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2013年9月 9日
安倍晋三氏はIOC総会での日本へのオリンピック招致のためのプレゼンテーションのなかで、福島原発は完全に政府のコントロール下にあると述べた。
そうなると、汚染水の流出も政府の管理の下で実行されていることになる。
政府の制御下にないから放射能汚染水が外部流出しているのであり、根本的な言葉の矛盾をはらんでいる。
光に群がる蛾のように、オリンピックのような話題に人々の関心は寄せられるが、放射能事故の被害者は、強い疎外感を味わっている。
安倍財政で公共事業が拡張され、官僚の勤務先や居住先の施設が整備されてゆく。
首相官邸も議員会館も豪華に建造されてきた。
その一方で、生活保護は削減され、子ども手当は廃止され、高校授業料無償化も縮小される。
企業が労働者を解雇する自由は拡大され、年金の支給開始年齢は引き上げられる。
病院窓口での本人負担は大幅に引き上げられ、介護を利用する本人負担も大幅に引き上げられる。
障がい者に対する公的給付も冷酷に切り込まれている。
メディアはオリンピックの招致決定だけを、お祭り騒ぎにして報道し続ける。
スポーツの価値を否定するつもりもないし、アスリートの活躍を批判するつもりも毛頭ない。
しかし、このような話題が情報空間を占拠して、国民生活にとって本当に重要な問題が脇に追いやられ、主権者である国民がものごとを十分に考え、検討しない間に、国会議席の多数を確保した勢力が、独断で重要事項を決定していってしまうことは、あまりにも恐ろしい。
原発事故はまったく収束していない。
放射能による汚染は続いているし、重大な健康被害も確実に増加している。
国際社会に対して、「原発は完全に政府のコントロール下にある」と宣言したことも重大さに安倍晋三氏はまったく気付いていないようである。
考えてみれば、安倍晋三氏には「強い運」があるように見える。
総理大臣の職を無責任に投げ出した人物が、首相の座に返り咲くこと自体が不可思議である。
リベンジや再チャレンジを否定するつもりはないが、無責任な行動に対する適正な対応策は、いまだに示されていない。
昨年12月の選挙で、安倍晋三氏が率いる自民党が大勝した最大の理由は、国民の大半が野田民主党に強い怒りの気持ちを持ったことである。
「シロアリ退治なき消費税増税はおかしい」と啖呵を切っておきながら、厚顔無恥に「シロアリ退治なき消費税増税」を決めた。
国民は野田民主党をせん滅しようと考えた。
このことが、安倍氏にとって最大の順風になった。
株価が急騰したのも、最大の理由は、野田政権の下で日本の株価が不当に割安な水準に暴落していたためである。
財務省主導の増税まっしぐらの政策スタンスを修正しただけで、株価は2倍近い水準に暴騰したのである。
野田のマイナスの裏側が、安倍政権が享受したプラスなのである。
日経平均株価は5月22日に15627円まで上昇したが、6月13日には12455円にまで急落した。
安倍政権が大きく掲げた金融緩和政策を実際に決定して実施したのが4月4日のことだ。
これを境に、日本の金利は上昇し、これが5月以降の円高回帰の原因になった。
アベノミクスの「副作用」が強烈に表面化して、安倍政権は重大な危機に直面した。
あのまま株価下落が続いていたなら、安倍政権は参院選に大勝できなかったはずだ。
ところが、日経平均株価は6月13日から7月18日にかけて急反発したのである。
米国金利が上昇し、これがドル高をもたらした。ドル高=円安に連動して日本の株価が急反発した。
米国金利上昇とドル高は、米国が量的金融緩和縮小の方針を表明したことによってもたらされた。
米国金融政策当局の発言が、結果的に、安倍政権の窮地を救ったことになる。
そして、三つ目の強運がオリンピック招致だ。
日本が争った相手がイスタンブールとマドリッドであったから、日本招致を決めることができた。
トルコの国内政治情勢不安定化、シリア情勢の緊迫化がイスタンブール支持を大幅に減少させる原因になった。
マドリッドは、欧州政府債務危機問題の直撃を受けた。
とてもオリンピックどころの状況ではなくなってしまったのだ。
この結果として日本が選出された。
日本はさらに重大な放射能問題を抱えているが、安倍氏をはじめとする日本の招致委員会メンバーが、真実ではない発言を繰り返して、IOCの支持を取り付けてしまったのだ。
この咎が火を噴く可能性は決して低くない。
原発事故に関する情報隠ぺい、虚偽情報流布の罪は限りなく重い。
安倍晋三氏は強運の持ち主であるように見えるが、これだけの強運が続いたことを踏まえると、そろそろ運の使い果たしの可能性を考えるべきであるように思う。
「禍福はあざなえる縄の如し」と言う。強運も深刻な「矛盾」の前には綻びる可能性が高い。
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