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2013/9/13 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
世の中には五輪が嫌いな人もいる。スポーツ観戦に興味が湧かない人もいる。
神戸女学院大名誉教授の内田樹氏もそんなひとりだ。内田氏は1964年の東京五輪には感動したという。当時の五輪にはまだ「平和の祭典」という理想が見えたからだ。
しかし、「商業化の進んだ最近の五輪は嫌いで、招致(について)も同じだった」と朝日新聞にコメントしていた。
実際、いまの五輪には“平和の祭典”のイメージはない。それは東京招致成功でバカ騒ぎをしている安倍政権が、中国や韓国に拳を振り上げている外交姿勢を見ただけでもよく分かる。
韓流ショップが軒を連ねる新大久保の路上では今なおヘイトスピーチが聞かれる。「在日朝鮮人、ぶち殺せ」などと叫びながらデモ行進するアレである。安倍政権発足後、日本では偏狭なナショナリズムが吹き荒れている。そういう連中が極右首相を支持している。そんな国民が「ニッポン、ニッポン」と歓声を上げる五輪のどこが「平和の祭典」なのか。明らかにいびつで異様だ。
異常なナショナリズムと露骨な拝金、商業主義にまみれている五輪。だから「五輪は嫌いだ」という人も大勢いるのだが、この国の大メディアの書き方はどうだ。五輪礼賛でほぼ一色だ。
◆反対しようものなら「非国民」扱い
〈国を挙げて準備に万全を期し、スポーツの祭典を成功させたい〉(読売)
〈日本の総力を挙げて成功させなくてはならない〉(産経)
〈国民の力で、7年後の大会をぜひとも成功させたい〉(日経)
こうやってメディアが国民の団結を求め、国家主義を煽るものだから、ヘタに「五輪反対」なんて言おうものなら「非国民」扱いされる恐れすらある。
コラムニストの小田嶋隆氏は招致決定後に都内で開かれたイベントで、「なぜ水をかけるんだという同調圧力がある」と言っていたという。
ネット上には「日本人なら反対する理由はない」「喜んでないのは非国民」という書き込みがあふれているのだから、本当だ。
五輪バンザイ一色のマスコミと招致団の空気に「スポーツ全般が大嫌いになった」と本紙コラムで書いていたジャーナリストの斎藤貴男氏もこう言った。
「会社員の人が職場で『五輪反対』を口にするのは難しいでしょうね。批判ができないから、愛想笑いで済ます。それが『大人の生き方』ってことになるのでしょうか」
そんな五輪狂騒のド真ん中にいるのがドヤ顔のナショナリスト、安倍なのである。
そして、その周りには首相ヨイショの大メディアが「五輪バンザイ」と叫んでいる。
権力とメディアが一致団結して国威発揚する光景は異様だ。戦中、戦前派には悪夢がよぎる。
◆汚染水のデタラメ黙殺、一緒にワッショイの大メディア
権力ベッタリの大メディアのせいで、すっかり覆い隠されてしまったのが五輪の闇だ。
IOC総会で安倍は福島原発について「汚染水は完全にコントロールされている」と、大ウソをついた。そうしたら、五輪決定当日の8日、タンクそばの井戸の地下水から、1リットル当たり3200ベクレルのストロンチウムと4200ベクレルのトリチウムが検出された。10日にはそのトリチウムが15倍の6万4000ベクレルに跳ね上がった。
さらにきのう(12日)は、海に近い排水溝でも放射性物質を検出。「完全にコントロール」とは程遠いことがバレバレになった。
震災復興にしたってガレキの処理はまだ終わらず、放射能汚染土の除染の計画も遅れている。環境省は10日、福島県内の7市町村の除染の今年度中の完了を断念した。被災地は完全に置き去りだ。
それを知りながら、大マスコミは「五輪より震災復興が先だ」とは決して書かない。汚染水漏れだって、海外メディアが騒いで大ゴトになったから、シブシブ報じたようなものだ。「今、汚染水で騒げば招致に水を差す」という権力側の理屈に迎合、国会を開かない横暴、デタラメも黙殺した。五輪が決まれば一緒になってワッショイワッショイ。大ウソプレゼンの安倍に「ありがとう」なんて言ってた民放アナもいたのだからひどいものだ。
「読売や産経とほとんど全てのテレビは、安倍政権にとってマズイことは流さない。『まあいいんじゃない』『小さなことは気にしない』という雰囲気です。何の希望も持てず、絶望している3・11の被災者や被曝者が目の前にいるのに、“復興”を体のいい口実にして五輪招致を煽り、お祭り騒ぎをするなんて、人の道から外れている。それを批判すらしないメディアは、旧ソ連のプラウダや中国の人民日報とどこが違うのか、と思います」(斎藤貴男氏=前出)
◆国民には重税、それで政官で浪費
この調子だと、「国を挙げて五輪を成功させる」という名目で、権力者は何でもやる。メディアもそれを後押しする。国民は重税を召し上げられ、関連施設がワンサカ造られ、巨額利権に政治屋と役人が群がって湯水のように税金を浪費していくのは間違いない。さっそく自民党の二階総務会長代行が講演でこう言っていた。
「五輪期間中に大地震が起きたら大変なことになる。災害に強い国づくりをしなければならない。今国会中に国土強靭化法案の成立を目指す」
国土強靭化は10年間で総額200兆円という巨大インフラ投資だ。財政難だから来年4月に消費増税するというのに、ヘタすりゃ、日本中の道路や橋を造り替える勢いだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「五輪決定後、新聞を賑わしているのは、全てインフラ整備の話です。鉄道、道路、空港、競技場……、発展途上国のような土建国家、土建政治に逆戻りです。日本の政治家の発想はこの程度のレベルなのかとガッカリしますね。2020年にはプライマリーバランスの黒字化を目標にしていますし、財源には限りがある。限られたパイが、東京の公共事業に集中すれば、被災地に回るお金は減らされ、社会保障などソフト面も削られます。五輪によってそういう国になっても国民はいいのか。政府と一緒になって騒いでいるだけでは、いいようにやられてしまいます」
五輪開催は国家の威信につながるから、庶民は滅私奉公じゃないが、お上に逆らわず、黙って納税すればいい。そんなムードだ。それを批判するどころか、先頭に立っているのが大マスコミという構図だ。
この国は五輪が決まってからというもの、本当に狂気じみてきた。それを口にすることもはばかられるような世相がまた恐ろしい。
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