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安倍総理の「らしさ」を封ずるキャロライン起用
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64179103.html
★「田中良紹氏の視点ー(2013/09/21)」★ : 本音言いまっせー!
オバマ大統領から次期駐日大使に指名されたキャロライン・ケネディ氏
の承認公聴会がアメリカ議会上院で行われた。
知名度は抜群ながら外交や政治的経験の乏しい人物の大使起用に懸念を
示す向きもあるが、議員たちから厳しい質問が飛ぶことはなく、本人も
模範答弁に終始して公聴会は終わった。
この公聴会からケネディ氏が日本の直面する課題にどう対応しようと
しているかを推し量る事は出来ない。全く何も答えていないに等しい
承認公聴会だったからである。これによってネームバリューはあるが
実務的能力は未知数の駐日大使が誕生する事になる。
しかしリベラルな環境に育った初の女性大使起用に今のアメリカが
日本に何を望んでいるかを読み取る事はできる。
公聴会の模様を報ずるメディアは、キャロライン・ケネディ氏が
父親の故ケネディ大統領が日本訪問を計画していたのに果たせなかった
ことに触れ、また自らも20歳の時に広島を訪れて心を動かされたと
語ったことを大きく取り上げ、親日的な側面を強調しようとした。
しかしフーテンは次期駐日大使が親日的なスタンスだとは思わない。
ケネディ一族と同じスタンスで日本に臨むことになるのではないかと
考える。
故ケネディ大統領が就任した1961年は、その前年に吹き荒れた
「安保闘争」の余波で日米関係は極めて不安定な状況にあった。
安倍総理の祖父である岸信介総理は従属的内容の日米安保条約の改訂を
図ろうとしたが、アメリカに取り入るためにことさら反共主義を強調
して国内の野党勢力から反発された。それが未曽有の規模の反安保、
反米闘争を生み出す。計画されていたアイゼンハワー大統領の
日本訪問は反対運動の高まりによって中止された。
しかし当時のマッカーサー駐日大使は、日本国民の反発はアメリカに
向けられたものではなく岸総理の稚拙な政治運営に向けられていると
分析し、岸総理を切り捨て吉田茂元総理に総理の首を挿げ替えようと
画策した。しかし吉田元総理が後継に池田勇人氏を推挙し、池田氏も
アメリカ側に自らを売り込み、こうして日本は安全保障問題に力点を
置いた岸路線から経済成長に力点を置く池田路線へと転換する。
この時アメリカでもケネディ政権が誕生し、
日米両国はアイゼンハワー・岸の時代からケネディ・池田の時代を
迎えた。ケネディ大統領は駐日大使に、日本で生まれ、日本人の妻を
持ち、東洋史研究の専門家であるハーバード大学のライシャワー教授を
任命する。ライシャワー駐日大使は「イコール・パートナーシップ」を
唱え、それまでアメリカが日本政府や財界の指導層とばかり接触して
きた姿勢を改め、野党指導者や知識人、さらには右翼、左翼の活動家
とも接触を図るべきだと主張した。
そして実際にライシャワー大使はほぼすべての都道府県を訪れて市民
との対話を行い、幅広い階層との接触を図った。その延長上に
アイゼンハワー大統領が果たせなかったアメリカ大統領の初の
日本訪問を実現させようとしたのである。ところが実現を前に
ケネディ大統領は暗殺され、その想いを娘のキャロラインが公聴会で
語った事になる。
また20歳の時の広島訪問は叔父の故エドワード・ケネディ上院議員に
同行したものだが、広島を訪問した事からも分かるように
故エドワード・ケネディ氏は民主党の中でも左派に属する政治家だった。
そしてキャロラインがオバマ大統領の選挙を手伝ったのも叔父の影響に
よるところがあり、次期駐日大使は民主党左派の考えに近いのである。
岸総理と共和党のアイゼンハワー大統領の時代、日米が目指した
安全保障の問題で日本国内に反発が生まれ、それが日米関係に亀裂を
生み出した。それを修復するため故ケネディ大統領は
「イコール・パートナーシップ」を唱え、幅広い階層との対話を訴えた
ライシャワー氏を駐日大使に任命した。
その血を引く娘が駐日大使になろうとする時、日本では憲法改正と
集団的自衛権の解釈見直しに政治生命を賭ける岸元総理の孫が総理で
ある事は何とも皮肉な気がする。無論、憲法改正も集団的自衛権の問題
も内政問題であり、外国からとやかく指図される問題ではない。
しかし同時に安倍総理が自らの「らしさ」を発揮するために掲げている
問題がある。それは靖国参拝であり、従軍慰安婦の強制連行があったと
する河野談話の見直しであり、さらには第二次大戦を侵略戦争であった
とする村山談話の見直しである。
それらの「歴史認識」によって日本は今、韓国や中国との対話が途絶え、
一触即発の危機を抱えている。安倍政権はその危機をアメリカの軍事力
を後ろ盾に突破しようとしているが、アメリカはそうした情勢を利用
して兵器を売りつけ、自衛隊の米軍化を図ることはするが、決して
巻き込まれようとはしていない。
キャロライン・ケネディ駐日大使の任命には安倍総理の「らしさ」を
封じ込める狙いがあるとフーテンは見ている。公聴会で従軍慰安婦問題
は取り上げられなかったようだが、次期駐日大使がリベラルな環境で
育ってきた女性である事を考えると安倍総理の考えに同調するとは
思えない。
さらに言えば安倍自民党が総選挙で掲げた「日本を取り戻す」と言う
標語は、アメリカの共和党右派がオバマ大統領を非難して
「アメリカを取り戻す」と主張した事を真似している。
そこにはオバマ大統領やキャロライン・ケネディ次期駐日大使と敵対する
思想がある。その安倍政権の日本にオバマ大統領はいやでもメディアの
注目を集める大使を送り込んできた。
フーテンは安倍政権誕生直後に「パフォーマンスのてんこ盛り」を
書いて、この政権は政治の内実よりメディア操作に明け暮れていると
指摘したが、パフォーマンスをしなくとも注目される大使を使えば、
「らしさ」を封じ込めるのに強力な力を発揮できる筈である。
キャロライン・ケネディ駐日大使の着任以降、安倍総理がどれほど
「らしさ」を発揮できるか、そこにフーテンは注目している。
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