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「足元に転がる誰かの悲しみを蹴とばしながら歩いて帰る」から
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分割統治の鉄則が戦後隣国との紛争関係の仕組みを作った
私たちは教科書で植民地統治の鉄則は devide and rule すなわち
分割統治であったと習いました。
しかし、この分割統治は何もいわゆる植民地時代だけの産物ではないのです。
占領が終わって日本が独立した際、アメリカやイギリスは日本に隣国との
紛争の種をしっかりと蒔いていったのです。
現在日本は北方領土、竹島、尖閣を巡りロシア、韓国、中国との
いざこざに苦労していますが、日本に隣国との不和な状態を保たせるという
英米の策略に嵌められているのです。以下順に見てゆきます。
馬淵睦夫氏
◎北方領土
日本が占領下にあった一九五一年に、日本にあるイギリス大使館は、
「千島列島の範囲を巡って日本とロシアが永久的に論争をする方が英米にとって
利益になる」と本国へ報告しました。
以下、丹波實氏(元駐ロシア大使)の『日露外交秘史』(中央公論新社)より、
関連部分(一六八〜九ページ)を長くなりますが引用します。
日本の外務省には外交文書の三〇年後公開ルールがあるが、英国外務省にも
同様な三〇年ルールがある。私がソ連課長になった八一年、ロンドンの日本
大使館から次のような連絡があった。
すなわち、五一年、対日平和条約(サンフランシスコ講和条約)が交渉されて
いたころのことであるが、在京英国大使館から「対日平和条約において、日本に
千島列島を放棄させるが、この放棄させる千島の範囲を曖昧にしておけば、
この範囲をめぐって日本とソ連は永遠に争うことになり、これは西側連合国に
とって利益となるであろう」という主旨の英国本国宛の極秘意見具申電報があり、
「英国外務省は三〇年ルールによりこの極秘電報を公開しようとしているが、
いかに対応するべきか」という連絡であった。
私たちは「いくら三〇年過も経ったからといって、こんな極秘電報を公開されれば
不必要な論争、誤解等を巻き起こしかねず、迷惑である」と考え、「公開不可」と
英国外務省に対しロンドンの日本大使館を通じて申し込んだ。
しかしわが方の反対にもかかわらず、英国側は公開したのである。
「英国外交は恐ろしい」と思った。
もちろん日本側の立場からすれば、日本が放棄した「千島列島」の範囲は歯舞・色丹
・択捉はもともと「千島列島」ではないという意味で明確である。
しかし、日本とソ連(ロシア)がこの問題をめぐって今日まで争っているのも事実である。
この話には後日談があり、私がロシア大使時代、最も親しく交際していたロシア人
の一人が世界的に有名なチェリストであり、オーケストラ指揮者である
ロストロポービッチ氏であるが、彼は日本食が大好物で、大の親日家である。
この在京英国大使館の電報問題を話題にしたところ、彼は「是非この電報の
コピーが欲しい。これを基に日本とロシアがいかに西側連合国に“引っかけられて”
争っているか、北方領土は日本に返還し、こんな争いはやめるべきだ、と
どこかに書きたい」と言いだした。
そこで私はロンドンの日本大使館に依頼して、この電報のコピーを入手しよう
としたところ、ロンドンの英国公文書館には確かに「千島列島の戦略的価値」と
いう一九五一年のファイルはあるが、このファイルは現在紛失中である、との
返事がきた。世の中には非常に不思議なことがあるものだ、と思った。
この文章を読んで、私は日本は大きな魚を逃がしてしまったと歯軋り
したものです。
そもそも、なぜ、最初の極秘電報公開の可否照会に対して同意の返事を
しなかったのでしょうか。
丹波氏をはじめ当時の外務省の幹部にこの電報の日本にとっての利用価値を
認めた人はいなかったのでしょうか。
しかし、もう一度チャンスはありました。日本側の反対にもかかわらず
英国側が公開した時、なぜ公開された電報のコピーを取らなかったのでしょうか。
丹波氏が述べているように不必要な論争の恐れを感じていたとしても、
公開されてしまった以上すぐにコピーを取るべきであったと思いますが、
外務省本省も在ロンドンのわが大使館も、誰もコピーを取ることを
思いつかなかったのでしょうか。
このことの方が私には不思議に思えます。当時、私は関係者ではありません
でしたので外から窺い知れない特段の事情があったのかもしれませんが、
なんとも残念なことだといまだに思います。(後略) p178-182
(つづく)
『国難の正体』――日本が生き残るための「世界史」 馬淵睦夫 総和社2012
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