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西松建設事件から始まり、陸山会事件、水谷建設事件と続いた、いわゆる小沢一郎事件は我が国に政権交替という極めて大きな政治変動があった時期に起きている。このうち西松建設事件は、皮肉にも検察側証人が偽装献金を完全否定したことにより裁判途中で事実上、消滅し、水谷建設事件も陸山会事件を補完するための捏造事件であったことが、元会長と元社長の意見陳述書により明らかになっている。一方、陸山会事件では小沢氏の秘書3人が起訴されたが、小沢氏は嫌疑不十分で不起訴となった。この検察の処分を不服として審査申立てをされた小沢氏は「強制起訴」されることになるが、結局、一審で無罪となり、控訴審でも控訴棄却で無罪となっている。もともと、検察によっては起訴が出来ず、裁判しても当然、無罪になるべき事件だったのである。しかし、この一連の事件により、当時民主党の代表であり、事件がなければ当然、総理大臣になっていたと思われる小沢氏が、現在では所属議員わずか9名の生活の党の代表に甘んじており、如何にこの一連の事件が政治家として大きなダメージであったのかを窺い知ることができる。
小沢審査会が「強制起訴」を公表したとき、その審査員の平均年齢が30.9歳と異様に低かったことから、第五検審に疑惑の目が向けられるようになっていったが、私が興味を持ったのはそれから二年近く経った去年の6月頃であった。きっかけは、開示資料の旅費の振込データ「債主内訳書」をネット上で見たからである。それまでは「架空議決」と騒いでいたので、てっきり旅費、日当は現金払いだと思っていた。この「債主内訳書」を見て、「架空議決」はありえないと思ったので、自分で調べ出したのである。そして第五検審に関する資料を開示請求して調べた結果、ハッキリとした犯罪の痕跡をみつけ「審査員の不正選定」と『「なりすまし審査員」の配置』の二つの犯罪について、検審関係者を刑事告発したのである。これは7月18日に最高検刑第247号として受理(検察では受理は立件を意味する言葉で、この場合は受付というらしい)されている。受理されたというのは告発内容には不受理に出来ない、それ相当の根拠があると検察が認めたということである。
・「審査員の不正選定」
審査員候補者の中から選定くじソフトを不正使用し、恣意的に若年層の審査員を選定した。この結果、二回行われた審査会の審査員の平均年齢が34.55歳となった。従って恣意的に選ばれているが、審査員は審査員候補者の中から選ばれた正当な審査員であった。この選定は、議決を誘導しやすくするためで『「なりすまし審査員」の配置』と補完関係にあった。
・『「なりすまし審査員」の配置』
途中から来なくなった審査員の替わりに全くの別人を審査員に「なりすまし」て配置、この人物によって一回目の審査会の議決が「起訴相当」に二回目の議決が「起訴議決」へと誘導された。「なりすまし審査員」は一回目の審査会には二人、二回目の審査会には一人が配置された。
告発の内容については→http://wamoga.web.fc2.com/newindex.html
この告発状の内容は検審関係者を告発したものであるが、実は、その中身に陸山会事件が国家権力によるクーデターであったという驚くべき内容を含んでいる。
まず、『「なりすまし審査員」の配置』であるが、告発対象事件が検察審査会にかけられるのは次のような経過をたどる。
@告発人が刑事告発→A捜査の結果、検察が被告発人を不起訴処分→B告発人が処分を不服として審査申立て→C検察審査会で審査
ここで東京検察審査会には第一から第六まで六つの検察審査会があるので、「なりすまし審査員」の配置はどの審査会か決まった後になり、当然、Cの後ということになる。しかし、小沢氏のケースを時系列でみると、驚くべきことに次のようになっている。
@第五検審に最初の「なりすまし審査員」の配置(21.12.22)→A「真実を求める会」が小沢氏を告発(22.1.21)→B検察が小沢氏を不起訴処分(22.2.4)→C「真実を求める会」が審査申立て(22.2.12)→D第五検審で審査が始まる(22.3.9)
上記は一回目の小沢検審の状況であるが、すなわち、小沢氏がまだ告発されてもいないうちに、第五検審に「なりすまし審査員」が配置されたということである。それから予定通り「真実を求める会」が告発し、検察が不起訴処分として、見事にその第五検審で審査が始まるのである。
さらに、「審査員の不正選定」からみると
@21年第4群の審査員の選定(21.9.25)→A市民団体「世論を正す会」が秘書3人を告発(21.11.4)→B22年第1群審査員の選定(22.12.18)
となる。すなわち陸山会事件が世にも出ていない9月25日に既に審査員の不正選定が始まっているのである。これを、考察を入れながら時系列でみていくと次のようになる。
西松建設事件(21年1月)で総力を挙げた捜査でも検察は小沢氏を起訴できる証拠は掴めなかった。一方で着々と政権交代(21.8.30衆議院選挙)は進んでいった。焦った検察と最高裁事務総局は検察審査会法が二回の起訴相当議決で「強制起訴」となるように改正施行(21.5.21)されたのを利用し、市民団体を使って小沢氏を告発させ、検察審査会で強制起訴する方法を考え出したのである。
まず、最初に実行に移したのは、鳩山内閣・小沢幹事長の発足(21.9.16)直後の21年第4群の「審査員の不正選定」(21.9.25)である。これは審査員の半数の選定であり、もう片方の22年第1群の審査員が選定され、両者がそろって審査出来るようになるのは22年2月からの審査で、1群の任期が切れる4月までに一回目の「起訴相当」議決を目指したことになる。このための告発手段として使われたのが陸山会事件であった。平成16年という5年も前の政治資金収支報告書のわずか3月程の期ズレという、内容的にみすぼらしいものであったが、市民団体からの告発であれば、検察は捜査に着手することが出来た。実体が不明で活動実績も分からない市民団体が突如2つも出て来たのはこのためである。告発は2段階で行われる。まず、市民団体「世論を正す会」に秘書3人を告発(21.11.4)させ、マスコミにより世間を煽ることに成功する。小沢氏に対するバッシングで告発ムードを盛り上げてから、別の市民団体「真実を求める会」に小沢氏を告発(22.1.21)させたのである。審査申立ては誰にでも出来るものではなく告発人等に限られる。この小沢氏への告発がなければ不起訴になったときに審査会にかけられないのである。それぞれの告発は2月から4月までの審査期間を考慮し、逆算してタイミングを計って行われる。その結果、検察が捜査をし、小沢氏を不起訴処分にしたのはちょうど審査員が揃った22年2月4日であった。小沢氏に対する一回目審査は3月9日からはじまり、4月27日には当初の目論見どおり、「起訴相当」議決となったのである。
いうなれば陸山会事件は表層に過ぎず、実は検察審査員を利用して小沢氏を強制起訴した第五検審事件というべき事件であり、これは国民が選択した政権交替を骨抜きにする国家権力によるクーデターであったということである。
告発受理から2カ月経った9月19日現在の状況を聞くと、特殊直告班が検事1名ではなく複数名で捜査中とのことであるが、一体、その捜査結果はどのようになるであろう。この告発により、その関係者が起訴されるということは、すなわち国家権力のクーデターが白日もとにさらされるということでもある。そういう意味でこの告発は大変、大きな意味を持っている。今は、検察の捜査がどうなるか固唾を飲んで注視しているところである。
【ついでに、会計検査院の件について】
この『「なりすまし審査員」の配置』に関しては会計検査院にも検査の要望書を提出していた。確認すると要望書は確かに「司法」へ回送したとのことであるが、それからの話は担当に繋いでくれないので、一切、分からない。しかし、この11月には検査結果が発表されるということであった。
会計検査院の要望書の件→http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/345.html
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