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衆議院議員 徳田毅公式HPより http://www.tokuda-takeshi.net/
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37028
2013年09月19日(木)伊藤 博敏 現代ビジネス
「巨悪は眠らせない!」
伊藤栄樹検事総長(1985〜88)が、こう啖呵を切った頃、検察には、「政官財の監視役」としての迫力がみなぎっていた。
ターゲットは、大物政治家であり、金融機関の長であり、利権を操るフィクサーだった。実際、地検特捜部は、リクルート、国際航業、イトマン、東京佐川急便、金丸脱税、ゼネコン、2信組、住専、一勧・旧4大証券、大蔵・日銀事件などを次々に仕上げて、時の権力者の心胆を寒からしめた。
しかし、証拠偽造の大阪地検事件、意地と執念で大物政治家を狙い失敗した小沢一郎事件で、地検特捜部は変質を迫られた。
■「巨悪を狙う」という使命感から脱却した"節目"の事件
その変化を証明したのが、国内最大の医療法人「徳洲会」で、組織ぐるみの選挙違反があったとして、17日、強制捜査をかけた公職選挙法違反事件である。
公選法違反は犯罪だ。
だが、ポスター貼り、事前運動、選挙事務所や後援会の運営などのそれぞれに細かい規定があり、従来、警察が悪質部分をノルマ的に摘発していた。
今回、徳洲会で問題になったのは、徳田虎雄理事長の次男である毅代議士の昨年末の総選挙の際、徳洲会グループの病院から300名以上が派遣されて選挙活動を行い、旅費や宿泊費の他、日当も受け取っていたこと。
運動員買収である。告発を受けた東京地検特捜部が受理して捜査しても問題でなく、むしろ、特捜部が「巨悪を狙う」という使命感から脱却、間違いのない違法を、確実に摘発する捜査機関に変質した"節目"の事件と捉えるべきだろう。
事件の背景に、徳田虎雄理事長が、10年前に筋委縮性側索硬化症を患い、体の自由が利かなくなって以降、急速に力を増した能宗克行専務理事と、夫人と2男5女の徳田ファミリーとの間の確執があることを、私はこのコラムで、「『徳洲会=自由連合』スキャンダルの背後にある『徳田ファミリーVSすべてを知る男』の血みどろの戦い」(13年2月14日配信)と、題して伝えた。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34862
昨年9月、専務理事の職を解かれ、追い打ちをかけるように懲罰委員会で責任を追及しようとした徳田ファミリーに対し、能宗氏は、今年1月、83ページもの「回答書」を作成、徳田虎雄・毅父子の政治活動の問題点、徳田ファミリーの医療法人私物化などを暴露した。毅代議士が、19歳の未成年女性を「泥酔姦淫した」という週刊誌記事の"火元"も「回答書」であり、毅代議士は国交省政務官を辞任している。
実は、能宗氏は、我が身に火の粉が降りかかることを承知で、検察に駆け込み、特捜部の事情聴取に応じていた。告発は、自由連合及び毅代議士の政治資金規正法違反である。これに対して徳田ファミリーも、能宗氏の背任横領を示す数々の証拠を集め、大物ヤメ検弁護士に相談、告発の準備を進めていた。
■「全てを知る男」の魅力的な告発
だが、両者の動きは、今年4月頃の段階で、いったん鎮静化する。
「自由連合の政治資金問題は、10年近く放置され、時効の問題がある。また、毅代議士の政治資金問題につながる不正については、いずれも証拠面が弱い。特捜改革で検察総体が慎重になっており、捜査着手する"度胸"は検察になかった。一方、ファミリー側も虎雄理事長が、本気で能宗とは争いたくないようで、大物ヤメ検を下ろした。そこで事件化は、一時、遠のいた」(検察事情通)
しかし、検察にとって、「全てを知る男」の告発は魅力的だった。
能宗氏の「回答書」には、こうある。
「08年8月の毅出馬の衆議院選挙では、徳洲会から延べ5千数百人を動員して、労働力買収選挙を行った。人件費や日当だけでなく、その移動費や宿泊費も買収対象になる。組織ぐるみのコンプライアンス無視の選挙違反を行い、費用的にも2億円はくだらない」
能宗氏は、前々回の公職選挙法違法を暴露している。その能宗氏を9月に切り、追い込みをかけながら、昨年12月の総選挙で、病院名、人数、氏名、部署、役職、性別、機関、備考(携帯番号)などがすべて記された資料を、「応援予定表」といった形で残していたのだから、徳洲会=徳田ファミリーは、脇が甘いというしかない。
情報流出ルートは定かではない。だが、虎雄理事長に、側近として長年、仕えた能宗氏は、今も徳洲会内に「能宗派」を残している。資料が能宗氏に入らないわけはない。
■確実に立件できるものを、確実に仕上げる組織
もはや地検特捜部は、「巨悪」を狙う組織ではないし、「最強の捜査機関」でもない。大きな事件を手がけている時の特捜部は、起訴して有罪に持っていけるような自白調書を、無理を重ねて取り、事件を作っていった。
「特捜改革」は、その反省から生まれ、録音録画の可視化が前提の事情聴取で、自白調書が取れるわけがなく、もはや贈収賄事件は望むべくもない。
といって、贈収賄の次に検察が切り札にした政治資金規正法は、小沢一郎元民主党代表を単なる報告書の「期ズレ」で逮捕しようとしたように、行き着くところまで行ってしまった。国民は、特捜部が政治資金規正法を持ち出した段階で、眉に唾することだろう。
地検特捜部は、確実に立件できるものを、確実に仕上げる組織となった。利用できるものは何でも使う。公選法だっていい。
特捜部弱体化の結果、被災地では談合が恒常化、国土強靭化政策による口利きが横行、「小悪」や「中悪」が増えている。それを誰がチェックするのかという論議の前に、特捜部はコツコツと無理なく事件を仕上げるしかなく、そこに内紛のおかげで転がりこんできたのが、今回の事件だったのである。
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