうかという、基本的で素朴な疑問が多くの人に芽生え始めている。
初期に気づいた連中から言えば、今年の3月15日に安倍首相がTPP交渉参加を表明する前に気づいて、安倍首相の売国表明をストップして欲しかったところだが、ほとんど情報が行き渡っていなかった中で、マスコミも政府も賛成一色のキャンペーンを張っていたことは大きかった。
交渉参加表明後、政府やマスコミは、極力内容に触れることを避け、TPPへの参加が不可避で既定路線であるかのように扱い始めている。
御用学者や評論家は、後戻りできない路線に突入したのだから、日本は不利益をこうむらないように、賢く交渉するか、積極的に打って出るしかないなどと、無責任なことを言っている。
だが、何を言ったとしても、概要が分かれば分かるほど、圧倒的な不平等条約の姿が見えてくるだけである。
交渉が秘密のベールで覆われているのは、表向きは内容が事前に漏れると、円滑な進展が阻害されるからなどと、もっともらしいことを言っている。
だが、秘密主義の本当の理由は、TPPが多国籍企業の利益最大化のために、参加各国の内国制度や慣習を無効化、平板化することが目的だと知ったら、各国から反対の嵐が巻き起こるからである。
10月1日のTPPを考える国際会議で、立教大経済学部教授の郭洋春(かく・ようしゅん)氏は、米韓FTAで起きた深刻なできごととして、間接接収の問題を上げていた。
米韓FTAの原文は英語で700ページもあるというが、この中に『間接接収による損害賠償』という概念が盛り込んであるらしい。
日本人には聞きなれない「間接接収」を説明する前に、「直接接収」が何かと言えば、それは財産を国に収用(国有化)されてしまうことであり、一定の手続きをたどって行われる。これは常識の範囲内で分かりやすい。
一方、言葉だけでも「はてな?」と思える“間接接収”とは、郭洋春教授によれば「言語、法、慣習等により、米国企業が『不利益を被った』とみなされた場合、訴えることができる。条文には、『合理的に得られる利益が得られなかった場合』とある。つまり、米国側が『非合理的』とみなせば、訴えることができる」ということらしい。
正直、“はあっ?なんじゃこりゃ?”と思わないだろうか。
米国企業がそこで営利活動していれば、利益を得られた可能性があったかもしれないという、言わば「不確実性」をはらんだ単なる希望的観測を、当該国(この場合は韓国)の事情による法制度、規制、言語、文化、風俗、慣習等のために阻まれてしまった。
だから将来を見込んだ利益が不可能になったかどで、その損害を弁償しろという話である。
日本人がこれを見たら、“獲らぬ狸の皮算用”に対して、現実の弁償を求める無理無体な話である。
韓国は米韓FTAの英語原版による条文解釈が困難な中で、こういう理不尽なものを締結してしまったのかということになる。
郭洋春教授や米韓FTAに知悉した韓国の弁護士さん(ソ・サンボン氏)は、この会議で米韓FTAを前例として日本のTPPにいろいろと警告を発していたが、この“間接接収”の引例には驚いた。
TPPは国民の死活問題に直結するものが山盛りなのだが、米国が非合理とみなした日本の内国制度、規制、習慣など、国民生活や社会維持を守る法体系や習俗・習慣などすべての日本的要素が、“間接接収”として損害賠償の対象になるということである。
この無理無体さがTPPの本質である。
ここから敷衍されることは、日本語を撤廃し英語を公用語化することであるが、これは決して突飛な発想と言えないことがよく分かる。
これは国家主権、国民主権の否定ばかりか、人間の根本的な生存環境の否定であろう。
だから、彼らが本気で狙う「非関税障壁」の撤廃とは、人類が生きる要素を否定しているのである。
TPPは貿易交渉の枠をはるかに超えて、人間の生存可能性を担保するあらゆる領域に及んでいると捉えなければならない。
人間からあらゆる自由を剥奪する奴隷条約である。」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/10/post-dc52.html
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