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消費増税いまからでも引き返すべきだ
http://ameblo.jp/aratakyo/entry-11628118733.html
2013年10月04日 永田町異聞
ほんとうに景気が良くなるのかどうか、半信半疑のままアベノミクスとやらをにらんでいる。それがいまの国民多数の姿だろう。
消費税が上がるのは困るが、ひょっとしたら、これからの成長戦略で日本経済が大復活し、昔のような消費ブームがよみがえるのではないか。なかには、そんな幻想を抱いている人もいるかもしれない。
だが、肝心の成長戦略が言葉だけ踊り、実体が全く見えてこないのだから、期待しようにも、しようがない。分かっているのは日銀がお札をバンバン刷って国債を買い、政府が公共事業などのバラマキをやっていこうということだ。
そのうえ、社会保障はさらに削られる気配が濃厚で、アベノミクスの幻想から目覚めた後に残るのは、落胆と社会不安と、さらに膨れ上がる国、地方の借金だけではないか。原発の後始末まで考えると、とほうもなく憂鬱だ。
そのうち給料が上がるというという安倍首相のお題目も、多くの常識ある人々は空手形のたぐいに終わると思っているだろう。それでも、株が多少なりとも上がったりしているから、何となく上向いている気にさせられるところもあって一縷の望みを捨てきれない。
そもそも、熾烈なグローバル経済競争のもと、いかに人件費を抑えようかと苦心惨憺している企業が、それと逆行してでも給料を上げていくとは、とうてい考えられない。大多数が赤字の中小零細企業にいたっては賃上げなど、とんでもないことだ。
もちろん、安倍政権へのお付き合いで、ちょっとだけ一時的に上げてお茶を濁す大企業はあるだろう。
すでに、安倍首相に貢ぐかのように賃上げした大手コンビニがあるが、本部は高収益、フランチャイズ加盟店主は死屍累々という、コンビニビジネスだからできることに違いない。
トヨタがボーナス交渉に満額回答で応じたのも政権への協力姿勢をアピールしたものだ。石原慎太郎が「経団連のタヌキ」と称したご老人は「大変な英断」と、消費増税発表を手放しで喜んで見せた。
財界にとっては、法人税を減らし、消費税を上げてもらった方が都合がいい。
そもそも、消費税というのは、財務省が輸出大企業に巨額の輸出戻し税を還付して儲けさせ、恩を売るという側面がある。
下請けの中小零細企業に力関係を利用して値引きを迫る大企業が、仕入れにかかったという計算上の消費税分を戻してもらえるわけだから、消費税率が上がれば上がるほど還付金も増える仕組みで、大企業は笑いが止まらず、町工場は泣くという構図になっている。
管内に三井物産、三菱商事、新日鉄などの本社がある麹町税務署は、3000億円をこえる輸出戻し税を還付する仕事に、職員が追われているのが実態だという。
グローバル競争に勝ち抜くため、法人減税が必要で、その分を消費増税で補おうという政策的狙いもあるとなると、経団連など財界が消費増税を歓迎するのはあたりまえのことだ。
一方、中小零細企業は、消費税の納税者としての負担増にたえかねて、むしろ給料を下げる方向に動くのではないだろうか。
消費税の引き上げによって、破産や廃業に追い込まれる中小零細企業は加速度的に増えるおそれがある。
その分を、5兆円の公共事業で穴埋めし、ゼネコンやその下請けを儲けさせることによって、国全体としてはGDPが落ち込まないように見せかける算段なのだろう。
資本主義のもと、強い会社だけ残り、弱い業者は潰れればよい。おそらくそういう考えが政策の根底にあるのにちがいない。
世の中の多数を占めるのは、名も、チカラも、カネもない人々である。
消費税アップの根拠であったはずの社会保障が揺らぎっぱなしで、将来の生活が危ぶまれるというのに、国のトップの頭のなかは、中国を念頭に軍備を充実させてアメリカ軍と協力関係を強める体制づくりでいっぱいだ。
買う気を減退させる消費税アップは、いわばデフレ政策だ。紙幣を増発してカネ余りにし、円安、株高、物価高に誘導するインフレ政策のアベノミクスとは、本来相容れない。
それでも、消費増税に踏み切ったのは、カイル・バスら、日本国債のカラ売りチャンスを虎視眈々とねらっているヘッジファンドの連中を過度に恐れ、増税を見送れば国債が暴落するという強迫観念が財務省を発信源として、金融機関、政治家、エコノミスト、マスメディアの間に広がっているからだ。
まだ景気が本格的な回復軌道に乗っていない段階での消費増税が、アベノミクスに冷や水を浴びせるリスクを承知しつつ、安倍首相はそれに踏み切らざるを得ない状況に追い込まれたといえる。
霞ヶ関、永田町を覆う空気に圧され、失敗する確率のほうが高いのに、デフレ政策とインフレ政策をミックスするかのような矛盾した方策を採用してしまった。
金融と財政をフル活動させれば、消費増税によるデフレ効果は減殺されるのではないかという希望的観測で、エイヤッと未知の領域に突っ込んだのである。
決められない政治も困るが、博打のような政治はもっと困る。いまからでも引き返したほうが深手を負わずにすむのではないか。
新 恭 (ツイッターアカウント:aratakyo)
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