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2013/9/12 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
世の中は、なんと、おめでたい人の多いことか。「五色の輪っか」に、これっぽちも興味のなかった人たちまで、東京開催が決まった途端に「やったー」「よかった」と快哉を叫ぶのだ。少し前まで賛成は半数程度だった。それが、突然、この浮かれようなのである。
「まるで、花咲き狂う春が来たかのようです。これほどの騒ぎになるとは、正直、空恐ろしい。みんな目を覚ませよ、と言いたいですね」
こう冷静に話すのは、同志社大教授の浜矩子氏(国際経済学)だ。
なにしろ世の中に流布されている経済波及効果の数字はベラボーである。大和証券の予想は、7年間でなんと150兆円以上。上げ底と指摘される東京都の3兆円ですらかすんでしまう。こんなデータをもっともらしく見せられると、「経済は活力を取り戻す」「日本は元気になる」と信じてしまうのも、ムリはないのかもしれない。
だが、経済の専門筋は違う。冷静沈着にコトの真相を見ている。
「アベノミクスと東京五輪は、人々の落ち着きを奪う“狂乱のクルマ”の両輪です。これさえあれば、経済はどうにかなるかのように思い込まされた。目が覚めないように誘導されているのです。
とりわけ五輪は、東京の大改造を前提にしてソロバンをはじいたりしている。欺瞞とマヤカシに満ち満ちています。招致活動では、ムダなカネを掛けず、環境にも負荷をかけず、コンパクトに運営すると宣伝していました。支出は抑える計画なのですから、影響も限定されるはず。ケタ外れの効果など見込めません。そもそも瞬間的なお祭り騒ぎがどれだけの利益をもたらすのか。ちょっと考えれば、おのずと分かるでしょう。ゼロから高速道路を造った1964年とは違うのです」(浜矩子氏=前出)
◆五輪効果を膨らませた株式市場
ここ数日、株式市場は過熱している。そんな現象も「五輪で景気回復」を連想させるが、日経平均が月曜日からの3日間で565円上昇したのは、ほかの要素も大きい。
第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生氏が言う。
「株価は国内の材料だけで形成されるわけではありません。今週は中国経済に回復の兆しが出てきたことに加え、シリア情勢がロシアの仲介で沈静化する見通しが出てきた。こうした海外の動きが反映されたと考えられます。さらに、安倍首相が景気対策に言及したのが、消費増税決断のサインと受け止められた。五輪決定にも一定の効果はありますが、もっと複眼的に見るべきです」
1991年の6月に長野五輪が決まったとき、日経平均は3営業日で1097円も下がっている。
また、4年前に東京の落選が決まったときは、それから1カ月近くも上昇を続けた。
しょせん7年後の一瞬のお祭りだ。五輪効果なんて微々たるもの。今回、このタイミングで株価が上向いたのは、偶発的にほかの要因も加わったからだ。「マーケットも期待している」なんて判断すると、痛い目に遭う。
◆開催までの3回の選挙が高めるバラマキ機運
猪瀬都知事は、変なイントネーションのカタカナ英語で「45億ドルがある。銀行に現金で」とアピールしていた。だが、これですべてが賄えるわけではない。150兆円の経済効果をもたらすほどの支出増にならないとしても、当初計画よりも出費が増えるのは、過去の大会を振り返れば明らかだ。
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)が言う。
「長野五輪は4兆円の効果があるといわれましたが、終わってみれば県の財政が圧迫され、1兆6000億円の県債残高を抱えていた。自然を破壊してまでスキー場やスケートリンク、ホテルを建設したが、県の景気が良くなったとは聞きません」
前出の熊野英生氏も、そこを不安視する。
「私は五輪反対派ではありません。ただ、開催費用が膨れ上がり、財政の負担が拡大するリスクはある。果たして、それをコントロールできるのか。政治のスケジュールを見ても、2020年まで少なくとも衆参で3回の国政選挙が行われます。財政再建よりもバラマキの機運が高まる恐れは十分にある。もし2度の消費増税で賄えないぐらいの財政負担が生じれば、2020年の基礎的財政収支の黒字化という国際公約も、ご破算になりかねません」
安倍や猪瀬は、五輪開催に胸を張るが、膨張する出費を負担するわけではない。手柄は自分に、ツケは国民に、である。国民はもっと現実を直視した方がいい。
◆国民の思考を停止させる「3S政策」
「結局、政治家が五輪に熱を上げるのは、スポーツを政治利用するためです。スポーツ、スクリーン、セックスで国民を思考停止させる3S政策の典型。政治は大きな声で“夢、希望、自信を取り戻そう”とプロパガンダし、民衆の目をくらます。民衆は五輪を名目にカネを搾り取られるわけです」(小林弥六氏=前出)
実際、バカ騒ぎしている間も、原発からはザルのごとく汚染水が漏れ出てきている。復興予算の流用は続き、雇用の改善は遅々として進まない。日本社会を取り巻く問題は、五輪で解決するわけではないのだ。
「むしろ、五輪は社会をおかしくします。安倍首相はIOCの理事を前に、福島から離れている東京は安全だと説明していました。政策担当者にあるまじき発言です。ほかはダメでも東京は大丈夫という発想は、市民間の軋轢を助長し、経済格差、地域間格差を拡大させる。日本経済の長期低迷を招いた大問題が、さらに悪化していくことになるでしょう。五輪開催は犯罪的ですらあるのです。それなのに、こんな批判をすれば、袋叩きに遭いかねないような雰囲気になっている。死亡後は大声でダイアナ妃を批判できなくなった英国とソックリです。五輪を口実にすれば、原発再稼働にも反対できない。そんな社会になる恐れは強いのです」(浜矩子氏=前出)
安倍と猪瀬の政治ショーに踊らされ、喜んでいる場合ではない。
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