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2013年09月28日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆安倍晋三首相が9月26日午後(日本時間27日未明)、米ニューヨークの国連本部で約20分演説し、「開かれた海の安定に国益を託すわが国にとって、海洋秩序の力による変更は到底許すことができない」と述べ、沖縄県・尖閣諸島の強奪をもくろむ中国を暗に牽制したという。産経新聞が報じた。
中国は、共産党1党独裁国家であり、「自由と民主主義」、すなわち「基本的人権の論理と個人意思尊重の民主政治の論理」に上に成り立った国家ではない。平気で国際法も無視するような国家である。決して法治国家ではなく、為政者の恣意による「人治国家」である。文明史から見れば、明らかに「後進国」であり、「発展途上国」以下であり、「野蛮国」の域を抜け出ていない。
こんないわば「劣等国」と対等に付き合うこと自体、文明国家である日本としては、痛し痒しの感がある。
◆「中国と日本とは、引っ越しできない隣国どうし」とは言うけれど、だからと言って、無条件に対等に付き合わなくてはならないというのは、大間違いである。「基本的人権の論理と個人意思尊重の民主政治の論理」に照らし合わせて、間違いがあれば、日本は、正々堂々と、その誤りを指摘し、改善を求めなくてはならない。中国に媚びる、すなわち「媚中」主義は、文明史に反することになるからである。
しかし、日本政府も悪い。というよりは、「間抜け」である。中国の古典的な「覇権主義」「膨張主義」は、日中平和友好条約によって、「禁止」されている。にもかかわらず、歴代日本政府は、北京政府に対して、「日中平和友好条約の覇権条項に違反する」と一度も抗議したことがない。これは、一体どういうことなのか。
日中国交正常化したのは、田中角栄首相と大平正芳外相(後の首相)だった。だが、日中平和友好条約を締結したのは、「台湾派」の福田赳夫首相であった。
不思議なのは、安倍晋三首相は、祖父・岸信介首相→福田赳夫首相(父・安倍晋太郎官房長官)直系の自民党派閥「清和会」所属の政治家であるから、北京政府が「日中平和友好条約の覇権条項に違反する」行動を「海洋戦略」と称して東シナ海から南シナ海、さらには太平洋にかけて展開していることを指摘もせず、非難すらしていない。
これは、福田赳夫首相とケ小平副首相が、首相官邸で行われた日中平和友好条約調印式で調印していた場面に内閣記者会所属の記者として取材した私の目から見ても、不思議どころか、不可解なことである。「台湾派」の石原慎太郎元環境庁長官(現・日本維新の会共同代表、前東京都知事)は、当時、「青嵐会」(中川一郎会長)の事務局長として日中平和友好条約締結に反対していたので、今日までその節を守り、「尖閣諸島は、東京都が買います」と言ったのはよく理解できる。
◆安倍晋三首相は、国連で一般演説し、「うまくいった」と自信を深めたのであろう。強気のメッセージを北京政府の習近平国家主席に発信した。
時事通信が 9月27日午後9時39分、「日中首脳会談を呼び掛け=安倍首相」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「【ニューヨーク時事】安倍晋三首相は27日の内外記者会見で、冷え込んだ中国との関係改善について「私の対話のドアは常にオープンだ。中国側にも同様の姿勢を期待する」と述べ、首脳会談に応じるよう求めた」
国内で未だ政権基盤が固まっていないのが、習近平国家主席である。安倍晋三首相と仲良く手を結んでいる姿を中国人民に見せつけてしまっては、「反日」を演出して、人民の不満を外に向けにくくなる。果たして、安倍晋三首相の「日中首脳会談」呼びかけ策謀の高等戦術に安易に乗るであろうか。
【参考引用】ZAKZAKが9月27日、「首相、国連演説で中国を牽制 『1国で安全守れない』」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「安倍晋三首相は26日午後(日本時間27日未明)、米ニューヨークの国連本部で約20分の演説を終えた。世界の平和と安定に貢献するために『新たに《積極的平和主義》の旗を掲げたい』といい、『いかなる国も1国のみでは自らの平和と安全を守ることはかなわない』と述べ、国連の集団安全保障措置への参加に意欲を示した。中国などの名指しは避けたが、外交問題で『開かれた海の安定に国益を託すわが国にとって、海洋秩序の力による変更は到底許すことができない』と述べ、沖縄県・尖閣諸島の強奪をもくろむ中国を暗に牽制した。また、女性・平和・安全保障に関する『行動計画』を策定するとして、女性の社会進出や保健医療を支援するため今後3年間に30億ドル(約3000億円)超の政府開発援助(ODA)拠出や、シリア難民支援として約6000万ドル(約60億円)を追加実施する方針を正式表明した」
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