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2013年09月26日
いつもの珈琲ショップで、昨日の朝日新聞朝刊に目を通していたら、「国債暴落のトラウマ」と云う見出しで、黒田日銀は当初、異次元金融緩和で、長期金利を低め誘導しようとする明確な目標を持っていた。ところが、いざ金融緩和が始まると、長期金利は0.5%から1.0%に、アレヨアレヨと言う間に跳ね上がった。日銀内部は大混乱の極みだったそうである。黒田総裁は平気な顔を装ったが、まさに青天の霹靂だったに違いない。1.0%の長期金利では、国債の利払いでアウトだ。財政のひっ迫は最終段階を迎え、「はい、デフォルト!」と宣言されるからである。
朝日の記事によると、慌てふためいた黒田日銀は、債券市場に参入している大手金融機関に「これ以上、国債を売るな!」と恫喝したと云うのだそうである。マスメディアが報じなくても、それ以外に長期金利1.0%高騰が0.67程度で安定している理由の説明がつかないからだ。アベノミクスとチヤホヤされる自民党の奇想天外な金融経済政策が的を射る可能性は数%の確率なのは、概ね気の毒な事実と考えている。それにしても、未曾有の財政赤字を抱えた日本国債の金利が1.0%以下で抑えられているか、そもそものカラクリをおさらいする必要があるだろう。以下に、古い記事だが基本の基を判りやすく書いてあるコラムがあったので、掲載しておく。ただし、このコラムを全面的に支持しているわけではない。
≪ 日本国債、なぜ低金利?
ユーロ圏で起こった債務危機。政府の債務残高の増加がデフォルト(債務不履行)を引き起こすのではと懸念され、ギリシャ国債の長期金利(新発10年物国債の流通利回り)は30%以上に上昇(既発国債価格は下落)した。一方、GDP(国内総生産)比200%を超え世界でも飛び抜けた債務残高水準にある“借金大国”日本。しかし、日本国債の長期金利は1%前後で低位安定している。なぜなのか。千葉商科大学大学院教授の伊藤宏一さんに聞いた。
「国の借金、増え続けると危険」
注目されているギリシャの財政。償還期限を迎えたギリシャ政府発行の国債が償還できない(デフォルト)となれば、イタリアなどほかのユーロ経済圏の国債にも影響を及ぼすことは必至だ。それが、きっかけとなって日本を含む世界主要国の長期金利が上昇して、すでに発行されている国債価格が下落すると懸念されている。
このギリシャの債務はGDP比160%の水準、これに対して日本は200%を超える。この数字だけをみると、日本がギリシャより金利が高くてもおかしくはない。なぜ、日本は低位安定しているのか。
「それは、日本の銀行が国債を買っているからです」と伊藤さんは話す。銀行はわれわれ国民の預金を企業に貸し出そうとするが、デフレ下で企業の設備投資意欲が低いため借り手が少ない。そのため銀行は運用を図るために国債を購入し、間接的に国民が国債を購入しているという構図になっている。
巨額の対外純資産
銀行が国債を購入している資金は国民の預金だけではない。企業が銀行に預けた余剰資金も間接的に国債を買い支えている。さらに巨額の海外資産もある。
「日本の対外純資産は250兆円以上あるといわれています。そこから生み出される利子や配当収入が月1兆円、年間では12兆円にもなるのです」と伊藤さん。
一方でギリシャは発行する国債のほとんどを外国が買っている。そのため政情不安や財政危機ということがほかの国に伝わると新発国債の金利を上げないと売れないため、金利が高くなる(既発国債の価格は下落)というわけだ。
そもそも、こうしたユーロ危機が起こったのは2008年のリーマン・ショックが原因だ、と伊藤さんは言う。「この時、金融危機を食い止めるために各国が財政出動をしたんです」。国債を大量に発行して得た資金で内需拡大や雇用対策などを行い、危機は収まったかにみえた。しかし、今度は各国政府の債務が大き な問題になってしまったのである。
ローン負担増も
金利が上昇するとわれわれの生活に及ぼす影響は大きい。特に住宅ローンを変動金利で組んでいる場合、金利が上昇して返済負担が重くなったりする。
日本では、今のところ国債を新規に発行しても銀行などが購入しているため、ギリシャのような状況になるのは予想しにくい。しかし、「5年、10年先となると話は別。このまま借金が増え続けるのは危険」と伊藤さんは警鐘を鳴らす。「1400兆円といわれる個人金融資産がだんだんと目減りしていき、今後3 年〜5年で新発国債を購入しきれなくなるという見方がある」と話す。そうなると海外からの購入に頼らざるを得なくなったギリシャの二の舞いだ。
それまでにやらなくてはいけないのが財政再建。国の予算は年間支出が90兆円を超えているのに収入は大幅に下回っており、およそ半分を国債という借金で賄っている状況。ファイナンシャルプランナー(FP)でもある伊藤さんは、「収入の4割が借金返済になると家計は破綻する」と話す。そうならないための支出削減策として、国会議員の定数減や公務員給与引き下げ、国の無駄な資産売却などを挙げている。 ≫(「定年時代」:お茶の間けいざい・千葉商科大大学院教授・伊藤宏一さんに聞く)
敢えて、国債価格や長期金利に疎い読者のために引用したので、「ふざけるな!こんなことは常識だ」と云う方々は飛ばして頂いても結構である(笑)。しかし、いくら持ちつ持たれつの関係にある、日銀と金融機関だからと云って、準公的権力を持つ日銀が、その政策の誤謬の発覚を糊塗する為に、自由であるべき市場に介入することは、傷を深くすることに繋がるのではないのだろうか。地雷をより深く埋めたとしても、その危険性が除去されるわけではないので、危険が一気に噴出した時は、軌道修正が出来なくなる恐れもある。
本日、日銀は2兆円以上の金融機関の長期国債やCPを買い入れるため、金融機関が日銀に預け入れている当座預金が100兆円に達するそうである。しかし、極論すれば、債券市場に流しこんだ中央銀行の異次元金融緩和のマネーが中央銀行と金融機関を繋ぐクローズドなパイプラインの中で循環するばかり、本来の目的である、マネタリーベースを増やすことで、民間の経済活動の活性化には貢献していない事実が、如実に現れている。
これでは、見せかけ“張り子の虎”のような異次元金融緩和に過ぎないだろう。市中に一切金は出て行かないではないか。僅かな設備投資の統計数字が改善したと、藁をも掴むような話に飛びついているが、論理的に国内の設備投資が上向く基盤はどこにも見当たらない。日銀黒田は、守備範囲でもない政府の税制に言及、「消費税を予定通り増税しなければ、日本国債の信用低下に繋がる」と語り、腹いっぱいに抱え込んだ日本国債の暴落に戦々恐々だ。
しかし、形式だけ整えても、金融機関の日銀預け入れ当座預金が増えるだけのクローズなサイクル・パイプラインを循環するに過ぎない金融緩和であれば、汚染水は漏れないことが肝心だが、閉鎖循環装置の中に入れておいて、市中にマネーが漏えいしないことには、まったく意味がない。いっそ、国民一人当たり3万円ほど、有り余ったマネーの分け前を配分した方が効果的でさえある。霞が関の金食いフィルターを通過しない分、経済活性化には有効かもしれない。
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