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2013年09月09日
五輪誘致合戦が大詰めを迎えていた時であったから見過ごされ勝ちであったが、韓国政府は9月6日、福島県など8県の水産物輸入を全面禁止すると発表した。
これは、本当はものすごく衝撃的なニュースなのだ。
何とかして水産品の風評被害から立ち直ろうとしている関係者にとっては耐えられない思いで受け止められたに違いない。
風評被害をなくそうと躍起になってきた日本政府にとっても衝撃的であったに違いない。
おりから五輪誘致で放射能汚染の心配は無いと必死になっていた時だ。
何もこのタイミングでそんな発表をしなくてもよかろうに、と思った国民も多かっただろう。
実際のところ宮城県の村井知事などは「大変残念。韓国政府は過剰に反応しすぎではないか」と強く反発したらしい(9月7日日経)。
いかにも村井知事らしい軽卒で間違った発言だ。
韓国の水産物輸入制限について、日本は一切の文句を言ってはならないし、言う資格はないのである。
文句があるなら真っ先にこの国の指導者に言うべきなのだ。
私は韓国政府が嫌がらせの政治的意図でこの発表を行なったとは思わないが、万が一そうであっても日本は一切の文句は言えないし、言ってはならない。
その事はたとえ中国が韓国の後に続いて悪意を持って輸入禁止に踏み切っても、同じである。
なぜか。
それは日本が放射能汚染水の管理をできないままそれを海に垂れ流して世界に不安をばら撒き続けてきたからである。
おまけに薄めて流せばいいとまで言ってこれからも流そうとしている。
こんな日本が何を言っても通用しない。
いくら数値が低い、この程度は安全だ、などと言ってみたところで、科学的コンセンサスがない以上、不安を抱く国民を誰も非難する事は出来ない。
国民が不安を抱く以上、その国民の生命と安全を預かる政府は、いやしくもその政府が民主国家と言うなら、どのような手段を講じてもその国民の生命と安全を守る義務がある。
そして日本は、そのような国民を守る国の決定にいかなる意味でも文句を言えないのだ。
放射能汚染問題とは、かくも深刻なものなのである。
福島原発事故の収束とその被害から国民を守ることこそこの2年間の日本政府の最重要課題だった。
これまでのすべての首相や政権は、この事を、あらゆる事に最優先して、もっともっと真剣に取り組まなければならなかった。
安倍首相は、日本がこの問題を克服すると世界に大見得を切って五輪誘致に成功した。
それはウソだ。
しかしそれが本当のウソになるか、ウソでなくなるかは、これからの安倍首相の対応次第なのである。
世界は日本の汚染水処理に注目している。
福島原発事故処理に注目している。
日本国民は騙せても世界は騙せない。
安倍首相が健全な感覚を持つ政治家なら、いやまともな人間なら、その言葉の責任の重さに押しつぶされんばかりに、福島原発事故から生じるあらゆる問題に取り組まなければならないはずである。
それは野党や原発反対の声があるからそうしなければならないのではない。
安倍首相が五輪開催を成功させたいならそうしなければならないのである。
消費税増税や集団的自衛権や歴史認識問題などにエネルギーを使う余裕などまったくないのである。
韓国の水産全面輸入禁止が教えてくれたことはそのことである(了)
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