http://mainichi.jp/opinion/news/20131005k0000m070141000c.html
毎日新聞　2013年10月05日　02時32分

　核心をついた指摘である。政界を引退している小泉純一郎元首相が原発・エネルギー政策に関連して「原発ゼロ」方針を政府が打ち出すよう主張、注目を浴びている。

　使用済み核燃料問題などを正面から提起し、政治が目標を指し示すことの重みを説いた小泉氏の議論にはもっともな点がある。安倍内閣が原発再稼働や輸出に前のめりな中だけに、原発からの撤退を迫る忠告に政界は耳を傾けるべきだ。

　かつて「改革の本丸」と郵政民営化に照準を合わせたことを思い出させるポイントを突いた論法だ。小泉氏は１日、名古屋市での講演で「放射性廃棄物の最終処分のあてもなく、原発を進めるのは無責任」と指摘、福島第１原発事故の被害の深刻さにもふれ「原発ほどコストの高いものはない」と政府・自民党に原発ゼロにかじを切るよう求めた。

　原発をめぐる小泉氏の主張は毎日新聞のコラム「風知草」（８月２６日付）が取り上げ、強い関心を集めるようになった。東日本大震災後、原発政策に疑問を深めた小泉氏は８月中旬、フィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察、使用済み核燃料を１０万年も地中に保存するという処理策に「核のゴミ」は管理不可能だと確信したのだという。

　小泉氏が今後、何らかの政治的な行動を取るかは不明である。しかし、指摘は真剣に受け止めるべきだ。

　まず「トイレのないマンション」と言われる核廃棄物問題について、小泉氏が言うように、政府は責任ある答えを示していない。使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルは、その要とされた高速増殖原型炉「もんじゅ」実用化のめどが全くたたない。再処理工場（青森）の稼働を急いでも、余剰プルトニウムがたまるばかりだ。私たちはこの点からも原発推進の無責任さをかねて主張してきた。

　もうひとつは国策にかかわる問題はなし崩しに対応せず、旗印を掲げることが重要だと再認識させたことだ。小泉氏は「今、ゼロ方針を打ち出さないと将来も難しくなる」という考えだ。原発は日本の経済、社会に組み込まれ、これを変えるのは容易ではない。現実には政治が大きな方向を示さなくては代案も作りにくく、状況は動かないのではないか。

　解せないのは、なお侮れぬ発信力があるはずの元首相の発言に対し、「原発ゼロ」路線をことあるごとに批判してきた勢力から、正面きった反論があまり聞かれないことだ。

　よもや嵐が過ぎ去るのを待ち、黙殺しようとしているわけでもあるまい。とりわけ、小泉氏を政治の師としていた安倍晋三首相にはぜひ、見解を聞かせてもらいたい。

コメント
01. 2013年10月05日 13:47:29 : 0Sw0HNgyBI 後だしじゃんけんのような気がする． 首相在任当時に、しかも福島原発事故が起こる以前に、 原発の危険性を予知して原発ゼロを言えば、天晴れであった． 当時は、自民党が原発推進政策を積極的に進めていた時代であった． 原発ゼロなど夢想だにしなかったであろう． 福島原発が起こった直後にでも原発ゼロを堂々と主張すれば良かった． しかるに、今頃になって言いだすのは世間の動向を見ての 後出しシャンケンとしか言いようがない． では、外国に日本製原発を売り続けている安倍首相に直言したら良い．
02. 2013年10月05日 15:41:40 : W7CuBdZI4k ０１さん 　そうだね。「 今頃になって言いだすのは世間の動向を見ての後出しシャンケン」といわれても遠からず、だな。　　 　でもまあいいか、小泉さんもかなり本気らしいからこの動きを空回りさせないことだ。　財務・経産あたりに突き崩されぬうちに超党派での組織づくりが期待されるね。　有権者の大いなる結集は間違いないと思う。（風見鶏議員も寄ってくるだろうがネ）
03. 2013年10月05日 16:43:55 : nJF6kGWndY >「原発ゼロ」路線をことあるごとに批判してきた勢力から、正面きった反論があまり聞かれないこと 民主党に鳩山あり だったが、同様に 自民党に小泉あり という状況になるのを恐れているのだろうなｗ
04. 2013年10月05日 16:58:58 : Jny2RmHXSQ 小沢さんがずいぶん前から言ってたけど マスコミみんなで叩かなくちゃ でも息子は推進してるのか？ 記事にするほうも　今頃？
05. 2013年10月05日 19:51:40 : CB0jHLoKv6 04の方も仰っているとおり、小沢は昨年の総選挙よりずっと前にドイツを視察して脱原発を唱え始めたし、総選挙でも脱原発を訴えて闘ったはずだが、大マスコミは完全スルーした。そのくせ、政治家を引退した小泉が今頃になって発言し始めたことをあえて取り上げ、しかも肯定的な記事にする毎日新聞はクソ中のクソだな。
06. 2013年10月05日 20:34:53 : BxgKgNJpDM 下ー痢ー安倍や自民創価党内は相当ピリピリしているようだ 面白いwww
07. 2013年10月05日 20:40:50 : EDkhqDblBS ガス抜きのパフォーマンスだろ。 新次郎も然り、自民党の中でも多様な意見がある・・と言うようなガス抜きパフォーマンスの一種であり、戦後60年以上もそうして国民を欺き政権を維持してきた自民党お得意の二枚舌戦略はもう見えみえ。 最終的には何も変わらず、官僚政治が未来永劫続いてゆくこの国。
08. 2013年10月05日 20:54:49 : BqXkvXro2o 言っていること自体は脱原発派と同様で何も新鮮味はないよな。 おれらが言うと誰も聞かんのに小泉が言うと説得力ある主張とか言ってマスコミまで取り上げるところがいまいましい。
09. 2013年10月06日 09:33:53 : iJYula8ti6 多くの方々が既にご存知のように、アメリカ側が原発がお荷物で儲からないので撤退方針を水面下で決めたのを受けて、エージェントコイズミ氏が、自民政権は保持する為に先に手を打って来ました。 アメリカ軍産複合体側のコイズミ氏の後継者はジュニアに確定しておりますので、父が脱原発で国民の支持を取り付け、それをジュニアが引き継ぐ、自民の次世代はコイズミジュニアが番頭になり、アメリカ軍産複合体の新しき支配を確立する、ステルスマーケティングのようなものです。 進次郎ジュニアが、イキナリ脱原発では軋轢が高まりますから 父をワンクッション置いて、目的は自民をジュニアに継承させる軍産複合体国際金融組織支配者層の戦略に過ぎないと言うことですね。
10. 2013年10月06日 12:10:32 : ArFPCXvGHI >>01 ＞福島原発が起こった直後にでも原発ゼロを堂々と主張すれば良かった． いや実は小泉元首相は言っているのだよ。慶大教授（小泉元首相の恩師）の本の出版の際、その本が 脱原発を言っているのに、本の帯に推薦者として載っている。 ただ、いまのようにはっきり言ったわけではない。機が熟するのを待たねば、ただ潰されるだけだ。 いま自民党内でさえ、原発の新設はやめようという声がある。東電の幹部も収束作業が進まないこと で原発自体に嫌気がさしてきた面々もでてきた。 ＞では、外国に日本製原発を売り続けている安倍首相に直言したら良い． 元首相の発言と言うことで大々的に報道されている。直言とほとんど同じ事だ。むしろ安倍首相が答え なくてはならない局面になっている。「使用済み燃料をどうするのか」「原発ほど高コストの発電法は ない」と言うことに対してだ。 >>08 ＞小泉が言うと説得力ある主張とか言ってマスコミまで取り上げる 元首相の発言だから取り上げられるのですよ。小泉元首相の言ったことは、マスコミではほとんどとりあげ られなかった。やっぱり原子力村がこわいんでしょう。だれかが大将になって先頭をいかなければ、臆病な 一般人はなにもできないのです。

11. 2013年10月06日 17:49:10 : XXhldHt4HI 葬化の下請け毎日新聞か。。。 故泉の脱原発の目的は↓につきるでしょう。 ＞アメリカ側が原発がお荷物で儲からないので撤退方針を水面下で決めたのを受けて、エージェントコイズミ氏が、自民政権は保持する為に先に手を打って来ました。
12. 2013年10月07日 11:34:27 : 7mBlN8j0cU アメリカの路線変更はありうる。が、>>10でも書いたように小泉元首相は３１１事故 直後から脱原発だった。それを鮮明にしたのは最近のことだが、政財界をふくめて 脱原発だとはみられていただろう。 はっきりアメリカの感触が得られたのはつい最近のことかもしれない。しかし、 小泉元首相はアメリカのエージェントとかではなく、アメリカ首脳部と深いパイプ をもっているということだ。

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