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維新「負けたら終わり」 背水の堺市長選15日告示 「反都構想」の現職と一騎打ち
http://www.nikkei.com/article/DGXNASHC14020_U3A910C1000000/?dg=1
2013/9/15 0:00 日経新聞
15日告示の堺市長選が、一政令市の首長選としては異例の注目を集めている。日本維新の会が提唱する「大阪都構想」の是非が最大の争点で、「反都構想」を掲げる現職と維新から出馬する元堺市議による事実上の一騎打ち。勝敗は都構想の行方だけでなく、今後の維新の党勢も占う試金石となる。自民党や民主党などの支援を取り付けた現職に対し、維新は「負けたら終わり」と背水の陣で臨む。
9月上旬、日本維新の会の大阪市議らに選対幹部から厳命が下った。「何時何分に堺に入り、何時何分に戻ったか報告せよ」。分刻みの管理で引き締めを図り、チラシ3000枚の配布も課された。地縁のない堺を地図片手に歩き回るある大阪市議は「市議会も開会中でただでさえ忙しい時期。しんどい」と悲鳴を上げる。
厳しいノルマは臨時国会前の国会議員も例外でない。29日の投開票までに最低3回の堺入りを課され、秘書らも投入。維新は市内のホテルを借り切って議員が朝の駅前に立つ気合の入れようだ。
維新傘下の「大阪維新の会」が元堺市議の西林克敏氏(43)の擁立を決めたのは告示約1カ月前。遅れを取り戻そうと8月下旬から堺市内7区で開いたタウンミーティングには橋下徹共同代表(大阪市長)も毎回出席した。「大阪都構想で堺が壊れると批判されるが、そんな荒くれ者じゃない。役所を変えるだけで堺はなくならない」と熱弁を振るった。
■周辺首長も参戦
総力戦で臨む維新に対し、現職の竹山修身市長(63)は2月、早々に出馬を表明。100回以上開いたミニ集会は回を重ねるごとに「反都構想」のトーンを強めた。
堺市は2006年に政令指定都市へ移行したばかり。竹山氏は「都構想では特別区に格下げされる」「堺が解体される」と繰り返し、「反維新」「反都構想」勢力の結集にも布石を打ってきた。
参院選で自民候補の応援に駆けつけるなど政党との連携を模索し、自民党の支持、民主党の推薦、共産党の自主支援が決まった。4年前の前回市長選では対立候補を「相乗り」批判した竹山氏だが、今回は「堺を守る一点で団結した」と維新包囲網を築いた。
包囲の輪は周辺首長にも波及し、街頭演説には泉大津、八尾などの府内8市町長も参加。11日の竹山氏支援集会では井戸敏三・兵庫県知事が壇上に立って「都構想は膨張主義だ」と批判し、「堺の皆さん、良識を発揮しよう」と呼び掛けた。
■市長選は通過点
都構想が一大争点となり、首長選では異例の政治決戦の様相を呈する堺市長選。だが、都構想に携わる大阪市のある幹部は「維新候補が勝っても都構想が決定的に前進するわけではない」と話す。堺市が都構想の制度設計を担う大阪府市の法定協議会に加わるには堺市議会の議決が必要だが、維新は第2党。第1党の公明の協力を得ても過半数には満たない。
そこで西林氏は、市議会の議決がなくても参加できる府市統合本部への参加を公約に掲げた。府市の事業の統合などについて話し合う同本部で大阪府市との連携を深めた上で、15年の統一地方選で議会過半数を狙う戦略だ。橋下氏も「堺の都構想参加には市長選と市議選の2つに勝つことが必要」と指摘。市長選は通過点の一つにすぎない。
来秋には、大阪市民に都構想の是非を問う住民投票も控える。堺市長選に敗れた場合の影響について橋下氏は12日、「住民投票に影響してくるんでしょうね」と述べ、大阪市に「都構想ノー」の雰囲気が波及することを気にかけた。
全国的には党勢が衰えたとはいえ、7月の参院選大阪選挙区で候補がトップ当選を果たしたように、地元では根強い維新への支持。橋下氏は8月末、自身の政治資金パーティーで、堺市長選に勝って民意をつなぎ留める必要性を訴えた。
「負けたら維新は終わりといわれる」
8月29日、元堺市議の西林氏を擁立する地域政党「大阪維新の会」が堺市長選に向けて市内で開いた第1回タウンミーティング。「皆さん、選挙の時しか伺わずにすみません」。西林氏らと壇上に上がった橋下徹代表(大阪市長)はこう切り出すと、大阪都構想のメリットをユーモアを交えて訴え、聴衆の笑いと拍手を誘った。
■「4年前と同じ」
松井一郎幹事長(大阪府知事)らも顔をそろえた約2時間、全体の発言時間は西林氏の15分程度に対し橋下氏は約50分。橋下氏が皆勤した他の6回も同様で、参加した飲食店を営む男性(48)には既視感が残った。「4年前と同じじゃないか」
2009年の前回市長選で橋下氏が掲げたキーワードは「相乗り」。新人だった竹山市長の応援に回った橋下氏は当時の現職候補を自民党、公明党、民主党が支援した相乗り選挙への批判に演説の大半を割いた。「今回はそれが『都構想』に変わっただけ。堺市は4年に1度、橋下氏にかき回される」と男性は話す。
男性は店の経営に関わる観光政策を比べようと、竹山氏の集会にも足を運んだ。両陣営は公約では観光政策を並べたが、市民の前では都構想にほぼ終始。男性は「地に足が着いた話がない」と、暮らしを託す1票を投じる先は決めかねている。
15日告示の市長選で竹山氏は「堺には堺のDNAがある」と、中世から自治都市として栄えた堺を守る戦いを前面に押し出す。与野党相乗り批判の橋下氏とタッグを組んで圧勝した前回から一転。都構想を巡って維新と大阪市議会などで対立する自民党の支持、民主党の推薦を取り付け、共産党も自主支援を決めた。
だが、戦略に不安がないわけではない。反都構想を強調するあまり、現職としての実績を訴える時間は限られる。陣営幹部は「都構想議論に付き合いすぎると、市民の関心をそぎかねない。子育て支援などもっと身近な問題を訴えないといけないかも」と漏らす。
13日に地元の青年会議所が主催した両氏の討論会も、前半こそ「子育て」や「交通政策」など主催者側が設定したテーマに沿って進んだが、自由討論に移ると、ほぼ都構想一色に。竹山氏が「橋下さんの言いなりになっている」と西林氏を批判すると、西林氏も「あなたは自民、民主、共産の間をふらふらしている」と反論。司会者が「個人攻撃は控えて」とたしなめる一幕もあった。
■まず街づくりを
そんな選挙戦を冷ややかに見つめる市民は少なくない。仮に西林氏が勝って住民投票で都構想が実現しても、維新は市議会で過半数を持たないため、堺市が実際に参加するのは早くても2017年。市の街づくりに民間レベルで関わってきた自営業の男性(70)は「都構想は考え方としては理解できるが、何年も先のことより、まずは喫緊の課題の打開策を議論してほしいのに」と語る。
将来の「大阪のかたち」を問う大上段の議論に、埋もれがちな暮らしの争点。店舗数がピーク時の約80店からほぼ半減した「山之口商店街」で自転車店を営む片山勇さん(70)は「経営は本当に厳しい。商店街を活用し、にぎわいが生まれるような政策こそ論じてほしい」と話した。
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