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2013-09-21
オリンピックの経済効果で復興資金が稼げるので、被災地の復興のためには東京五輪を開催すべきというコメントを頂きました。東京五輪と東北復興を繋げて考えるのはどう見ても無理なので、ここで説明したいと思います。
「オリンピックの経済効果」が何を指しているのか分かりませんが、五輪開催が嬉しくて国民の財布の紐が緩むという効果は確かにあります。日本人はオリンピック好きですから。
しかし、その経済効果は高が知れています。オリンピックは20日間のイベントに過ぎませんし、開催は7年後ですから、消費が盛り上がるとしたら直前からでしょう。
経済効果という点から言えば、公共事業の拡大が一番大きいと思います。しかし、小泉政権の時に公共事業をバッサリ削ってしまい、人材が育っていないので、急に拡大させようとしても現場は対応できません。被災地の復興が遅れている主な原因はここにあります。
こうした中、五輪開催ということで東京で公共事業の大盤振る舞いが始まったら、業者は皆東京へ向かってしまいます。割のよい方を優先するのは当然で、既にそうした動きが始まっています。
割りを食うのは被災地ですから、これで一層復興が遅れてしまいます。だから筆者はこのタイミングでの五輪開催に反対しているのです。
オリンピックの経済効果で復興資金を捻出するというのも、どうかと思います。この2つは本来関係ありませんし、皆忘れていますが、今年から25年間に亘って復興特別所得税が課されます。復興特別法人税は縮小されましたが、復興資金はこうした原資から賄われることになっています。
マスコミは政府に遠慮して東京五輪開催について批判しません。自分たちもそのお零れに与ることができるので、反対する理由はないのですが…。それでも多くの識者たちが懸念を表明しています。
「日刊ゲンダイ」は五輪開催に批判的で、昨日も手厳しい内容の記事を載せています。(「五輪に有頂天な安倍首相 今ヤバイ景気経済の真相とごまかし)
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-9875.html
この記事の中から、識者のコメントを幾つか紹介します。
「すでにインフラが整っている東京では、経済効果は極めて限定的だし、全国に波及するものでもない。そもそも、3兆円なんて、国家予算の規模と比べたら微々たる数字です。しかも、7年間で3兆円ですよ? 年間なら、わずか4000億円。それだけの効果が本当にあるかも疑わしい上、五輪が終わった後の反動はもっと怖い。64年の東京五輪でさえ、翌年に景気が急激に悪化し、株価も暴落した。期待のわりに企業の収益が上がらず、思ったほどの成果がなかったのです。65年5月には、当時の田中角栄蔵相が、潰れかけた山一証券を救済するために日銀特融を決め、7月には戦後初の赤字国債も発行されました。今の日本の状況を考えたら、当時よりヒドイ大不況に陥る恐れがあります」(経済アナリスト・菊池英博氏)
東京都の試算では、五輪の経済効果は約3兆円となっていますが、それが実現したとしても大したことはなく、その反動の方が大きいというのです。日本国民の中には、前回の東京五輪と高度成長を重ね合わせて「夢よもう一度」と期待している人たちもいるようですが、経済的に成熟した今の日本では同様の効果は期待できません。
次のコメントは、公共事業が専門の法大教授・五十嵐敬喜氏によるものです。
「…『五輪のため』と言えば何でも許されるようなムードになっていますが、五輪開催の負の側面にも目を向けるべきです。例えば国立競技場を8万人収容のスタジアムに改築して、五輪後にいったい誰が使うのか。ただでさえ人口減時代なのに、維持管理費も考えたら、将来世代に多大な負担を残すことになる。老朽化した首都高を造り直すのにも莫大なカネがかかります。国費も相当つぎ込まれる。その財源はどうやって生み出すのか。社会保障のための増税だったはずが、いつの間にか社会保障は削られ、公共事業にカネが消えていくことになるのです」
宴の後には悲惨な状況が待ち受けているのです。少子高齢化社会ですから社会保障は政策の最優先課題であるべきですが、安倍政権はゼネコン等に金をバラ撒くことに熱心なようです。
五十嵐氏は、更に次のように述べています。
「64年の東京五輪には、日本は敗戦から立ち直り、これから新しい時代が来るんだという希望がありました。あの時の感動は忘れられない。しかし、今度の五輪には、何も希望が感じられない。五輪開催のために被災地の復興は後回しにされ、東京一極集中で、ますます地方との格差は拡大する。これから7年の間には、少なくとも2回の消費税増税もあります。景気が冷え込むのは確実で、そのシワ寄せは弱者に向かう。とてもハシャげる状況ではないし、おそらく、日本中が64年と同じような感動に包まれる五輪にはならないと思います」
悲観的過ぎるように見えるかも知れませんが、全くその通りです。被災地、特に福島の人たちは、東京五輪開催を厳しい目で見ているようです。「東京五輪? どこの国の話だ。日本は2つあるのか?」と吐き捨てるように言った人もいます。
日本人は何事につけ、忘れっぽいと言われます。直ぐに水に流すのですが、これは美点でもあり、欠点でもあります。目先のお祭り騒ぎに紛れて危機的状況を先送りにするのは賢明とは思われません。
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