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安倍首相はなぜ国会を開かないのか これほどの独裁は戦後初めて (日刊ゲンダイ) 
http://www.asyura2.com/13/senkyo154/msg/477.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 10 月 02 日 00:15:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9949.html
2013/10/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ


安倍首相はきょう(1日)午後6時から記者会見を開き、来年4月から消費税を8%にアップさせることを正式に表明する。わざわざテレビの夕方ニュースの時間にぶつけ、生中継させるのだから、いい度胸だ。

そこで安倍が打ち出すのは、庶民への大増税だけではない。大企業には復興特別法人税の前倒し廃止の検討や投資減税などのメニューを揃えて優遇する。それがデフレ不況を回避する経済対策だというのである。まったく冗談じゃないが、安倍は涼しい顔だ。

国会を開かないからである。

秋の臨時国会は10月中旬ごろ召集とみられているが、まだ日程も会期もハッキリしない。野党5党が早期の国会開催を参院議長に要望しても無視された。議運も国対も野党はあまりにも無力、非力で存在しないに等しい。だから、安倍は余裕しゃくしゃく。臨時国会の日程や期間も、安倍の号令一下で決めてしまう。こんな楽は話はない。

「重要な問題をいつも審議できるように『通年国会』にすべしという議論もありました。それなのに、安倍首相は国会を開かない。野党の言うことに耳を貸さないどころか、最近は与党の言い分も聞かず、なんでも官邸で決めてしまう。ねじれ解消で驕り高ぶっているのでしょうが、これは政党政治、議会制民主主義を無視する行為です」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学)

国会が開かれないから、大企業優遇のデタラメ減税の追及ができない。新聞報道によれば、麻生財務相は減税に反対したとされる。だったら、閣内不一致だが、それをただすチャンスもない。

国民が知りたいことは山のようにあるのにフザケタ話だ。国民は指をくわえて見ているしかないのである。

◆安倍の手法は官邸主導ではなく強権政治

ダダ漏れ状態が深刻な福島原発の汚染水問題にしたって、IOC総会前は閉会中審査を拒否し、ようやく、総会が終わって開いたと思ったら9月27、30日の2日間でオシマイだった。それも一番真意を問いただしたい安倍は、外遊中で欠席である。

「汚染水対策は東電任せにしない」とかカッコつけて、470億円の国費投入を勝手に決定し、IOC総会では「汚染水はコントロールされている」と大見えを切ったくせに、説明責任を果たそうともしない。安倍の無責任、身勝手、傲岸、野党の非力、メディアの無力はホント、嫌になってくる。
こんな調子だから、たとえ臨時国会が開会しても、国会は安倍官邸の独裁政治の追認機関になるだけだろう。

そんな中、安倍がもくろむ戦前回帰のような悪法が自動成立していくのだ。戦前の治安維持法のような「秘密保護法案」や、米国追随の「日本版NSC(国家安全保障会議)」の設置法案である。

いずれも国民が望んだわけでもないし、選挙公約でもなければ、争点にもならなかったのに、安倍はどんどん、勝手に決めてしまう。これほどの独善的、独裁的な首相は戦後初めてじゃないか。

「自民党は長らく一党支配で政権に君臨していましたが、首相=自民党総裁にこれほどの権限はなかった。当時は派閥の力が強く、領袖に有力者や実力者がいたからです。実力者の意見を聞きながら、党内で合意形成をしていく。そういう政治文化があったのに、今は野党が無力なだけではなく、政高党低とかいって、官邸の独断ばかりが目立つ。あまりにも乱暴なやり方です。今となっては小泉さんや森さんの方がマトモに見えるくらいです」(五十嵐仁氏=前出)

庶民は飼いならされて、声も上げないが、今の安倍政権の政治手法は前代未聞の強権政治だ。官邸主導といって評価する風潮は大間違いである。

◆党内抗争にうつつを抜かす税金ドロボーの野党

安倍の悪政をのさばらせている野党もヒドイものだ。

「民主、維新、みんなの主要野党3党が党内で内向きな抗争をやっているのですから、安倍さんを利するばかりです。民主党は小選挙区で負けた海江田さんが代表で求心力ゼロ。維新は堺市長選で敗北して、党内の亀裂がますます拡大しそうです。みんなはいまだに渡辺代表VS.江田氏の対立が続いている。これでは与党は野党をまったく相手にしないでしょう」(政治評論家・浅川博忠氏)

日本の国会議員は世界一高い歳費をもらっている。給料だけでも年間2100万円、使途を問わない1200万円の「文書通信費」も支給されている。ほかに1人当たり4500万円の「政党助成金」、780万円の「立法事務費」が税金から交付されている。

さらに公設秘書3人分の給与も国費負担だ。豪華な議員宿舎、JRパス、公用車……と、あれやこれや合わせると、1人の国会議員にざっと年間2億円もの税金がつぎ込まれている。

それなのに、野党議員は党内抗争にうつつを抜かし、国民のために汗をかかない。これじゃあ、タダの税金ドロボーだが、彼らは議員バッジをつけて、大金をもらえればいいのだろう。国民のためではなく、自分の生活のため。志も何もない。そんな腐った連中ばかりだ。

日経の最新の世論調査では政党助成金をもらわない共産党の政党支持率が6%で、自民党に次ぐ2位になった。民主(5%)や維新(3%)は共産に抜かれた。もう解散した方がいい。

だらしないのはメディアも同じで、長期政権をもくろむ安倍の前に完全沈黙。安倍の右傾化、消費税増税のデタラメ、汚染水をめぐるウソ、国会を開かない身勝手を全く書かない。これでは、安倍がますます、図に乗るだけである。

◆健康不安のトラウマで国会から逃げる安倍

国会を開かなければ、これほど政権にとって、おいしいことはない。権力を使いたいだけ使って、検証、追及されなければ、何でもできる。不正、癒着、裏取引となんでもアリだ。安倍が国会を開かないのは、その背景に隠したいことや、ゴマカしたいことが山ほどあるからだろう。汚染水対策に国費を投入する背景、経緯、首相の外遊に腰巾着のようについていった財界人たちの思惑、安倍のトップセールスの見返り、魂胆など、ネタはいくらでも思いつくのだが、政治評論家の野上忠興氏は別の見方を付け加えた。

「国会を開かないのは健康不安もあると思う。安倍さんには、第1次政権でお腹を壊して退陣せざるをえなくなったトラウマがある。国会はなんだかんだいって大変なストレスになる。なるべくそういう環境をつくらないようにしているのでしょう。暇さえあれば、外遊に出かけるのも商売だけではない。海外ではチヤホヤされるし、それを大義名分にすれば国会を開かなくてすむ。一石二鳥なのです」

この調子だと、安倍長期政権が本当に現実になってくる。この政権の怖さは、国会も開かず、知らない間に国の形を変えてしまうことだ。麻生が言ったナチスの手法だ。いまこの瞬間にも政府内で何が行われているのか。国民は知る由もないところが恐ろしい。


 

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コメント
 
01. 2013年10月02日 00:19:21 : JsyB48GuTY
だから北豚と同じ性根なのさーーー。これからが酷くなる予感。粛清始めるぞーーー。

02. 2013年10月02日 00:30:16 : zKhrRT3tBk
欺瞞に満ちた狂気な社会。アベノリスクを礼賛する異常国、ニッポン。
こんな日本に愛国精神醸成を求めるは、筋違い。この国の滅亡は絵空事ではない。

03. 2013年10月02日 00:35:55 : niiL5nr8dQ
消費税めぐるリアリズムの相克 1年前忘れた“この惑星の住人”
2013.9.2

【正論】双日総合研究所副所長・吉崎達彦

 缶コーヒーのCM風に言うならば、「この惑星の住人は1年前のことを全く覚えていない」のではないだろうか。昨今の消費税論議を聞いていると、議論の時間軸が短すぎるように感じている。

 内閣府は集中点検会合を開催し、有識者から来年春からの増税の是非を問うている。景気は大丈夫か、もっといい上げ方はないかという話が中心だが、そもそもなぜ増税が決まったかを思い出してみよう。

 消費税増税法は、昨年8月に民主党政権下で成立した。「社会保障と税の一体改革」を実現するためには、まず財政再建を図らなければならず、そのためには増税が避けられない。社会保障改革は、時間がないから超党派の「国民会議」で議論しようということが三党合意で決まった。立役者となったのは、当時の野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁という2人の財務相経験者である。

 この時点では、財政の安定こそが主眼であり、景気回復やデフレ脱却は大きな論点ではなかった。増税が始まる2014年4月はまだ先のことであったし、社会保障制度への国民の関心は高かった。法案は衆参ともに意外な大差で可決され、ただし民主党は分裂して小沢一郎氏の一派が去っていった。この辺の事情は、去るものは日々に疎しというほかはない。

 それから1年。増税法成立時点では、自民党の一議員にすぎなかった安倍晋三氏は、9月の自民党総裁選に勝ち、さらに年末の総選挙にも勝って首相の座に返り咲いた。安倍氏とその周辺の経済スタッフは、財政再建よりも経済成長やデフレ脱却こそが重要であるとの考え方である。アベノミクスには、それまでの民主党政権の方針に対するアンチテーゼという意味が含まれている。

 安倍政権の発足後、日本経済の状況は短期間に一変した。大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という「三本の矢」により、円高は是正され、株価は上昇した。実体経済も、年率3%前後の成長軌道に乗っている。

 ≪経済VS政治の「現実主義」≫

 注目の4〜6月期実質GDPは年率2・6%成長と事前予想をやや下回ったが、内容的には悪くない。わずか0・1%とはいえ、久々に名目成長率が実質を上回り、デフレ脱却へ向けて小さくとも意義深い一歩を踏み出した。外的ショックさえなければ、景気は来年3月までは安泰であろう。

 問題はその先である。13年度は良いのだが、4月になって14年度に入った瞬間に「日本版・財政の崖」が訪れる。

 第一に、消費税の増税効果がある。3%分となれば、8兆円弱の国民負担増となる。次に今年、補正予算を打った公共投資の減少効果がある。さらに3月末の駆け込み需要とその反動減を考えると、15兆円程度、ざっくりGDP比3%分程度の景気抑制効果が出る。アベノミクスにとっては、ここが難所となりそうだ。

 増税見直し論が浮上するのは、この1年で政治情勢、経済情勢がともに一変したからにほかならない。経済的リアリズムから言えば、このまま増税に踏み切るのはちょっと怖いと思う。

 他方、この問題には、「せっかく決めた増税日程を変えるのはもったいない」という政治的リアリズムの観点もある。現下の消費税論議は、2つのリアリズムの相克と捉えると分かりやすい。

 ≪日本人は借金をとぼけない≫

 政治的にいえば、安倍首相は実にもったいないことをやっている。増税は野田前首相が決めたことで、自分は関係ないという態度をとることもできた。ところが、集中点検会合をやって決めたとなれば、責任の所在は明らかに安倍首相にある。庶民の恨みを買うかもしれないし、景気が腰折れした場合は非難も浴びるだろう。

 ただし前述の通り、消費税や日本経済をめぐる状況はこの1年で一変している。ここでリアルな論議の場を持つことは、国民の理解を深めるうえでも間違ってはいない。増税日程を安倍政権のイニシアティブで決めることは、いっそ潔い態度だとも言える。

 ところで、アベノミクスの重要な立役者である黒田東彦日銀総裁は、「予定通り増税すべし」との意見である。推察するに、日銀は大量の日本国債を買って「異次元の金融緩和」を進めている。それは野田前首相が、あらかじめ消費税増税を決めてくれたお陰だという面が無視できない。

 わが国にはGDPの2倍に当たる1000兆円もの借金がある。国債の償還に疑念を持つ投資家がいても不思議はない。ところが日本国民は、増税を粛々と受け入れている。日本人は借金をとぼけたりはしないのだ。そのことで、日本国債の信認が保たれている部分は小さくないだろう。

 ゆえに増税日程は変えない、来春には相応の対策を打つべし、というのが筆者の見解であるが、それはさておいて安倍政権のリアルな判断に期待したい。(よしざき たつひこ)
http://www.iza.ne.jp/kiji/column/print/130918/clm13091811180031-c.html


04. 2013年10月02日 00:38:36 : RSQ0ppj2YM
妄想病で貴様らがくたばっても日本は何とかやってゆくのさ

久しぶりに阿修羅のトップページを見たが、相変わらずむごいな

きちがいの見本市みたいなもんだ

ドキチ中のドキチ=「ポスト米英時代」が、拍手ランクトップテンに二つもランクインしている

日本の未来を心配するより、きさまらは阿修羅の病気を心配しろ

もっとも、死んでもてめえが脳病だったとは気がつかないオチなんだろうがな


05. 2013年10月02日 00:41:09 : niiL5nr8dQ
【第68回】 2013年10月2日 上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
財政健全化の国際公約は実現できるか?
内閣・党幹部の「安倍人事」から検証する
 安倍晋三首相は、当初の予定通り消費税率を現行5%から、2014年4月から8%に引き上げると決断した。消費増税の決定で、国際公約ともなっている「2015年度までに国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の国内総生産(GDP)対比の赤字を10年度比で半減、20年度までに黒字化する」という財政健全化目標の達成に、ようやく一歩踏み出すことができたといえる。

 一方で安倍内閣は、増税によって、ようやく明るさの見え始めた景気が腰折れするのを回避するために、公共事業など補正予算、企業に設備投資と賃上げを促す減税措置などの経済対策も合わせて発表した。財務省は、昨年度の余剰金とアベノミクスによる増収などで、2兆円程度の補正予算を新規の国債発行なしに組めるとみている。だが、衆院選の勝利で族議員の勢いが増しており、公共事業も効果を検証して絞り込むことができなければ、財政赤字が更に拡大しかねない。また、法人税を1%下げると4000億円の税収減になるため、国際公約の達成が難しくなりかねない。

 今回は、安倍内閣が財政健全化の国際公約を達成できるかを、内閣・党幹部の「人事」から検証する。

「安倍人事」を評価する
――財政再建より景気回復優先が鮮明

 安倍首相は、内閣改造・自民党役員人事について、麻生太郎副総理・財務相、甘利明経済財政・再生相、谷垣禎一法相ら現閣僚と石破茂幹事長、高村正彦副総裁、高市早苗政調会長、野田聖子総務会長ら党幹部を、すべて留任させた。一方、若手中心の副大臣・政務官については、交代となった。副大臣には、女性議員を4人起用し、小泉進次郎自民党青年局長を内閣府兼復興政務官に起用した。

 安倍首相は、来年度予算の編成・審議は現閣僚で行う考えを示している。しかし、この連載では以前、「安倍人事」はアベノミクスの財政拡大路線の推進には適しているが、中長期的な財政規律の確立に舵を切るのは困難だと評した(第51回を参照のこと)。これを簡潔にまとめることから、議論をスタートしたい。

「安倍人事」最大の注目は、麻生元首相の副総理・財務相・金融相起用である。麻生氏は積極財政派の「超大物」であり、その政治力で財務省と党内の緊縮財政派を抑え込み、財政拡大を断行する狙いだ。また、甘利経済財政・再生相、菅義偉官房長官らは、元々経済成長を重視する「上げ潮派」とされた政治家だ。彼らは、野田佳彦内閣時代の民主・自民・公明の消費増税「三党合意」の決定過程(第44回を参照のこと)に関与しておらず、元々、消費増税の実現・財政再建に強い思い入れは持っていない。

 一方、アベノミクス推進の障害となる「財政再建派」は周到に経済政策の意思決定から外された。谷垣前総裁の法相、石原伸晃前幹事長の環境相、林芳正前参院副会長の農水相への起用、伊吹文明氏の衆院議長就任などである。彼らは重要ポストに就く一方で、経済政策には直接関われなくなった。

 自民党内に目を移してみる。自民党税制調査会には、野田毅税調会長、顧問に高村正彦副総裁、町村信孝元官房長官、小委員長に額賀福志郎元財務相ら派閥領袖クラスの大物が集まった。三党合意を強力に推進した重厚な布陣である。しかし、首相官邸とのパイプが細く、アベノミクスに関与することができていない。

 また、経済政策の意思決定をサポートするブレーンの配置を見てみる。安倍内閣の官邸には、浜田宏一エール大教授(内閣参与)、元財務官僚の本田悦朗静岡県立大教授(内閣参与)、経済財政諮問会議には伊藤元重東大大学院教授(経済財政諮問会議)と、「リフレ派」と呼ばれる経済学者が起用された。その上、「国土強靭化」の理論的支柱で公共事業の積極的推進を主張する藤井聡京大大学院教授も官邸に起用している。

 一方で、三党合意で設置された「社会保障改革国民会議」の委員で官邸にいるのは、伊藤元重東大教授1人だけだ。ブレーンの起用には、安倍首相の経済成長重視、財政再建・社会保障改革軽視の姿勢が明快に示されているといえる。

このように「安倍人事」は、「公共事業推進派」「リフレ派」で官邸を固める一方で、「社会保障と税の一体改革」三党合意を推進した「財政再建派」を意思決定から外すことで、公共事業拡大と大胆な金融緩和というアベノミクスの「ロケットスタート」を成功させたといえる。

 しかし、「安倍人事」には明らかな弱点がある。それは、財政健全化の実現には機能しないということだ。予算の中に無駄な事業が入り込まないようにチェックするのは党政調会であり、改革推進の際の族議員の「ガス抜き」の場となる総務会である。だが、「安倍人事」の目玉である高市早苗政調会長、野田聖子総務会長の女性執行部は、閣僚経験が少なく、経験不足である上に、無派閥で党内調整力に不安があるのだ。彼女たちをサポートするのは、総務会長代理にベテランの二階俊博氏だが、実質的には族議員の中心として動いている。政調会は族議員の「ガス抜き」の舞台として十分に機能しているとはいえない。

財政健全化は実現するか(1)
減税措置の攻防

 ここからは、「安倍人事」が国際公約である財政健全化を実現させるかを考える。まず、消費増税の決定とともに検討された、増税に伴う需要の落ち込みを補う景気対策を巡る攻防を検証する。

「法人税の実効税率引き下げ」については、財務省や自民党税制調査会が猛反発した。法人税を1%下げると4000億円の税収減になるため、代わりの財源を確保できなければ、15年度の財政健全化の達成が難しくなる可能性があるからだ。

 しかし、「デフレ脱却」にこだわる安倍首相は、財務省を押し切ってこれを実現した。財務省の側に立って調整したのは麻生副総理・財務相だった。しかし、財政再建よりも積極的な成長推進を志向する麻生副総理・財務相は、首相に強く反論することはなかったという。その結果、官邸内に財務相の立場をサポートする政治家は存在せず、財務省は首相の強い意向の前に、手も足も出なかった。

 一方、自民党税制調査会は、法人税の実効税率の引き下げ議論では無視された存在となってしまった。安倍首相ら官邸サイドとなんの協議もないまま、減税が決定されてしまったのだ。要するに、官邸と財務省・税調の人脈の薄さのために、法人税減税による財政再建への悪影響は、ほとんど考慮されることがなかったのだ。

財政健全化は実現するか(2):
自民党税調の機能不全と厚労省の予算要求拡大

 自民党税調が安倍政権の意思決定から蚊帳の外に置かれることで、「社会保障と税の一体改革」の推進が停滞するのは間違いない。社会保障費は毎年1兆円増加すると考えられている。来年4月に消費税率が予定通り8%に引き上げられても社会保障費の増加分は賄いきれないという現実がある。今後の改革の方向性としては、増税とともに、社会保障費の削減を検討せざるを得ないのは言うまでもない。

 だが、官邸とのパイプが薄い党税調は、厚労省をコントロールできなくなっている。その結果、厚労省は、予算の削減どころか、2014年度予算の概算要求で、今年度当初予算に比べ3.8%増の30兆5620億円と、過去最大の予算要求を行うことになった。

 安倍首相は野田税調会長に対して「税制でもレジームチェンジ(体制転換)が必要だ。今までになかったことを考えてほしい」と迫り、日銀による大胆な金融緩和に続く税制面での思い切った措置を促したという。これを受けて、党税調は、設備投資やベンチャー投資、事業再編を促すための思い切った減税措置を取りまとめることとなった。

 だが、このままでは、自民党税調は昔の自民党長期政権時代の税調のように、さまざまな省庁や業界の要望を受けて、ただ「減税措置」というバラマキを行うだけの組織に戻ってしまうだろう(第58回・P.4を参照のこと)。

財政健全化は実現するか(3):
安倍首相は族議員をコントロールできなくなる

 安倍首相は、内閣改造・党役員人事を見送った。また消費増税と景気対策は、党を蚊帳の外に置いてトップダウンで決定した。だが、安倍内閣が高い支持率を維持しているために、党内から不満の声は上がってきていない。しかし、「安倍人事」が族議員を抑える配置になっていないことの影響は、徐々に出始めている。

 2014年度の概算要求では、各省庁が軒並み前年度より大幅増の要求を行っている。例えば、国土交通省は、一般会計総額13年度当初予算比16%増の5兆8591億円の概算要求を行った。公共施設の耐震化など防災や老朽化対策の公共事業関係費の増加や、政府の成長戦略を後押しする重点配分枠として、都市やインフラの国際競争力向上に向けて首都圏空港や大規模港湾の機能強化などが含まれている。そして、自民党の国土交通族が、党政調会の部会で「社会保障予算が増えて公共工事が減っては困る」と訴えるなど、国土交通省の予算獲得を後押ししている。

 参院選で大勝した自民党は、業界団体の支援に対して、予算獲得で報いなければならない。消費増税による予算獲得増への期待もあり、族議員の動きは選挙前以上に活発化している。その動きに乗る形で、2014年度予算の概算要求では、各省庁は積極的な要求を行うようになっているのだ。族議員の予算要求圧力を止めるのは、総務会・政調会の役割だが、「軽量」な総務会長・政調会長にはその政治力はない。安倍首相は、2014年度予算編成の過程で、族議員をコントロールできなくなる可能性が高い。

安倍首相は内閣・党役員人事を再考すべし

 安倍首相が、消費増税を財政健全化の国際公約実現に結びつけるには、現在の内閣・党役員の人事配置のままでは困難であるといえる。首相は、人事凍結の方針を転換し、族議員・省庁・業界の予算獲得要求の圧力を抑えるために、適切な人事配置を行うべきである。

 まず、税調に集められてアベノミクスの意思決定から排除された、野田毅氏、額賀福志郎氏、町村信孝氏ら「財政再建派」の大物議員を、総務会長・政調会長などの党幹部に起用し、族議員ににらみを利かせるべきである。次に、二階俊博氏など大物族議員を、厚労相などの閣僚として取り込むことで、族議員を安倍首相のコントロール下に置くべきであろう。

 適切な人事とは、単純に「敵を排除する」ことではない。時には、敵に活躍の場を与え、取り込んでいくことで、敵の力を吸収して自らのものとすることも必要だ。財政健全化という大改革に取り組む安倍首相には、真のリーダーとしての「器の大きさ」が求められているのではないだろうか。
http://diamond.jp/articles/print/42362


06. 2013年10月02日 00:42:32 : niiL5nr8dQ
【第373回】 2013年10月2日 ダイヤモンド・オンライン編集部
消費税増税決定でも“駆け込み消費”はするな!
森永卓郎直伝「増税・インフレ地獄を生き抜く方法」
10月1日、安倍首相は2014年4月に消費税率を8%に引き上げる最終判断を下した。いよいよ決定したとなれば気になるのが、実際に増税される来年4月までに何をいつ買えばベストか、ということだ。思わず私たちは税金が上がる前に…と“駆け込み消費”に走ってしまいがちだが、果たしてそうしたお金の使い方は正しいのか。消費税引き上げに反対の立場を示してきた経済アナリストの森永卓郎氏に、消費税増税前後の資産運用術と生活防衛術を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

来年4月の消費税8%開始で
アベノミクスは“一巻の終わり”に

――今回の消費税率引き上げ決定は、日本経済、庶民の生活にどのような影響を与えるでしょうか。


もりなが・たくろう
経済アナリスト、獨協大学教授。1957年7月12日生まれ。東京都出身。東京大学経済学部卒業(80年)。日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局等を経て、91年から(株)三和総合研究所(現:三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))にて主席研究員を経て、現在は獨協大学教授。専門分野はマクロ経済学、計量経済学、労働経済、教育計画。
Photo by Toshiaki Usami
 私は来年4月から日本経済が失速し、マイナス成長になる可能性が極めて高いと考えています。そして、“アベノミクス一巻の終わり”になるでしょう。

 7月の消費者物価指数は前年同月比で0.7%上昇しています。日本銀行は今年4月、2年以内に消費者物価上昇率を2%にするという目標を掲げていますが、今のペースでいけば、その中間地点である来年4月には1%に達し、年度平均では1.5%の上昇となりそうです。

 さらに、これはエコノミストの間ではほとんど異論のないことですが、消費税率を3%引き上げると消費者物価に少なくとも2%波及すると言われています。つまり、インフレターゲット部分が1.5%、消費税増税の部分が2%で、来年度は少なくとも計3.5%も物価が上がることになります。

 では、給料はどうなるのか。実はこれだけ景気が劇的に改善しているにもかかわらず、厚生労働省が行う毎月勤労統計調査によると、残業代なども含めた月給(所定内給与+超過労働給与)は前年比でマイナス0.7%と、14ヵ月連続でマイナスになっています。確かにここ最近、特別給与は増加していますが、今後給料が上がるとは私には到底思えません。

 一方の高齢世帯の公的年金については、本来であれば物価スライドで物価が上昇すれば、支給額が増えるはずです。ところが、デフレの際に物価スライドをさぼって支給額を減らさなかったため、それを解消する意味でも、今年と来年は1%ずつ年金がカットされます。また、2004年の年金制度改正で導入されたマクロ経済スライドが、インフレになると発動されるので物価が上昇しても、年金は増えないという事態になるでしょう。

 つまり、現役世帯も高齢世帯も全く収入が増えないなかで、物価だけ3%以上上がるのが、来年度に起こる事態なのです。消費は日本のGDPの6割を占めていますから、それで経済成長するはずがありません。

――安倍首相は景気後退を懸念して、様々な対策を考えているようですが、それに対してはどのような見解をお持ちですか。

 安倍総理は、5兆円規模の経済対策を明言していますが、中身がめちゃくちゃです。短期の補正予算を組むと財務省がきちんと査定できないため、いつもシロアリが集まるみたいに分捕り合戦になり、意味のない公共事業が増えます。それでは、そのもの自体にしか効果がなく、周囲に経済効果は生まれません。それならば消費していた方がマシです。

 また、法人税減税を打ち出していますが、現在は庶民の給料が減る一方で、上場企業はぼろ儲けしている状態です。東証1部上場企業の4−6月期の最終利益合計は、前年同期の約2.1倍とも言われています。お金がないところから奪い取って、あるところに分配したら、景気は落ち込むに決まっています。第一、法人税の減税分は企業の内部留保に回すでしょうから、効果はありません。

 さらに、住民税非課税世帯には簡素な措置として1人当たり1万円を給付するとしていますが、これも意味がありません。非課税世帯は大体年収300万円未満ですが、仮に年間200万円消費するとすれば、消費税3%アップで年間6万円の負担増になります。そこに1万円を戻しても、焼け石に水です。

今から買っておくべき金融資産
1位は「米国債」、2位は意外にも…

――消費増税前になると気になるのが、それまでに何を買っておけばよいか、です。来年4月までにおすすめの金融資産があれば教えてください。

 日銀は、消費増税に合わせて、今の異次元緩和の上を行く追加の金融緩和を検討していますが、私は本当に実施すると見ています。そうした状況を考えれば、何を買えばいいのか答えは見えてきます。

 結論から言うと、私が一番お勧めするのは、「米国債」です。為替相場は、短期的には投機で決まりますが、中期的には資金供給の比率で決まります。日本は今でさえ、2012年末から2014年末までで資金供給量を約2倍に増やそうとしているにもかかわらず、日銀はさらにそれを上回るペースで円を増やすと言っているのです。

 一方アメリカは、まだはっきりしないもののFRBが量的金融緩和からの脱却路線を歩むと見られていることから、ドルは増えないことがわかります。そうなると、経済学の教科書に書いてあるとおり、円安に振れるはずです。

 現に、2000年から2008年のリーマンショック以前は、大体1ドル100円〜130円台を推移していました。つまり、日本経済の実力そのものは、1ドル120円ほどなのです。ということは、そこまで円安に戻ることは何も問題なく、むしろ正常といえます。ですから、まだ円安の余地が少なくとも2割はあり、日銀が追加の金融緩和を行えば、1ドル130円ほどになる可能性も私は十分あると思います。

 では、どのような資産で持つべきか。為替はとても気まぐれで、いつも理論通りに動くわけではありません。また、金を買うのも1つの手ですが、金価格自体が激しく動くので、長期で持つと危ないうえ、手数料も高く、金利もつきません。

 そこでお勧めなのが、米国債なんです。米国債10年物の金利は、現在は約2.6%。それから円安になり、さらに為替差益もつけば丸儲けです。

 2番目におすすめするのは、都心の不動産、J-REITです。ただし、これは“賭け”の側面があります。来年4月からは、消費増税というブレーキを踏みながら、財政出動と金融緩和というアクセルを踏み込むという異常な運転をすることになります、ですから、日本経済は何が起こるかわかりません。

 私は失速する可能性が高いと考えていますが、実は円高不況の際、急激な円高というブレーキを緩和するために、財政出動と金融緩和のアクセルを同時に思いっきり踏んで、その結果、バブルが起こりました。

 ですから、都心の不動産、ロットのお金がない方にはJ-REITをおすすめするのです。確率としては、7〜8割でしょうか。ただこれは、どうなるかわかりません。当たれば大きいけれど、外れると痛いというハイリスク・ハイリターン好みの方に向いています。

 さらにリスクを取る人は、J-REITでも倉庫や物流基地を中心にしており、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)周辺の物件を中に織り込んでいる商品で勝負をかけるのも1つの方法です。圏央道は、東京オリンピックの開催決定によって、早期開通への期待も高まっており、完成すれば、首都圏の経済は革命的に変わるでしょう。

 すでに首都圏向けの物流基地や工場が圏央道周辺に数多く建てられており、最近できたアウトレットは、木更津、入間、酒々井など圏央道の近くにあり、週末は大渋滞も起きるほど活性化しています。圏央道の完成によって都心からどの地域へもアクセスしやすくなることで、ここが新たな経済圏としてどんどん盛り上がるはずです。

 ただ、これらへの投資は危険を伴います。田舎の不動産物件への投資は、都心に比べてリスクがとても大きいからです。ですから、圏央道周辺で大儲けになる確率は2〜3割というところでしょう。

駆け込み消費はするな!
増税後のたたき売りを待て

――消費財については、消費税増税前後、いつ買うとよいでしょうか。

 消費財は、増税前に駆け込みで買わない方がいいでしょう。増税後に消費が失速するため、たたき売りが沢山でてくるので、それを買った方がいいでしょう。

 マンションなどは4月以降の入居であっても9月末までに契約すれば、経過措置で税率5%が適用されましたが、それも終わってしまった今は、たたき売りを見越してむしろ待った方がいいでしょう。車などは、不動産以上にたたき売りになると思いますよ。

――消費税増税後は、どのように暮らしていくべきでしょうか。

 これからは、経済は成長しないのに、物価だけが上がる構造になります。貯金は目減りさせないようにしましょう。また、年金の実質価値も、ものすごい勢いでこれから下がっていきます。ですから、老後の備えもすべきですから、物はなるべく買わない方がいいでしょう。まずは、収入から貯蓄を“はねる”ことです。給料日には月給から先に貯蓄に回して、残りのお金で暮らす算段を考える。後から貯めようと思って貯まった人はいません。

 一番効率的なのは、足立区に住むことだと思います。例えば、北千住や南千住などです。物価が劇的に安いですから。「黄金伝説1ヵ月1万円生活」のときに買い物へ行ったんですが、糸こんにゃくが2キロ50円で売っていましたし、なんでも10円セールというのもあり、とても安く買い物ができました。東京の人にとっては、都心に出るにも交通の便が悪くありませんから、足立区は私の一押しです。
http://diamond.jp/articles/print/42452


07. 2013年10月02日 00:43:22 : niiL5nr8dQ
【第59回】 2013年10月2日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
消費税率引き上げ決定の背後で
三つ巴の対立がもたらす法人税減税の迷走
法人税減税(以下、法人実効税率の引き下げを意味する)はなぜもめるのか。財政目標を軽視する安倍政権と旧来型の税制志向の自民党税調、財源偏重の財務省という3者の利害の相違が原因である。法人税を巡るプラスサムの解決策は、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことしかない。それができるかどうか、安倍政権の真価が問われる。

安倍政権の財政再建への
コミットメントは貧弱

 安倍政権の財政に対する認識の軽さは、特筆ものである。消費税率を3%引上げながら、そのうちの2%分である5兆円を経済対策として還元するという。このことが、わが国の財政目標である2015年プライマリー(基礎的財政収支)赤字半減とどう整合的なのか、その点は厳しく問われなければならない。

 経済対策の中身を見ると、案の定というか、論理の通らないものが数多く入っている。例えば、年金受給者には低所得者対策としての1万円に加えて5000円の上乗せするが、「高齢者にも負担を求めるのが消費税」と言ってきたことと矛盾する。国土強靭化やオリンピックに名を借りた公共事業の追加はなおさらだ。

 消費税率引き上げの議論は社会保障・税一体改革としてスタートしたわけで、その原点を忘れてはならない。

 デフレ脱却を目指すその姿勢に異論はないが、財政再建へのコミットメントの弱みを見せれば、国際投機筋の餌食となる。また、日銀異次元緩和の出口戦略が、財政再建へのコミットメントであることを認識しておかなければ、結局「日銀は財政ファイナンスを行っただけ」という結果になりかねない。この認識が市場に広まれば大規模な日本売りとなる。

安倍政権の考える
法人税減税の狙い

 安倍政権は、今回の経済対策に当たって、最後まで法人税減税・実効税率引き下げに固執した。その理由は、法人税減税により企業所得を増やして、賃金や雇用増につなげたいという考え方がある。

 しかし、企業は政治の思うようには動かない。企業経営者は、よほど先行きへの信頼が持てなければ、雇用を増やしたり賃金を引き上げたりはしない。

 安倍政権のもとで農業・医療分野の期待された規制緩和はほとんど進んでいないし、財政再建の遅れが財政リクスを高めている状況の中では、企業経営者は、「これで日本経済は成長路線に乗った」と確信するまでにはいたっていない。これでは、設備投資の本格的な回復や海外からの投資家の呼び込みは成功しないだろう。

経済界・自民党は
租税特別措置を好む

 では、経済界・経済産業省の考え方はどうであろうか。法人税減税に大きな影響力を持つのは、大手製造業を中心メンバーとする経団連である。

 彼らの法人税に関する伝統的な考え方は、「法人実効税率の引き上げよりも租税特別措置を張り巡らすことによって、大規模投資を行う企業の税負担軽減を優先する」というものだ。

 すべての大企業がそうというわけではないが(また企業のグローバル化によって最近では変わりつつあるが)、「表面税率が高いことは、外国企業の参入を防いでくれる、自分たち国内企業は、減価償却を前倒ししたり、投資をすれば税額控除が受けられるという租税特別措置を張り巡らすことにより、法人税負担を軽減してもらう」という考え方がいまだ支配的だ。その証拠に、毎年のように減価償却制度の前倒しや設備投資減税などの租税特別措置の深掘りを要求してきた。

 おそらく自民党税制調査会も、似たような発想だ。租税特別措置の一つ一つについて○×をつけることこそが自分たちのレゾンデートルだ、と今も考えている自民党議員は多い。かつては、個別利害を突き抜けて天下国家を論じるいわゆる長老政治家が党税調の議論を牛耳っていたが、世代交代が起こり、そのような政治家が少数となったことが影響している。

野放図な減税によって
貴重な財源を失いたくない財務省

 では、財務省はどのような考え方なのだろうか。説明するまでもなく、財務省の最大の関心事は、財源問題である。野放図な減税によって貴重な財源を失いたくない、というこれまた伝統的な考え方である

 法人税減税はかならず大幅なネット減税に結び付き、わが国の財政事情をさらに悪化させる、という確信がある。99年の小渕減税(所得税2.9兆円、法人税1.7兆円をはじめ国・地方を合わせて総額6.6兆円規模の減税)で煮え湯を飲まされた記憶は税制当局に根強く残っている(この件については本連載23回参照)。

 つい最近では、菅政権のもとで行われた11年度税制改正の法人税実効税率の引き下げが、結果的に8000億円弱のネット減税になったこともトラウマのように残っている。

 このように3者3様の考え方だが、にらみ合うだけでは、わが国経済の空洞化を防止し、外国からの投資の促進を図るために必要な法人実効税率の引き下げは実現しない。

 グローバル化の時代、一国だけが高い法人実効税率を維持できるほど世の中は甘くない。放置すれば、国内企業の海外投資はますます加速され、地方経済は空洞化する。さらには、米国多国籍企業のような巧妙なタックスプラニング(第47回、第51回参照)がわが国企業にも広まる可能性があり、わが国から貴重な付加価値が逃げていく事態にもなりかねない。

 一方で、財源のあてもなく減税すれば、15年プライマリー赤字の半減という国際公約した財政目標の達成が不可能となり、日本売りのリスクが高まる。

 そうであるなら、目指すべきは、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げていく」ことしかない。そのために複雑な方程式、利害関係の調整を政権がひきうけるという覚悟をするべきだ。

三者三様の疑心暗鬼を
どう乗り越えるか

 ではなぜこのような簡単なことが合意されないのだろうか。

 それは、「課税ベース拡大」という魔法の言葉の持つ意味を巡る、お互いの疑心暗鬼である。課税ベースの拡大とは、法人税の課税される範囲を拡大することで、特定の企業行動について課税を軽減・免除している特別措置を廃止・縮小することを指す。

 経団連には、課税ベースの拡大といった途端に、現在多くの会員企業が受益している租税特別措置(租特)が縮小される、結果的に税率の引き下げによる税負担の減少より負担が重くなるのではないか、という計算がある。これを偏狭な考え方と見るか、企業行動としては当然と見るかは判断の分かれるところである。

 自民党には、租特の○×の決定権を持つことこそが、税調のレゾンデートルではないか、という気持ちがある。従って、租特を少なくしていく、税制をシンプルにしていくことへの抵抗が本能的に残っている。

 財務省は、課税ベースの拡大には限界があり、小渕減税のように最後には必ずネット減税につながり、財政状況はかえって悪化するという思いがある。

 しかし、グローバル経済は待ったなしで、海外の投資家は、わが国の法人税減税の成否を単純な法人税の話ではなく、構造改革としてみている。私は、毎月10人程度の外国投資家と個別ミーティングを行っているが、どの投資家も、「法人税減税をうまくマネージできるかどうかがアベノミクスの真価」と考えている。

 このように考えてくると、三者とも、偏狭な目の前の利害に固執することはやめて、「課税ベースの拡大により法人実効税率を引きさげる」ことの合意形成を目指して行動を起こすべきだ。

3年間使われていない租特は
全廃するほどの意気込みで

 ドイツメルケル政権の行った法人税改革では、減価償却に大ナタを入れたが、そのくらいの勇気を出すべきだ。租特については、租特透明化法の報告をもとに、3年間使われていない租特は全廃するほどの意気込みがほしい。

 一部企業だけが受益する既得権を廃止して、サービス業も含め広く利益をあげる企業が受益するような法人税改革こそが、わが国経済の構造改革につながる。

 さらに、規制緩和と合わせ行えば、欧州で起きた法人税パラドックス(第52回参照)が起きる可能性も高く、税収増というおつりがくるので、財務省にとっても悪い話ではない。

 法人と個人は決して対立しているわけではない。個人は法人から、労働の対価として賃金をもらい、銀行を通じた預金から利子を受け取り、株式投資を通じて配当と株式譲渡益を受け取る。いわば、同じ船に乗っている。

 法人税減税の成果が、企業業績の向上を通じて家計に所得増、配当増、株式譲渡益増とつながっていくことは、成長の成果を国家財政(税収増)と国民(所得増)に還元していくことにもなる。企業経営者についても、減税の成果をきちんと出せるような経営手法の巧拙・責任が問われることになる。

 そうなってこそアベノミクスは、世界から称賛を浴びる経済政策となる。
http://diamond.jp/articles/print/42445


08. 2013年10月02日 01:02:41 : niiL5nr8dQ
消費増税正式決定、最後まで迷走した経済対策

官邸の巧みな与党・官僚操縦術

2013年10月2日(水)  田村 賢司

 10月1日、安倍晋三首相は記者会見で、来年4月に消費税を8%に引き上げると正式表明した。安倍首相は消費税率の引き上げに合わせて、5兆円規模の経済対策を実施することも発表した。だが、この経済対策の策定はギリギリまで迷走を続けた。
 アベノミクスの第3の矢である成長戦略の柱にもなり得る法人実効税率の引き下げにつなげるため、復興特別法人税の前倒し廃止に固執する安倍晋三首相と官邸に与党が強く抵抗。一時は前倒し廃止の見送りも囁かれた。結局、経済対策では官邸の思惑がほぼ通ったが、その裏には、第1次政権時とは異なる安倍首相の巧みな与党・官僚操縦術があった。
 「官邸も与党からここまで反発が出るとは思わなかったのではないか」

 消費税引き上げに伴う経済対策の策定作業が大詰めを迎えていた9月30日夜、財務省のある官僚は呟いた。

 前週末の時点では、焦点となっていた復興特別法人税の1年前倒し廃止は「今年12月に決定」でほぼ決着すると、財務省も覚悟していた。それほど安倍首相を始めとする官邸の意志が強かったからである。

 最終決着した経済対策と減税は下の表の通りだ。経済対策の総額を5兆円規模にすることは決まったが、内訳のうち、公共事業の額だけは財源を含め、後で決めることになった。表中で「減税」として取り上げたものは、既に決まっている2013年度税制改正分を含めて、経済対策に合わせて行うものだ。

主な経済対策と減税の概要
項目 規模 概要など



策 復興特別法人税の1年前倒し廃止 約9000億円 2013年度末での廃止を検討する
住宅購入者向けの現金給付 約3600億円 −
低所得者向けの現金給付 約3000億円 −
公共事業など 数兆円規模か? −
震災復興事業など 約1兆8000億円 −

税 設備投資など投資を促す減税 約7300億円 −
賃上げ促進税制 約1600億円 −
住宅ローン減税の拡充 約1100億円 −
注:減税の規模は2013年度改正によるものも含む。住宅購入者向け現金給付には被災者分を含む
 5兆円規模の経済対策で最後まで揉めに揉めたのは、東日本大震災からの復興に関わる部分だった。復興特別法人税は、東日本大震災の復興財源確保のために、2012年度から3年間、法人税額の10%を上乗せ課税しているもの。経済対策として出てきたのが、これを1年前倒しで2013年度末に廃止しようという案だ。

「なぜ被災地を巻き込むのか」

 「経済対策の必要性は分かっている。だが、なぜ被災地を巻き込むのか」。9月下旬、官邸が復興特別法人税の前倒し廃止を考えていることが伝わると、自民、公明両党の一部、特に被災地選出の国会議員から反発の声が上がった。

 官邸の本音は、法人税率そのものの引き下げにあったと見られるが、1%で4000億円の税収減になる減税の財源がない。そこでまず復興特別法人税の廃止で、現在38.01%(東京都)になっている法人税率を本則の35.64%に引き下げ、次に法人税率の引き下げを探ろうという狙いがあった。

 しかし、与党の一部はこれに鋭く反応した。「首相が法人税率引き下げをどうしてもやりたいのなら、他の財源でやればいい」「復興特別法人税の廃止でなく、法人税率の引き下げからやるのがスジだ」。

 元々、自民党税制調査会の幹部らは、安倍首相の成長戦略に法人減税が盛り込まれるとの見方が出てきた今年春以降も、「法人税率の引き下げは中長期の課題」としてきた。そこに被災地選出議員らが加わる格好となった。

「法人税を引き下げても企業の内部留保に回るだけ」

 裏には、「復興特別法人税の前倒し廃止でも、法人税率の引き下げでも、結局は企業の内部留保に回るだけではないか」(ある自民党税調幹部)との疑念もあった。企業が減税分を設備投資や賃上げに回さずに貯め込んでしまえば、経済対策としての意味がないというわけだ。

 結局、議論は被災地への配慮と、復興特別法人税の前倒し廃止などの企業減税が内部留保に回らないことをどう担保するかがカギとなった。そこで動いたのが安倍首相や甘利明・経済財政・再生担当大臣に近い経済産業省だった。「企業が減税を生かして実際に賃上げをしたか、経産省が調査すると言っている」。30日夜、財務省内には驚きが広がった。

 一方、同夜の与党税制協議会で、復興特別法人税の前倒し廃止に特に強い抵抗を続けたのは公明党。「これを実施するかどうかを含めて検討するということに過ぎない」。前倒し廃止そのものを否定する勢いの公明党に、落としどころを探っていた自民党税調側がたじろいだとさえ言われるほどだった。

 だが、最後は首相の強い思いと、年末まで決定を先延ばしして復興財源を確保し、企業の賃上げ実施の確認などを盛り込むことで、与党側の反対を押し切る格好になったようだ。

 復興を巡る官邸と与党の“対立”は実はこれだけではなかった。最初に思惑の違いが出たのは、経済対策の財源だった。官邸や財務省は当初から、2012年度決算の剰余金(約1兆3000億円)と、2013年度予算で見込んだ国債費などの使い残し(約1兆円超)、法人税などの自然増収(約1兆円超)で、3兆円台半ばを確保できると考えてきた。

 だが、これでは官邸が最初から想定した5兆円に達しない。そこで浮上したのが、東日本大震災の復興特別会計に残っていた2012年度経費の使い残し分、約1兆3000億円だった。これを使えば、新規国債を発行せずに当初の予定通りの規模を達成できるため、財務省はこの案に固執した。

 ところが、与党の一部が「元々、予定されていた復興事業を経済対策に加えて規模を膨らませただけ」と異論を唱えた。一時は、別に新規国債を発行して公共事業を増やす案も浮かんだとも言われたが、さすがに官邸内でまともに議論はされなかった。

数カ月前は「法人税は中長期の課題」としていた自民幹部

 一連の対立の構図の中で浮き彫りになったのは、与党や霞ヶ関に対する官邸の巧みな操縦ぶりだ。

 数カ月前、自民党税調の最高幹部の1人は「法人税率引き下げなどあり得ない」と言わんばかりに「法人税率の議論は中長期の課題」と一笑に付していた。しかし、官邸は高い支持率を背景に安倍首相の「強い思い」を訴え続け、結局は譲歩を引き出している。

 果たして、安倍首相の強い思いを押し通した経済対策は狙い通りの効果を上げるのか。アベノミクスの真価を問う局面が近づいている。

このコラムについて
ニュースを斬る

日々、生み出される膨大なニュース。その本質と意味するところは何か。そこから何を学び取るべきなのか――。本コラムでは、日経ビジネス編集部が選んだ注目のニュースを、その道のプロフェッショナルである執筆陣が独自の視点で鋭く解説。ニュースの裏側に潜む意外な事実、一歩踏み込んだ読み筋を引き出します。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20131001/254067/?ST=print


09. 2013年10月02日 02:52:14 : Q1h9mUV12k

安倍人形に脳みそはない。ゲンダイは本丸責める勇気もないくせに、

人形ばかりを責める「犬の遠吼え」ばっかし、140円払う価値もない。


10. 2013年10月02日 04:35:15 : DUgWAMMJpU
コイツはコメント欄で安倍批判が起きるのを妨害するための荒らし

niiL5nr8dQ

11. 2013年10月02日 05:41:59 : cLSq4Afrbs
>>10

niiL5nr8dQ←コイツもチーム世耕のメンバーに違いない


12. 2013年10月02日 10:24:15 : exdu8fxPm2
法人税の減税により外資を呼び込むと言っているが、幼稚園レベルの発想である。
外国企業とはどのような業種をいうのだろう?

製造業はそもそも日本に立地して成り立つわけはないのでこない、アパレルは人件費の安いミャンマーなどに立地する。
食品も同様に日本で割高な食材を調達するわけはない。
では販売はどうだろう?
かって西友を買収したウオールマートは撤退したように、日本では安売り競争にさらされ儲けはない。

残るは証券、保険が有望だが現在アメリカンファミリーなど日本法人が進出しておりより一層政府の税収が減るだけだ。

従って外資の誘致などありえない話だ。


13. OVNI43free 2013年10月02日 13:26:47 : IhyfVrYJsi8bA : 72uTZBvf9o
ひどい人がいるね・・・

14. 2013年10月03日 00:18:05 : Hr10yMd0G2
よほどマスゴミを日頃から手なずけているのであろう。
その金は我々の税金から支払われる。
メディアを支配しているから、このような好き放題ができるのだ。
マズイことには見て見ぬふりして蓋をしてくれるし、こきおろしもブーイングもなし。
つまらぬことでもヨイショしてくれる。
うるさい重鎮達の意見など聞く耳持たぬとも平気の平左、無視でもオーライ。
メディアを支配してさえおれば怖いものなしと味をしめ、今のところ有頂天状態といったところなのでは。



15. 2013年10月03日 02:03:01 : LCQ1UN2THc
>安倍首相はなぜ国会を開かないのか これほどの独裁は戦後初めて
集団虐殺のナチスヒットラーと同じか?
集団虐殺のチャウシェスクと同じか?
集団虐殺のポルポトと同じか?

不正選挙、国ぐるみの選挙違反による政党だからか?
公約破り。
憲法違反選挙
憲法違反による安倍晋三問責
オリンピック招致での汚染水完全ブロックのうそ

完全に、悪事を働くことを前提にした政党だな。

次に考えられるのは、国民の弾圧だ。
ポルポトのように、国民を虐殺するつもりかもしれないぞ。
放射能で死んだ人間はいない。(高市早苗)
放射能は安全だ。食べて応援(森まさこ)
原発を再稼働する(安倍晋三)
徴兵に行かない人間は、死刑だ(石破茂)
ナチスの憲法改正の手口を使えば、国民の知らないうちにできる(麻生太郎)

これじゃ、どう見ても戦争を始めるよな?黙っていたら、殺されてしまうぞ。


16. 2013年10月04日 13:10:44 : BIgfJMRMNE
そりゃ今、国会を開いてしまったら安倍の失言暴言で火ダルマになるわな。
それから逃げたいので開かないって事だろ。

17. 2013年10月05日 09:35:30 : C7YClaV8Ew
不正選挙からすべてがはじまってるんでしょうか?

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