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「らしさ」全開でリスク高める安倍総理
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★「田中良紹氏の視点ー(2013/09/27)」★ :本音言いまっせー!
安倍総理がニューヨークで「らしさ」を全開させている。
保守派のシンクタンクであるハドソン研究所では
「私を右翼の軍国主義者と呼びたければ呼べ」と中国を挑発する
演説を行い、ニューヨーク証券取引所では
「帰国後直ちに大胆な(法人)減税を断行する」と発言し
「アベノミクスは『買い』だ」と投資家向けに自己宣伝を行った。
「汚染水は完全にコントロールされている」とIOC総会で演説し、
オリンピック招致を勝ち取ったと評価された事に安倍総理はご満悦らしい。
その延長上に今回の一連の発言もあるように思う。本人は良い気持ちで
しゃべっているのだろうが発言内容の土台には誠に危ういものがある。
ハドソン研究所での演説は安倍総理が同研究所の創設者である
ハーマン・カーンの名を冠した「ハーマン・カーン賞」を受賞した事から
行われた。ハーマン・カーンは未来学者として有名だが、冷戦下で
限定核戦争を肯定する内容の『水爆戦争論』を書いた事でも有名である。
スタンリー・キューブリック監督が核戦争の恐怖を描いた
映画「博士の異常な愛情」には、ハーマン・カーンをモデルにした
ドクター・ストレインジラブが登場する。
2年前の2011年にはこのハドソン研究所で自民党の石原伸晃氏が
講演した。そこで石原氏は尖閣諸島を公的な管理下に置いて自衛隊を
常駐させる考えを表明し、日本の軍事予算を増額し、またアメリカが
主導するTPPを受け入れる姿勢を見せた。日中の軍事的緊張を高め、
財政的に軍事費を減らさざるを得ないアメリカの肩代わりを行い、
アメリカの進めるグローバリズムに協力する考えは、いずれも
ハドソン研究所が主張する路線に迎合するものである。
すると翌年の4月に父親の石原慎太郎東京都知事が今度はワシントンの
ヘリテージ財団で講演し、東京都が尖閣諸島を買い上げる方針を打ち
上げた。これが日中関係を悪化させる最初の一手となった。
つまり日中関係を悪化させたい勢力がアメリカ国内にいて、
それに石原親子は迎合した。石原伸晃氏を総理にするために親子で
アメリカの後ろ盾を得ようとしたのである。
それでは日中関係を悪化させたい勢力の目的とは何か。それは冷戦が
終結した後のアメリカによる「世界一極化構想」から始まる。
アメリカはソ連なき後、一国で世界を支配しようと考えた。そのため
1992年、チェイニー国防長官、ウォルフォウィッツ国防次官ら
ネオコンが、秘かに「防衛計画指針(DPG)」を作成する。
内容はアメリカに対抗する勢力の出現を許さず、アメリカだけが
グローバル・パワーを維持しうる国際秩序を作るというものである。
その中でアメリカの敵性国とされたのがロシア、中国、日本、ドイツの
4か国であった。当初は機密文書として作成されたDPGだが、
広くアメリカ国民に知らせるべきだと考える人間によって
ニューヨーク・タイムズ紙とワシントン・ポスト紙にリークされ、
この構想は共和党右派だけでなくジョセフ・ナイをはじめとする
民主党内にも賛成する者が現れた。
アメリカの同盟国とりわけ日本がアジアで台頭する事はアジアを
不安定化させるというのがアメリカの考えである。従ってアジアには
アメリカの卓越した軍事力の維持が必要とされた。
その枠の中で日中がつぶし合いを演じてくれる事はアメリカにとって
都合が良い。しかし日中の紛争にアメリカが巻き込まれる事は望ましく
ない。それがアメリカのスタンスである。
ネオコンは軍事力による世界支配を考え、それに影響されたブッシュ
(息子)大統領はアフガニスタン、イラク、イラン、シリア、リビア、
スーダン、ソマリアなどを次々攻撃する事を計画した。ロシア、中国、
北朝鮮も攻撃対象と想定されていた。
しかしイラクとアフガニスタンで戦争は泥沼化し、さらに市場原理主義
がアメリカ経済を破綻に追い込む。そこでオバマ政権が登場する事に
なった。
今回のシリア問題への対応や1979年以来となるアメリカとイランの
ハイレベル会談が実現した事からも分かるように、オバマ政権はDPG
で攻撃対象とされた国々を敵とするのではなく、国内の単独行動主義や
軍事力による世界支配を主張する勢力を敵としている。
しかしそれを知ってか知らずか、安倍総理はネオコン系のシンクタンク
で中国に対する挑発演説を行ったのである。いかにも安倍総理「らしい」
とフーテンは思った。
ニューヨーク証券取引所での発言は、それによって株高が加速される事
を狙ったのだろう。実際に法人税の大胆な減税が実現するとの期待感
から株価は値上がりした。しかし期待に働きかける事をやり続けるのは
政治的なリスクを大きくする。政権の命運を市場に握られてしまう
からである。市場にとって法人税の「大胆な減税」はすでに
「織り込み済み」となった。市場は次に法人税の「大胆な減税」を
「早く」実現するよう求めてくる。
その期待を裏切れば政治は市場から逆襲される。
そして市場の要求通りの政治を行う事が至上命題となり、政治が市場の
奴隷となる。その種を安倍総理はニューヨークでまき散らしてきた。
参議院選挙に勝利して「ねじれ」を解消させたことが安倍総理に強気の
政権運営を可能ならしめている。しかし第一次安倍政権は、自民党が
大量議席を持っていたが故の強気の政権運営から自滅した。
「らしさ」を発揮すればするほど自らの首を絞める事になると
フーテンには思える。
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