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被用者年金制度の一元化法について
敬老の日に、米寿の祝い金の代わりに被用者年金一元化法に係る共済年金10パーセント減額通知を受け取り苦笑した。減額は恩給期間のある退職者に限られ、且つ恩給期間の長い高齢者程より高率の減額を課している点に不条理を感じる。年金は高齢者の唯一の糧であり、高齢者の既得権剥奪を先行させるような改革は敬老の日を形骸化するものである。第180回通常国会解散間際のどさくさに紛れて、当時の民主党議員の中でも反対者が多かった被用者年金一元化法を成立させた愚鈍な野田佳彦君の面影が頭を過ぎった。
地方公務員の場合は、現在の地方公務員共済年金制度(地共済法昭和37年12月施行)創設時に、国家公務員の場合は(国共済法昭和34年10月施行)創設時に、恩給期間を共済期間と見做したことについては社会的なコンセンサスが出来ており、当時の公務員に全く責任がないことは自明の理である。50年以上も経過した後になって、法の不備を当時の公務員に転嫁して、追加費用削減という名目で一方的に年金の減額を実施することは条理に悖る措置であり、恩給期間の長い高齢者にとっては死活問題となる暴挙であり法律不遡及の原則に反するものである。
ここに、法律不遡及の原則とは、「新たに制定されたり、改正された法律が、その施行以前の関係にさかのぼって適用されないという原則」であり、そうでなければ、既得権を害したり、過去にされた予測を裏切ったりして、法的安定性が害されることになる。
高額所得者の資産を社会還元させることは、資本主義経済の健全な発展に必要不可欠であることは論を俟たないが、敬老精神の欠片も持ち合わせていない内閣法制局法匪連作成の被用者年金一元化法の主要項目の一つである「公務員の恩給期間に係る追加費用削減」の規定は、資産を含め実質的な経済力を考慮することなく恩給期間だけを基準に高所得者とみなし高率の年金減額を終生に亘り実行する悪法である。
高齢者を日本経済の癌細胞と考える小泉純一郎・竹中平蔵トリオの思想を源流に持つ被用者年金一元化法は、国会の良識により廃案化されていたにも拘わらず、愚鈍な野田佳彦君のスカンクの最後っ屁によって、国会解散間際のどさくさに民自公の三党合意により蘇った。年金だけを頼りに生活設計を立てていた高齢者にとっては、正に現代の楢山節考である。長生きして悪かったと高齢者に言わせるようでは日本の未来はない。
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