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新たな展開を手に祝賀ムードの日本、しかし解決すべき巨大な問題が日本にはある
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2013年9月16日 星の金貨プロジェクト
オリンピック開催には、巨額の財政赤字をさらに悪化させることを正当化する意味合いもある
「福島の現状については、全く問題がない!」日本の首相
田淵ひろ子 / ニューヨークタイムズ 9月7日
東京のこの日の夜明けは午前5時18分でした。
その1分後、待ちに待った知らせが届きました。
2020年夏のオリンピック開催地に、東京が選ばれたのです。
国際オリンピック委員会(IOC)が東京を選んだ背景には、何よりその『安全性』があったものと見られています。
国際オリンピック委員会の投票では東京は他の2都市、イスタンブールとマドリッドに大差をつけましたが、2度目の開催となる東京は準備の面においても他に先んじていました。
まだ大半の日人々が眠りについたままの東京でしたが、スマートフォンによる情報が飛び交い、大競技場で決定を待ちわびていた2,000人の東京の人々は歓声を挙げ、飛び上がって喜びました。
「私たちの東京で2020年のオリンピック開催が決まり、本当に幸せです。」
退職者の東京都民、富山康生氏が取材にこう答えました。
「私は現在79歳ですが、おかげで生きる張り合いが出てきました。長生きをして、この目で東京オリンピックを見たいと思います。東京には必要なものが何でもそろっていますし、何より安全です。」
オリンピック開催地に東京が選ばれたことは、2年半前、東北地方太平洋岸を襲った東日本大震災と福島第一原発事故の後遺症に疲弊する日本にとって、とりわけ首都圏で暮らす1,300万人の人々にとっては歓迎すべき復興への起爆剤になります。
しかしオリンピック開催が決定したことで、東京から約240キロの場所にある福島第一原発の事故収束・廃炉作業と汚染状況について、これから世界からより厳しい視線が注がれることになるでしょう。
最近明らかになった汚染水問題の深刻な状況は、オリンピック開催地の選考投票に、暗い影を落としました。
2020年のオリンピック開催は、日本の国家予算にも重圧をかけることになります。
日本では高齢者の人口増加が続いていますが、そのための年金や医療費の増加などが原因となり、政府の公的債務は60兆円規模の日本経済の倍の金額にまで膨らんでいます。
東京の組織委員会は、会場の造営や交通網の整備などを含むオリンピック開催費用として、1兆円の予算を計上しました。
「2020年のオリンピックは、日本人の心につきまとって離れない東日本大震災と福島第一原発の事故後の、国内の活性化に意義があります。」
ポートランド州立大学の日本研究センターの所長のケン・ルオッフ氏がこう語り、さらに次のように付け加えました。
「しかし一方では、オリンピック開催には、福島第一原発の事故による汚染の恐怖から国民の心を一時的にせよ解放することに加え、巨額の財政赤字をさらに悪化させる、その正当化の意味合いもあると考えられます。」
しかし、オリンピックは最良のタイミングで日本の首都にやって来たとは言えない部分もあります。
東京は1964年の夏のオリンピックを開催しました。
この時は第二次世界大戦(太平洋戦争)による破壊から立ち直り、未来に向け歩み出した東京の姿を世界にアピールしました。
その後の半世紀、日本は世界の経済大国に発展しましたが、その終盤、日本は『失われた20年』と呼ばれる停滞の時代の中で喘ぎ続けることになりました。
しかし2012年末、安倍晋三首相が権力の座に座り、経済を始動させるために大胆な金融改革、そして政権改造を行い、日本は経済停滞から徐々に抜け出し、先進7か国(G7)の中で最速の経済回復を果たしたのです。
安倍首相は最後の投票が行われるタイミングでブエノスアイレスに飛びましたが、2020年の大会誘致を実現したことにより、その地位はさらに安定することが予想されます。
野村証券のアナリストは、2020年のオリンピック開催は日本経済に、約1兆4,000億円の経済効果をもたらすだろうと予測しました。
しかしこの数字は日本のその時々の国内総生産に対するパーセンテージで比較すると、1964年東京オリンピック、1972年札幌冬季オリンピック、1998年長野オリンピック、そのいずれと比較しても低い数字になっています。
IOCにおけるプレゼンテーションで、東京開催の一つの目玉となったのが、「コンパクト・オリンピック」構想です。
1964年の東京オリンピック会場を再利用するなどして、新たな出費を抑制しようという考えですが、このことは同時に経済しかし、オリンピック開催に効果をも小さくする結果をもたらします。
しかし、オリンピック開催には数多くのメリットがあります。
野村証券の田村弘道氏とそのチームは今回明らかにした報告書の中で、広範囲にわたるプラスの効果をもたらし、国際社会における東京の地位を旧に復する効果も期待でき、その事は結局日本経済の回復に貢献すると述べています。
オリンピック開催決定の知らせは各方面において祝賀ムードを煽り、消費マインドを上向かせ、消費拡大を現実のものとし、これまでに失われてきた日本の景気回復のためのパズルの部品を再び手にすることが出来るようになる、この報告書はそう述べています。
2020年までに「もし政府の成長戦略が予定通りに進めば、利益は誰にとってでも明らかなものとなるはずです。」
この報告書には、そう綴られています。
「1964年の東京オリンピックが、日本が近代的先進国家の仲間入りを果たしたことを証明したとしたら、2020年の大会は日本の回復の実現を世界に示すことになるでしょう。」
しかし、誰もが祝賀気分に浸っているわけではありません。
「福島の深刻な状況が、無視され続けています。」
福島で被災し、現在は東京都内で避難生活を続け、東京新聞のウェブサイトでも紹介されたことがある専業主婦、37歳の二瓶和子さんがこう語りました。
「私たちのことなど、どうでもよいのです。」
ブエノスアイレスの国際オリンピック協会の会場で、安倍首相は福島の問題を軽視しているとも受け取れる発言を行いました。
彼は日本政府は福島第一原発について、包括的な解決策をすでに手中にしていると語ったのです。
「肝心なことは、福島の現状については全く問題がないということです。」
安倍首相はこう語りました。
「新聞の見出しなどでは無く、現実を見てください。」
こうした発言に対しても、日本のニュースメディアはほとんど無反応でした。
どころか、日本の若いニュースキャスターは、東京のスタジオでこうまくしたてたのです。
「東京中、至る所でこれから英会話能力が必要になりますよ。」
「英語を勉強しましょう!あなたも、英語で道を尋ねられるかもしれませんよ。」
( 取材協力 : 井上まり子、上野ひさ子 )
http://www.nytimes.com/2013/09/08/sports/amid-hopes-for-renewal-economic-and-safety-tests.html
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2020年東京オリンピック開催の『経済効果』について、半ば興奮するように「何兆円!」と報じるニュースを聞くたび、私は徒労感に襲われます。
「福島第一原発の事故収束・廃炉費用は40兆円〜50兆円だろう」
と思うのです。
そして日本の首相がブエノスアイレスで、福島についてどう語ったか?
その内容が明らかになればなるほど、この人が率いる政府が
「これから政府が責任を持って対応にあたる…」
と発言していることについて、恐怖にも似た感情を憶えるのです。
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