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投稿者関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/20130920/1379677203
この映画はスリラー映画の手順に忠実に従って、犯人から送られてきた手紙に代わるビデオテープの再生クレジットシーンから始まり、不気味な絵も添えられたビデオテープが次々と送られて来ることで波紋を広げていき、ラストは観客の驚くビデオテープの犯人たちの会話クレジットシーンで終わっている。
冒頭のクレジットシーンは、パリの高級住宅街の主人公ジョルジュの自宅の長回しの映像であり、ジョルジュと妻アンが突然の何者かによる自宅の監視ビデオを不気味そうに観ている。
ジョルジュは人気テレビキャスターであり、グローバリゼーションの翻訳本を執筆するほどのインテリでもあり、自ら腕力もあると自負している。
警察への届出の際自転車の黒人男性とぶつかりそうとなり、「バカ野郎!」と怒鳴り、相手の長身黒人が「注意しろよマヌケ!」と返すと、「もう一度言ってみろよ」と、殴り合いになりかけるシーンからもわかる。
しかしそのシーンは、彼の性格がフランスの一般的知識人同様に小心で怠惰であり、アルジェリア人に差別的である事を表している。
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ジョルジュには3回目に送られてきた生家を写したビデオを見た際、心の奥に封印されていた子供の頃の記憶が蘇ってきた。
すなわち子供の頃アルジェリア戦争のパリ蜂起で、奉公人アルジェリア夫婦が行方不明となったことから、両親が彼らの息子マジェットを養子として引き取ったが、それを受け入れることができなかったジョルジュが、嘘を両親に告げ口することでマジェットを施設に追いやった記憶であった。
なんとか探し出して再会したマジェットは、ジョルジュとは正反対に落ちぶれていたが、穏やかで見るからに善良であり、彼の突然の訪問を歓迎した。
しかしジョルジュは、マジェットの真摯な否定にもかかわらず全く信用せず、怠惰にもそれ以上相手の話を聞こうとせず、別れ際に「今度したら・・・」と恫喝して立ち去った。
しかし次に送られてきたビデオでは、恫喝シーンと彼の立ち去った後マジェットが泣くシーンが延々と映されており、妻の詰問に対してようやくジョルジュが謝罪し、渋々真相を話す。
数日後息子のピエロが行方不明となり、ジョルジュはマジェットの住居に直行するが出ないため、警察に取り調べを依頼する。
警察の取り調べシーンは映されず、ジョルジュは「マジェット親子は誘拐もビデオも知らないと言い張っている」とアンに報告するだけであるが、復讐など全く心にないマジェットと息子の言い争いが観る側に連想される。
その性か、翌日マジェットの息子と関係があると思われる女性が、ピエロを連れて謝りにくる。
ピエロは連絡もせず心配をかけたことを謝らず、黙って不貞腐れているので、アンは問い正すが、ピエロは母の友人ピエールとの関係を持ち出す。
アンはそれを強く否定して、「愛しているわ」と抱きしめようとするが、突き放して部屋から出ていく。
ジョルジュは小心で怠惰なことから普段から息子とも会話がなく、ここでも何も言えない。
そんなジョルジュであるが、テレビ局では支配者のように振舞い、ランボーについてのテレビ討論では、彼の思うが儘に編集される実情が映し出されている。
そこへマジェットから見せたいものがあると電話があり、訪れるとすぐさまジョルジュの目の前でマジェットが頸動脈を切り、血が噴き出すと同時に即死する。
マジェットがジョルジュの目の前で自殺を敢えて見せようとしたのは、子供の頃彼の嘘によって鶏の首を刎ねたことで、その後言葉で語れないほど苦しんできたからだろう。
それは、ジョルジュにとって数時間放心状態になるほどショックであった。
しかしそれでも、翌日ジョルジュの務めるテレビ局にマジェットの息子が押しかけてくると、家宅侵入で訴えると息巻くが、小心なジョルジュはトイレで息子の「あなたが父の教育の機会を奪った」という訴えに、自分の性じゃないと言うのがやっとであり、これまで経験のない早退をして、睡眠薬を飲んで寝込む。
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そしてラストのピエロの学校正門での長回しシーンでは、マジェットの息子が右下から左上の階段に上っていき、出てきたピエロに話があると左下へ馴れ馴れしく肩に手をかけ連れて行き、少し話した後で右へ去って行く。
ピエロは再び左上の階段を上り、3人の友人と左に去って行く。
これに気が付いた観客は、ピエロが共犯者であったことに驚愕すると同時に、自宅の監視ビデオはピエロなら怪しまれることなく撮影できたことを納得する。
もっともラストシーンはピエロが脅されているという見方もあろうが、どのように目を凝らして見ても、脅されている様子はなく、報告しているように見える。
また母親の愛情を突き放して部屋から出ていった伏線からしても、ピエロが共犯者であることは明白である。
理由は、『白いリボン』で牧師の娘クララたちが犯人であった理由と同じである。
そしてピエロが共犯者であるとわかると、ハネケの映画に託する声が再び聞こえ始める。
アールターグドイツ9・ドイツ連邦選挙(3)・・どんでん返しはあるのか?
上の動画では、シュタインブリュックは社会民主党SPDと与党キリスト教民主同盟CDU の大連立や赤(SPD)赤(リンケ)緑(緑の党)の連立政権はないと断言している。
特にリンケに対してはタブーさえ持ち出して明言しており、たとえ赤赤緑の3党が多数を取ったとしてもシュタインブリュック政権はあり得ない。
3党が多数を取った場合、質問者が指摘するようにシュタインブリュック抜きの3党連立政権の可能性を調べて見たが、SPD党首シグマ―・ガブリエルもその後のインタビューでシュタインブリュック同様タブーさえ持ち出して否定していることから(注1)、まず可能性はないと考えられる。
しかしSPD議員団代表リード・サレンは12日に赤赤緑の政権を選択肢から除外すべきでないと敢えて訴えていることから(注2)、党内にドミノ的反乱が起きればどんでん返しもあり得る。
大連立に関しては先週15日のバイエルン州選挙で自由民主党FDP が投票率3,3パーセント(前回8パーセント)で議席を失ったように、連邦選挙でも万一失えば、メルケルの意向がどうであれ大連立へ動き出す。
9月17日Forsa世論調査、CDU39、SPD25、リンケ10、緑9、FDP 5パーセント。
9月18日Allensbach世論調査、CDU39、SPD26、緑11、リンケ9、FDP6パーセント。
今回の選挙戦では、メルケルにはエネルギー転換を成功させることで、国民に奉仕する福祉社会を築こうとする静かな気迫が感じられた。
一方シュタインブリュックには、社会的公正を唱えながらも、2007年の新自由主義を反省するハンブルク綱領を実質的に無効にする、シュレーダーの労働雇用を産業に奉仕させるアジェンダ路線への回帰が鮮明に感じられた。
私としては政党支持の枠組みを越えて、3期目のメルケルドイツに世界の未来を期待したい。
(注1)SPDは何処に立つのか?
http://www.wdr5.de/sendungen/morgenecho/s/d/10.09.2013-06.05/b/wo-steht-die-spd.html
(注2)赤赤緑連立政権を除外しない。
http://www.rbb-online.de/politik/thema/Bundestagswahl-2013/beitraege/saleh-schliesst-rot-rot-gruene-koalition-nicht-aus.html
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