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http://bylines.news.yahoo.co.jp/eikenitagaki/20130917-00028160/
2013年9月17日 1時39分 板垣 英憲 | 政治評論家、板垣英憲マスコミ事務所代表
◆女優の藤原紀香さんが9月13日付けのブログで、安倍晋三政権が10月開催予定の臨時国会で成立を目指している「特定秘密保護法案」に関して、以下のように書いて、問題提起している。
「放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう。。。なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です(>_<)」
出典:http://www.norikanesque.com/jpn/
これは、「国家機密保護の法益」と「国民の知る権利を守る法益」とが、モロに衝突する重大問題である。藤原紀香さんの記事は、「国民の知る権利を守る法益」の観点から、極めてもっともな問題提起である。
政府は、国家秘密を「極秘」「機密」「秘密」「秘」「取扱注意」などと軽重を区分して、個々の情報を保護しようとする。だれが、個々の情報をこのふるいにかけて区分して指定するのか。当然、恣意的な指定が行われる危険性がある。あるいは、ふるいにかけるのが面倒になると、何でもかんでも適当に指定してしまうこともあり得る。
しかし、一旦、「極秘」「機密」「秘密」「秘」「取扱注意」などに指定されてしまうと、これを漏らした国家公務員はもちろん、これを入手しようとしてアプローチした者も処罰の対象にされる。
毎日新聞と外務省との間で起きたいわゆる「西山事件」を想起すれば、容易に理解できるであろう。外務省の機密漏洩事件が、「国家機密保護の法益」と「国民の知る権利を守る法益」の衝突事件であったにもかかわらず、当時、東京地方検察庁特別捜査部の佐藤道夫検事(札幌地検検事、東京地検刑事部長・最高検検事、札幌高検検事長などを歴任、民主党参院議員となる)が、西山事件の捜査を担当し、起訴状を書いた。このなかで、この事件を「情を通じて」という「男女問題」にすり替えて、国家公務員法違反事件に矮小化してしまった。政治部の西山太吉記者が外務省の蓮見喜久子事務官(当時、浦和市に在住)から入手した「電文」のコピーの最上部に設けられている「回覧済み」の印を押す欄を迂闊にも残したまま、電文のコピーのコピーを部下の記者を通じて当時の社会党・横路孝弘衆院議員(後の衆院議長)に手渡したのが、すべて失敗の原因であった。「回覧欄」を切り取っておくべきだった。このため、捜査当局にだれが電文コピーを漏洩したかを特定されたのである。この事件で毎日新聞は、発行部数を50万部も減らし、事実上倒産の一因となった。
◆「防衛」「外交」「安全脅威活動」「テロ活動」などの情報は、いわゆる仮想敵国である中国、ロシア、韓国などのスパイに常に狙われている。このため国家公務員は、スパイたちのターゲットとされる。と同時に、国民の多くは国家が何をしようとしているかを知りたがっており、マスメディアをはじめミニコミ、あるいはブロガーに至るまで、国家公務員が持っている「極秘」「機密」「秘密」「秘」「取扱注意」などの重要情報にアクセスしようと試みる。
しかし、取材者は、徹頭徹尾「取材源を秘匿」しなくてはならない。もちろん、取材者の上司(デスクや部長、編集局長、さらに社長など)も、「取材源を秘匿」する義務がある。いかに取材者が必死で「取材源を秘匿」しても、上司がバラしてしまうことが多い。
「取材源を秘匿」しなければ、情報提供者の信頼を得ることはできない。事実、「西山事件」が起きた直後に毎日新聞に入社して、浦和支局に赴任して、埼玉県警本部担当となって取材活動を始めた私は、行く先々の警察官から「毎日新聞に話しても大丈夫か」と聞かれ、信用してもらうのに往生した経験がある。その度に、西山太吉記者を恨んだものである。
◆さて、今回、安倍晋三首相が、「特定秘密保護法案」の成立に情熱的になっているのは、理由がある。自民党憲法改正草案(2012年4月27日決定)の第9条の二は「国防軍」創設を規定しており、これに前もって事前準備しているということを見逃してはならない。
「第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない」
この規定が、そのまま制定されると、「スパイ防止法制定」「軍法会議設置」「憲兵隊創設」が不可欠になる。防衛庁・自衛隊新設以来、これまで防衛省・自衛隊は、「スパイ防止法」を持っていなかったことから、「極秘」「機密」「秘密」「秘」「取扱注意」などの重要情報の漏えいに苦労してきた。その一端は、拙著「情報流出カラクリと管理術」(KKベストセラーズ刊、2003年3月10日)に書いているので、以下、紹介しておこう。
「◎自衛隊の情報管哩は大丈夫か? これらの事件が示しているように、自衛隊は、秘密情報の管理がかなり杜撰である。このことは、昭和三十年代、四十年代から今日に至るまで、あまり変わっていないようである。そう思うのは、私の父親がかつて海上幕僚監部の監察官室に勤務していて、当時の話を聞いていたからである。父親は副監察官として全国の海上幕僚監部はもとより、地方総監部や自衛艦隊、護衡艦隊から艦船、航空部隊にまで
『監察』に歩き、『業務監察』『安全観察』に加えて『秘密監察』まで行っていた。とくに秘密監察では、日本のスパイ防止法がないために、日米安全保障条約の実施に伴う米軍関係の刑事特別法や日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法・国家公務員法等の守秘義務規定に基いて監察を行い、秘密漏洩の防止に全力をあげていた。ある日、海上幕僚監部の総務課の隅々まで秘密監察を行ったところ、わずか一時間のうちにそれほど広くもない部屋にもかかわらず、六百件にものぼる秘密漏洩が発見された、と言って嘆いていた。当時、国会では宗教団体系の野党議員のなかに『爆弾質問』をする強者がいて、自衛隊内の団体仲間が秘密文書をコピーし、外部に漏洩させていたようであった。自衛艦や護衛艦内部での秘密監察の際には、秘密文書が保管されている部屋などから、宗教団体の信者と見られる自衛官をわざわざ退室させて監察していたという。ところが平成時代に入って、友人でもある海上自衛隊の幹部自衛官が、海上幕僚監部の人事部に転勤したので、彼と食事をともにしながら、驚くべき話を聞いてしまった。『パソコンのフロッピーがコピーされたらアウトだ』と言うのである。そのフロッピーディスクには、防衛上の重要情報が多数入力されていて、室内には幹部自衛官、曹士自衛官、事務官などの出入りが頻繁であり、油断するとコピーされかねないということであった。国を守るのが務めの自衛隊内部での秘密情報の管理がこの程度では、実に情ない限りである」
【参考引用】産経新聞msn産経ニュースが8月27日午後10時42分、「秘密保全法案の概要判明 公務員に最高懲役10年」という見出しをつけて、以下のように配信していた。
「政府が国の機密情報を漏らした国家公務員らへの罰則強化を盛り込む『特定秘密保護法案』の概要が27日、分かった。『防衛』『外交』『安全脅威活動の防止』『テロ活動防止』 の4分類に関する事項のうち『特段の秘匿の必要性』がある機密を『特定秘密』に指定する。特定秘密を漏らした国家公務員らには最高で懲役10年を科し、厳罰化を図る。政府は、外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)を年内に発足させる方針。米国のNSCなどと機密情報の共有を活性化させるためには秘密保全法制の強化が不可欠としている。各府省の大臣らは、特定秘密の対象を指定、秘密を取り扱う国家公務員の範囲を定める。罰則は『日米相互防衛援助協定(MDA)等に伴う秘密保護法』の最高刑が懲役10年であることを踏襲した。民間人に対しても、特定秘密を得るために(1)あざむき・暴行・脅迫(2)窃取(3)施設侵入(4)不正アクセス−の行為をすれば最高で懲役10年。共謀や教唆、扇動も処罰対象となる。一方、言論・報道の自由や国民の知る権利が損なわれるとの懸念もあるため、法案には拡大解釈や基本的人権の侵害を禁じる規定も盛り込む。安倍晋三首相は秘密保護担当相を森雅子少子化担当相に兼任させる。政府は10月召集予定の臨時国会に法案の成立を目指す。自民党も27日、『インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム』を開き、法案を議論した」
出典:産経新聞msn産経ニュース 8月27日午後10時42分、「秘密保全法案の概要判明 公務員に最高懲役10年」
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