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(写真は現在のデトロイト中心部)
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2013年9月11日
2020年の五輪開催地をIOC総会は東京に決めた。
これを受けて、日本国内では能天気な浮かれ騒ぎが続いている。
しかし、今回の東京招致は砂上の楼閣になる確率が高い。
小学生の時、1964年の第一回東京五輪を見ていた神州の泉は、当時の日本全体の熱狂をよく覚えている。
戦後復興と高度経済成長の目途がついた日本は、みんなが未来に希望を持ち、東京オリンピックを心から楽しんだ。
これは当時を覚えている人には説明の必要はない。
最近の日本人は国際競技と言えば、サッカーや野球の世界大会に熱狂する。
国際競技で日の丸が上がれば、よっぽどいびつに左がかった人でなければ誰もが素直に嬉しい。
五輪が日本で開催されることは確かに僥倖と言えるだろう。
だが、これは敗戦後の日本が必死で経済復興めがけて頑張っていた当時と事情が全く異なる。
これを自覚している日本人は、寒々しい思いでこの五輪招致を眺めている。
1960年代の日本は経済復興に猪突猛進していたが、宗主国アメリカによる対共産勢力防衛の中に日本が置かれていたことは大きい。
分かりやすく言えば、アメリカが日本に対して、まだ“牙”を剥いていない状態で“温室栽培”状態にあったからだ。
それは共産圏勢力に対する西側の防波堤国家として役立っていたからである。
これを国際金融資本の対日長期計画に視点を取れば、日本の経済成長は、宗主国が温室畜舎(アニマル・ファーム)の育成状態を手厚く保護していたからだ。
日本人は軍事の憂いなく、イケイケどんどんで経済力のアップに傾注していた。
日本は、やがて肥えた養豚が屠殺(とさつ)、屠畜(とちく)されて、アメリカの食肉に供される運命に置かれていた。
この未来を全く自覚せずに、日本人は日々の労働に勤しんで生産性を上げてきた。
これを別の言い方では“日本プランテーション国家”である。
これは古代ローマとカルタゴの関係よりもたちが悪い。
戦後長く続いた、GATTを主軸としたブレトン・ウッズ体制は曲がりなりにも資本主義諸国の多様性、自律性を担保していた。
ところが、冷戦終焉を境にその枠組みが終わり、国際金融資本に都合のよい“国際擬制”が敷かれてから、この世界はグローバル化という魔手に席巻され、国際的に健全な状況は崩壊している。
日本において、その悪魔の潮流は橋本政権の金融ビッグバンに始まり、小泉政権で先鋭化した。
小泉政権以降の日本は、1964年ごろとは国際事情が全く異なるのである。
卑俗的に言えば、アニマルファームの養豚が屠殺(とさつ)場に運ばれる時期になっているのである。
外国に「ドナドナ」という有名な民謡があるが、これは市場(いちば)に売られていく子牛の哀れな運命を哀切な調子で歌ったものだ。
ん?狩猟民族、肉食民族がそういう歌を作るのか!?という素朴な疑念はさておいて、この競り落とされた後の子牛の行き先は屠殺(とさつ)場である。
1990年代に入ってからプランテーション国家・日本は国際金融資本にとって収穫期を迎えている。
日本はこれからの季節、黄金色の稲穂が首を垂れ、収穫の秋を向かえるが、国際金融資本は黄金色に実った日本を刈り取る段階になっている。
これがTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)なのである。
国際金融資本が日本のあらゆる「非関税障壁」、金融、投資、衛生、政府調達、知的財産権etc等、あらゆる国内制度をグローバル化の枠組みに合わせるために無効化を狙い、そのために“グローバル条約”という鉄の掟を敷設する。
これがTPPという強制収奪の罠である。
世界的な経済学者のジョセフ・ステグリッツは、これを学者らしい品の良さで「アメリカの利益集団による管理貿易協定」と言っているようだ。
以上の流れと、近未来の過酷な現実を予測できない日本人が、2020年の東京オリンピックをぬか喜びしているのである。
魂を失った有識者、例えば大和証券の木野内栄治氏などは、東京オリンピック当時の過去5年間の日経平均が最大で2.3倍まで高騰したことから類推し、今後7年間で合計150兆円の経済効果が期待できるなどと、大ボラを吹いている。
素人目でも、そんなことはあり得んというのが正直な見解だ。
安倍首相が退陣し、死に物狂いでTPPを阻止する首相が登場しない限り、日本の未来はない。
日本の現実を自覚できない能天気な日本人だけが、東京オリンピックに快哉を上げているが、このままでは2020年に、三波春夫さんの後釜が「東京五輪音頭」を高らかに歌うことは絶対にない。
TPPが解禁された後、7年後の日本東京シティは、米国ミシガン州デトロイト・シティの二の舞になる。
これは決して近未来モノのSFではなく、極めて現実的で具体性のある近未来予測だ。
TPPの日本破壊エネルギーを自覚せずに、オリンピックに狂喜している日本人は、頭がお祭り状態であり、「ええじゃないか」を踊り狂いながら、東尋坊の断崖絶壁にまっすぐに進んでいるレミングの群れなのである。
冷静に考えれば、国際オリンピック委員会(IOC)が、国際金融マフィアの意を受けて東京招致に動いたことは明らかである。
安倍首相はその対価としてTPPの絶対参加を確約したということである。
滅びのTPP参加を前提条件として決まった東京オリンピックは、廃都と化した東京で開かれるのか!?
そのとき、三波春夫さんの後釜は、余韻嫋々(よいんじょうじょう)と「荒城の月」を歌うことになるだろう。
冒頭の写真は、荒廃し打ち捨てられた現在のデトロイト中心街だが、これは昭和20年の大空襲で延焼し、壊滅した首都東京の光景と重なる。
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