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2013/10/4 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
世論調査で国民の大半が「景気が良くなった実感はない」と答えているのに、安倍首相は消費税増税に踏み切った。あたかも慎重に検討したかのようなフリで、最後は「日本経済は3本の矢の効果で回復の兆しを見せている」と強弁。庶民が「ハァー?」と思うような我田引水で増税を決めてしまった。
「庶民生活は大変なことになります」と、経済ジャーナリストの荻原博子氏がこう言う。
「消費税がアップするだけでなく、物価も社会保険料も上がっている。畳み掛けるように家計への負担が重なるのです。今月から年金の引き下げも始まり、年金生活者は生活が立ち行かなくなりますよ。庶民は物を買わないことで生活防衛するしかありません」
大和総研の試算によれば4人家族の年収500万世帯の場合、消費税が3%アップすると、厚生年金の保険料引き上げなどを加えた負担増は年間およそ22万円。1カ月の生活費がまるまる消えてしまう計算だ。
今月から牛乳や豆腐、輸入小麦なども値上げになりただでさえカツカツなのに、来春からどうするのか。家計簿を見つめて、どこで22万円を削れるか考えてみるといい。サラリーマンは1日700円弱を倹約しなければならなくなる。缶コーヒーすらぜいたく品だ。
「困ったことに給料が増える見込みはない。安倍政権は景気対策の名の下に規制改革を進めるから、企業は給料を上げず、派遣労働者を増やす。企業だけが儲かり、給料は減り続けた小泉政権時代と同じことが起こります。国民の平均所得は今よりも下がって、デフレ化がますます進むと思います」(荻原博子氏=前出)
2日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は「増税でアベノミクスが沈没」と書いていたが、増税によって経済が停滞するのは万国共通だ。07年に付加価値税を3%引き上げたドイツも、11年に2・5%上げた英国もGDPが落ち込んだ。
直近でいえば、財政難で昨年、付加価値税を18%から21%に引き上げたばかりのスペインが参考になる。その結果といえば、消費が落ち込み、景気の悪化で税収は増えず、財政再建も進まないという悪循環。若者の失業率は56%に達している。18%からの3%アップでこの惨状だ。5%から8%になれば6割アップ。どのくらいの破壊力になるのか、想像するだけで恐ろしい。
◇リストラ、倒産、自殺の連鎖が止まらなくなる
97年の消費税アップ時は、所得税や住民税の減税とセットだったし、給料も上がっていた。日本経済はまだ体力があったのだ。それでも景気は失速。初めて自殺者が3万人を突破し、給料も97年をピークに下がり続けている。それなのに、今回は家計への減税措置はない。「企業が儲かれば家計に回る」という安倍の詭弁で、大企業優遇の法人減税だけが決まった。
税理士で元静岡大教授の湖東京至氏が言う。
「消費税は、たとえ赤字企業でも払わなければならない。そこが、利益に応じてかかる法人税と決定的に違うところです。価格転嫁できない中小事業者は自腹を切るしかない。現行の5%でさえ払えなくて滞納している業者がたくさんいるのに、8%になれば、潰れる会社が続出します。リストラ、倒産、自殺の連鎖が止まらなくなる。政府は税制を通じて中小企業を潰そうとしているとしか思えません」
消費税が悪魔的なのは、立場の弱い者に負担を押し付けるところだ。取引では零細業者や自営業者ほど泣かされる。公共料金や交通運賃は利用者がいや応なく負担させられる。低所得者ほど負担感が増大し、被災地にもあまねく負担がのしかかる。
「消費税の許しがたいところは、弱者に厳しく、大企業にとっては何重にもオイシイという不公平性です。大企業は下請けに負担をかぶせ、輸出企業には輸入還付金という特権もある。政府の予算書を見ると、還付金の額は年間約3兆円です。現在、消費税による税収は約13兆円とされていますが、本来は16兆円ほどあるのです。そこから3兆円をピンハネし、輸出企業に還付する。その残りが13兆円ということです。消費税率が倍の10%になれば、還付金も倍になる。大企業にとって、こんなオイシイ制度はありません。だから、経団連は消費税を欧州並みの20%にしろと言っているのです」(湖東京至氏=前出)
安倍にとっては、グローバル企業さえ儲かれば、中小企業が壊滅しようが、自殺者が続出しようが知ったこっちゃないのだろう。それがアベノミクスの本質でもある。極端なことを言えば、日本が破綻しても、グローバル企業の収益が上がれば、それでいい。そのために庶民は見殺しにされるということだ。
◇庶民から巻き上げたカネで特権階級が潤うブラック国家
消費税増税によって、国民生活が大打撃を受けるのは間違いないが、安倍は有識者を集めて形ばかりの「集中点検会合」をやっただけで、狂気の大増税を決めてしまった。反対意見に耳を貸さず、強権で押し切ったのだ。
安倍は最近、「オレのおかげで増えた税収だから、どう使うかはオレが決める」と豪語しているという。なんという不遜、厚顔なのか。すっかり独裁者気分で舞い上がっている。異常なハイテンションは、持病を治すためのラドン治療のせいともいわれているが、あながちジョークとは思えない誇大妄想だ。しかも、妙な自信過剰で狂っているのは安倍だけじゃないから薄気味悪い。
党内外にニラミをきかせ、官僚人事や世界遺産登録にまで介入する菅官房長官。黒ずくめファッションでG20に乗り込み、WSJに「ギャングスタイル」と書かれた麻生財務相。いつの間にか大物気取りで威張り返っている甘利経済再生相――。この4人が官邸に集い、「ああじゃ、こうじゃ」の密談で決めてしまったのが、消費税アップと企業への還元サービスだ。
さすがに、ロコツな大企業優遇には批判を懸念する声も上がったというが、安倍は意に介さず、「すぐ選挙があるわけじゃないんだから」と言ったと朝日新聞が書いていた。麻生は「財務省には、経済成長が止まれば再来年の消費税率10%への引き上げは無理になるぞ、と脅します」と応じたという。まさしく、ヤクザの物言いだ。
企業の復興増税を前倒しで廃止するという安倍の一方的な決定には、自民党内からも「政高党低だ」と不満が出たが、菅官房長官は「総理の意向に従わない税調なら総入れ替えだ」とドーカツしたとされる。親分が黒と言えば、白いものも黒。逆らうヤツは力ずくで抑え込む。マフィアの流儀を臆面もなく振りかざすのが今の官邸だ。
◇魂を売ったメディアは永久に権力に逆らえない
そんなコワモテ官邸に恐れをなしたのか、メディアは権力のご用聞きに成り下がっている。増税が正式に決まった後になって、大新聞は「拭えない不公平感」だとか「遠のく財政再建」などと、もっともらしいことを書いているが、それなら、なぜ決まる前に問題提起しなかったのか。「増税しないと財政が破綻する」「将来世代にツケを残すな」とはやし立て、国民世論を「増税やむなし」に導いてきたのは他ならぬ大新聞ではないか。
「今ごろになって、『増税分は社会保障に使われない』などと報じる新聞を読んで、初めて知った国民は“だまされた”という気分でしょう。そんなこと、最初から分かりきっていたのに、大新聞は頬かむりしてきた。それどころか、軽減税率を適用してもらうため、権力の忠犬になって、国民をだます役を買って出たのです。政府は消費税を10%に上げる時に軽減税率を検討すると言っていますから、それまで新聞は言いなりだし、軽減税率が適用されれば、永久に権力に逆らえない。一社でも機嫌を損ねれば、連帯責任で『新聞業界全体の軽減税率をなくす』と脅されるからです。メディアは会社の経営のために、魂を売ってしまった。不幸なのは、本当の情報を知らされない国民です」(ジャーナリスト・斎藤貴男氏)
かくして、独裁者とヤクザまがいの取り巻き連中が仕切り、業界ゴロみたいなメディアや大企業と結託して国民からカネを巻き上げ、特権階級で分け合うブラック国家が完成するのだ。
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