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2013-09-10 16:55 日刊ゲンダイ
大新聞テレビは「東京オリンピック開催」に大騒ぎだ。朝日新聞は「夢舞台再び」とはしゃぎ、NHKは「経済効果3兆円」と煽り立てている。
いま頃、安倍首相は「してやったり」だろう。なにしろ、直前に「原発汚染水」が問題化し、「東京劣勢」とみられていたのを、自分のスピーチで引っくり返した形になったからだ。
居並ぶIOC委員の前で、「汚染水は完全にコントロールされている。決して東京にダメージを与えることはない。私が保証する」――と約束し、「汚染水の影響は港湾内に完全にブロックされている」「将来も健康に問題はないと約束する」「必ず責任を果たす」と明言した。
原発の状況を詳しく知らないIOC委員は、一国のトップの言葉だけに、素直に信じたという。
しかし、汚染水を完全にコントロールしているなんて本当なのか。
「東電も政府も、増えつづける大量の汚染水を前にして途方に暮れているのが実情です。コントロールどころか、手に負えず“制御不能”になっている。最大の問題は地下水です。福島原発には1日に1000トンの地下水が流れ込み、このうち400トンが放射線量の高い原子炉建屋に流入し、汚染水となっている。つまり、毎日400トンの汚染水が新たに発生しているのです。25メートルプールよりも多い。せっせとタンクに移しているが、そのタンクからも漏れはじめている。毎日、増えつづけているのだから、いずれ破綻するのは目に見えています。首相は、なにを根拠にコントロールされていると口にしたのか。疑問です」(ジャーナリスト・横田一氏)
「汚染水の影響は港湾内に完全にブロックされている」――というのも大ウソだ。完全にブロックと聞いたIOC委員は、港湾をコンクリートや鉄板で囲っていると勘違いしたらしい。しかし、実際にはカーテンのようなものが張られているにすぎない。港湾内の海水と、外海の海水は毎日50%ずつ入れ替わっている。
要するに、安倍首相は、IOC委員をまんまと騙したということだ。
◆汚染水を解決する方法はない
このままでは、いずれ安倍首相のスピーチが問題になるのは、間違いない。汚染水は、絶対に解決しないからだ。
IOC総会の直前になって、安倍首相は「政府一丸になって解決にあたる」と、汚染水対策を行うと発表した。地下水が福島原発に流れ込まないように、国費を投じて、原子炉建屋周辺の土を凍らせる「凍土遮水壁」を建設するつもりだ。
しかし、「凍土方式で汚染水を止められると考えている専門家はいないでしょう」と、前出の横田一氏がこうつづける。
「凍土方式は、完成までに2年もかかります。そのうえ、まだ研究段階で、効果も証明されていない。そもそも、凍土壁は、地下水流出を抑えて工事をしやすくするために一時的に設置するもので、永久構造物ではありません」
環境ジャーナリストの天笠啓祐氏はこう言う。
「汚染水問題が厄介なのは、技術的な問題では解決できないことです。とにかく、量が多すぎてどうにもならない。恐らく、政府も東電関係者も、最後は海に捨てるつもりだったはず。原子力規制委員会の田中俊一委員長も『必要があれば、海に出すことも検討しなければならない』と会見で語っています。しかし、安倍首相が『汚染水は完全にコントロールされている』『港湾内にブロックされている』と約束したために、海に流すことは難しくなった。政府はどうするつもりでしょうか」
汚染水問題は時が経つほど深刻化していく。オリンピックが開催される7年後には、ニッチもサッチもいかなくなっているだろう。それでなくても、原発敷地内は、突然、放射線量が上昇する「ホットスポット」が見つかるなど、異常事態がつづいている。
とても日本は、外国からアスリートを迎えられる状況じゃないのだ。よくも、安倍首相は、IOC総会で堂々とウソをつけたものである。
◆東京五輪の犠牲になり復興はさらに遅れる
それにしても、哀れなのは、東北の被災者たちだ。安倍首相はIOC総会で「復興五輪」をPRしていたが、東京オリンピックの開催が決まったことで、復興が遅れるのは間違いない。
3・11から2年以上たつのに、まだ15万人以上が避難生活を強いられている。復興が進まないのは、人手が足りないからだ。安倍政権が「国土強靭化」などと、日本中で公共事業を乱発しているために、被災地は鉄筋工などの人手を確保できず工事が全然進まない。
「2020年の東京五輪が決定したことで、被災地の人手不足に拍車がかかるのは確実です。政府も都も、巨額の税金を使って東京を再開発するつもりだから、この先7年間、人も、モノも東京に集まっていくのは間違いない。東北は置き去りにされる恐れがある。安倍首相を許せないのは、これまで本気で取り組んでこなかったくせに、五輪招致のために『被災地』を利用したことです。もし、復興を本気で考えているなら、五輪招致ではなく、被災地を最優先しているはずです」(政治評論家・本澤二郎氏)
東京五輪では、被災者のために、聖火ランナーは被災地を通って東京へ行くようにするそうだ。しかし、被災者が望んでいるのは、一刻も早く元の生活に戻ることだ。聖火ランナーを走らせるから喜べ、とはバカにしている。
仮設住宅に住む被災者は、東京五輪の決定を聞いて「それでいいのかねぇ。一番大事なのは原発じゃないのかねぇ」と、なかば諦めるように漏らしていた。いったい誰のための五輪なのか。
◆IOCを騙した首相は国民も騙す
まんまとIOC委員を騙して五輪開催を勝ち取った安倍首相は、ますます図に乗って暴走していくに違いない。消費税率のアップも、予定通り強行するつもりだ。さっそく麻生財務相は「消費税率の引き上げに良い影響を与える」とニンマリしている。
消費税率を10%に引き上げれば、税収は13・5兆円も増える。安倍政権は、その13・5兆円を、国民のためでなく、自分たちの利権のために使うハラだ。
「本来、消費税アップは“税と社会保障の一体改革”として進められていたはずです。少子高齢化に備えて、年金や医療を充実させるために、消費税率をアップさせる約束だった。国民も『社会保障の財源を捻出するためなら』と仕方なく受け入れた。ところが、安倍首相は、年金をカットし、医療費の自己負担を増やすなど、社会保障を削減しようとしているのだから、だまし討ちもいいところです。“国土強靭化”と“東京五輪”を口実にして、またコンクリート建設につぎ込もうとしている。公共事業の数%が政界にキックバックされる。IOC総会に出席し、『汚染水は完全にコンクリートされている』と世界に平然とウソをついた首相は、国民を騙すことなどお茶の子さいさいと思っているのでしょう」(本澤二郎氏=前出)
このままでは、被災地を犠牲にするオリンピックになりかねない。
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