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【山本知弘】安倍政権が構想する「国家戦略特区」で、従業員を解雇しやすくしたり、労働時間の規制をなくしたりする特区の導入が検討されている。政府は今秋の臨時国会に関連法案を出したい計画だ。特区をつくるねらいは何か。働き手にどんな影響があるのか。
■ベンチャー・外資の進出促す
特区は安倍政権がかかげる成長戦略の柱の一つ。企業に「不便」な規制をゆるめ、もうけやすい環境を整える。政府は5月、国家戦略特区ワーキンググループ(WG)をつくり、自治体や企業にも提案を募って、雇用や医療、農業、教育などの特区を検討してきた。
うち雇用では、(1)入社時に結んだ条件に沿えば解雇できる(2)一定の年収があれば労働時間を規制しない(3)有期契約で5年超働いても、無期契約になれるルールを適用しなくていい――の3点だ。働き手を守る労働契約法や労働基準法に特例を認める。
(1)と(2)の特例は、開業後5年以内の企業の事業所に適用。外国人労働者の比率が3割以上の事業所では(3)の特例も使える。ベンチャーの起業や、海外企業の進出を促すためだという。
背景にあるのが、「いまの解雇のルールがわかりにくい」という考えだ。いまは、やむを得ない事情がないと、企業は自由に解雇できない。解雇は働き手にとって不利益が大きいためだ。裁判で解雇の是非を争うと、裁判所の総合的な判断にゆだねられる。
■「遅刻したら解雇」も可能に
一方、特区では、企業と働き手があらかじめ結んだ約束を優先させる。例えば「遅刻をすれば解雇」と約束し、実際に遅刻したら解雇できる。解雇のルールを明確にすれば、新産業の育成や海外企業の活動がすすむという考えからだ。だが、強い立場の企業が、弱い労働者に不利な条件を強要して雇用が不安定になるおそれがある。
また特区では、1日の労働時間を原則8時間とする制約を外した働き方も可能にする。自由な働き方を認めれば、高額報酬を期待する専門性のある人材や技術者を呼び込めるという見方からだ。時間ではなく「仕事の成果」に報酬を払うという考えも背景にある。
働く人が希望した場合のみとの条件付きだが、残業代や深夜労働への割増賃金はない。「より評価される成果」を得るため、無理な働き方をする人も増えかねない。
こうした制度は第1次安倍内閣でも「ホワイトカラー・エグゼンプション」として提案されたが、「残業代ゼロ法案」と批判され、取りやめになった経緯がある。
■厚労省は導入に反対
仕事がなくなれば雇いどめできる、有期契約の非正規労働者を続けて、ずっと働かせられるようにもする。
労働契約法改正で今年4月から、短期契約を繰り返す契約社員やパートでも、同じ職場で通算5年を超えて働けば、正社員のように無期契約への変更を希望できる仕組みが導入されたばかり。安定雇用へ向けた法の考えが骨抜きになる。
厚生労働省は「雇用は特区になじまない」と導入に反対だ。働き手を守る最低限のルールは全国一律であるべきだとの考えからだ。政府は10月半ばからの臨時国会に関連法案を出す方針だが、政府内でも調整ができるか不透明な情勢になってきた。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201309300004.html?ref=comkiji_txt_end_kjid_TKY201309300004
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