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昨年末の総選挙今年7月の参議院選挙を経た今、原発政策に関してもそうだが、政策変更を為政者に託すしかない哀れな状況になったと考えている。
来年4月の消費税増税延期は見事に“読み”が外れたが、為政者への期待値が下がった分(あきらめたということ)、違った角度からいろいろ投稿できると思っている。
先ほど6時から安倍首相の記者会見が行われたが、消費税増税の目的は社会保障制度を持続させるための財政健全化にあると説明し、増税が景気の腰折れにつながるという懸念もあるが、「経済再生と財政健全化は両立する」と語っていた。
しかし、消費税を増税しても「経済再生と財政健全化は両立」という主張は、妄言以外のなにものでもない。
消費税増税政策で言えるのは、せいぜい、消費税を増税しても「経済再生と税収増大は両立」できるというものでしかない。
なぜなら、最近の別の投稿で説明したように、消費税増税対策と称して赤字財政支出を増大させれば、その“成果”として税収も増大することになるからである。
来年14年度の歳出総額は、年度中の補正予算も加えて110兆円超の規模になると予測するが、消費税8%で10兆円の支出(=需要)増加は単純に計算すると8千億円の消費税収増加につながる。
地方税は別として、所得税や法人税まで考慮すれば、それだけで1兆円を超える税収増になるだろう。
そんな愚かな政策は採らないだろうが、見掛けの税収を増やしたいのなら、放漫財政に走ればいいのである。
税収の増大は、必ずしも財政の健全化を意味するものではない。
「財政健全化」というからには、最低でも、「税収増加>歳出増加」でなければならない。
「歳出減少>税収増加」をめざす方法もあるが、それでは、「経済再生」のほうがおぼつかない。
安倍首相が「経済再生と財政健全化は両立する」と豪語するのなら、追加的「経済政策」や「減税政策」からいつの時点で撤退できるのかを示さなければならないだろう。
財政負担の増加を避けつつ経済成長を達成するためには、民間企業部門における設備投資増大・輸出増加・雇用増加や賃金引き上げが必要である。
設備投資は、これまでの設備を維持するレベルでは成長にほとんど寄与しない。
設備投資が低迷してきた原因を考えれば、設備投資が増加するためには、借り入れや設備投資が重石になるデフレから脱却するとともに、需要が増大に向かわなければならない。
拡大が見込める需要地の近くで生産力を増強すると考えるのが企業経営者であり、名目GDPが縮小しているような地で生産力を増強する気にはなかなかならない。
国内の需要が縮むなかでも設備投資に動くとしたら、輸出の増加が見込まれるときである。輸出実績データを添付したが、06年から08年にかけては欧米諸国や中国の好景気に支えられて輸出も伸び設備投資も増加した。
来年以降の世界経済は、ユーロ圏で今より好転すると予測しているが、米国は現状維持がいいところで、中国を筆頭とする新興国の景気は先進国の景気に規定されるものだから大きな伸びが期待できない。
オーストラリアやロシアそしてアフリカなどの資源輸出国は、市況の低迷が続くため来年以降も厳しい経済状況が続くはずである。
安倍政権が「経済再生と財政健全化は両立する」というのなら、来年以降の世界経済の見通しも示す必要がある。
雇用の拡大や賃金の上昇は、安倍首相の思いはともかく、需要の増加や労働市場の逼迫がなければ達成されない。
国策として賃金統制を実施するのなら別だが、労働市場が供給過多で販売単価も上がらない状況で賃上げに踏み切る企業は少ない。
民間部門で賃上げ余力があるのは、これまで蓄積してきた内部留保と円安による増益で手元資金が豊富なグローバル企業に限定されていると言って過言ではないだろう。
消費税の税率がアップされれば、この傾向はますます強まる。
消費税負担増加を最終消費者にスムーズに転嫁できる序列を考えると、「電力・ガス・水道・公共輸送機関・電話などの事業者」→「世界的ブランドものの販売事業者」→「寡占状況にあるグローバル企業」といった具合になるだろう。
このなかで賃上げ余力を持つのは、消費税増税で利益を得るグローバル企業だけである。
公共事業者や国内販売事業者は、消費税納税額が増える分を販売価格に上乗せしただけの可能性が高いから、手元に残る付加価値が増えるわけではないからである。
イオンやイトーヨーカ堂など流通大手は、販売力の大きさを盾に、消費税負担増加分を仕入価格の引き下げやPBの増加で躱そうとするだろうが、グローバル企業のように大きな利益を享受できる立場ではない。
消費税負担増加分を転嫁するということは、総需要をそれだけ食うということである。食われた需要に頼るしかない“その他の事業者”は、消費税負担増にもがき、なんとか存続しようと人件費を削る方向に動かざるを得ない。
それでも、最後に残された成長エンジンである賃上げや雇用拡大を達成したいのなら、公共投資を増大させるしかない。
公共投資は、消費財や消費者向けサービスを供給する事業ではないので、費やされるお金が増えれば、消費者物価を上昇させる強い力として働く。
ただでさえ人手不足の建設業界により多くの需要が舞い込んでくるのだから、こなしきれないのが現実だとしても、雇用の増加や賃金上昇が生じることは間違いないだろう。
しかし、公共投資に依存する路線は、“放漫財政”そのものであり、財政は改善されるどころかさらなる政府債務の積み増しに向かうことを意味する。
“放漫財政”で総需要がわずかばかり増大しても、グローバル企業や有力企業が先に食ってしまうため、“その他の事業者”の苦境は改善されない。
公共事業の消化状況を考えれば、公共投資の一定程度の積み増しはいいとしてもほどほどに抑え、介護や医療に従事する人々の賃金増大を考慮した政策にシフトすべきだと考えている。
※ 参考データ
[輸出実績]
97年 50.9兆円
98年 50.6兆円
99年 47.5兆円
00年 51.6兆円
01年 49.0兆円
02年 52.1兆円
03年 54.5兆円
04年 61.2兆円
05年 65.7兆円
06年 75.2兆円
07年 83.9兆円
08年 81.0兆円
09年 54.2兆円
10年 67.4兆円
11年 65.5兆円
12年 63.7兆円
※ 参照投稿
「(消費税増税−(増税対策財政支出+法人減税+“自然税収減”など))<0:それでも消費税増税に踏み切る為政者はいないハズ」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/666.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その1)」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/757.html
「安倍首相(財務省)が消費税増税を延期するワケ(その2)5兆円規模の「経済対策」や2兆円規模の「法人減税」の有効性」
http://www.asyura2.com/13/hasan82/msg/770.html
「首相、消費税8%方針表明…閣議で正式決定へ:アホな決定がそのままなら日本経済は奈落に向かうことになる」
http://www.asyura2.com/13/senkyo154/msg/455.html
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