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2013年9月 8日
2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まった。
バブル崩壊から23年の年月が経過し、暗さが支配する日本。
その日本でオリンピックが開催されることは、日本に明るさをもたらす要因になる。
「3丁目の夕日」で描かれた、今日よりも明日に夢が広がる時代とは一変しているが、今後7年間にわたって明るい話題が生まれること自体はプラスであると言ってよいだろう。
スポーツは現代日本、現代世界において、ひとつの大きな産業になっている。
「カネを生む」産業なのである。
スポーツ振興、パラリンピック誘致と表現されるが、実際には、スポーツ利権拡充が実態である。
オリンピック招致に巨額の費用が投入されてきた大きな背景がこの側面にある。
メディア報道、スポンサー、スポーツ関係者がこの利権に群がる。
オリンピック招致活動に巨額の血税が注ぎ込まれるが、オリンピック実施によって生まれる巨大な利益は、一部の利害関係者に吸収されることになる。
オリンピック開催地に東京が選出された理由のひとつとして、財政基盤の強さがあげられているが、日本政府は国民に対して財政危機を訴えている。
そのために、庶民重課税と言える消費税大増税が検討されている。
オリンピックはマイナスでないし、国民に明るい話題を提供するオリンピック開催はプラスの話題であるが、政府の施策として、正しい優先順位が設定されているのかどうかが最大の問題である。
日本財政の最大の問題は、財政支出の利権化が著しく強められていることにある。
財政事情が厳しさを増しているのであれば、財政支出の内容を絞り込むことが必要である。
他方、日本の人口構成は今後、急速に高齢化する。
高齢化社会では当然のことながら、社会保障支出が増大する。
将来不安で経済活動が停滞していると指摘されるが、人々の将来不安を取り除くには、社会保障制度を拡充することがもっとも効果的である。
年金、医療、介護の三つが将来不安の最大の要因である。
また、日本の社会保障支出の中身を見ると、「家族」、「障がい」、「失業」の三分野に対する支出が、国際比較上、著しく低いことが分かる。
「家族」の最大の対象は、「子育て・教育」である。
子どもを生み、育てるための支出に対する公的支援が乏しいのである。
鳩山由紀夫政権が推進した、高校授業料無償化や子ども手当の拡充は、こうした現実が背景にあった。
障がい者に対する支援も極めて乏しい。
「障害者自立支援法」という法律が小泉政権の下で制定されたが、名称とは裏腹に、実態は「障害者支援削減法」であった。
また、「失業」に対する保障体制も弱い。
安倍政権は成長戦略の一環として、「解雇の自由化」を提唱しているが、資本の論理を優先して、労働者の生活安定化を踏みにじる施策である。
他方、バラマキ利権公共事業が急拡大の傾向を示している。
社会保障支出を増大させても、利権になりにくい。
その最大の理由は、社会保障支出が「プログラム支出」であるからだ。
「プログラム支出」というのは、制度によって財政支出が自動的に決定されるものである。
年金、医療、介護、生活保護、失業保険給付などの社会保障支出は、制度によって財政資金支出が明確に定められる。
また、おカネの流れは、国庫から受給者への直接の流れである。
透明で利権の入り込む余地のない支出が大半を占める。
これに対して、公共事業は、どこにどのような事業を行うかが、恣意的に決められる。
工事を誰にどのように発注するのかもブラックボックスの中にある。
いまだに、談合、賄賂、癒着が広範に残存しているのが、この支出の特徴である。
また、さまざまな政府支出が、政府の外郭団体などを経由して配分される。
これらの外郭団体が、ほぼすべて天下り団体なのである。
財務省は財政危機を叫びながら、こうした「利権」になる政府支出は切り込まない。
オリンピック招致ひとつにしろ、膨大な国費、地方歳費が注ぎ込まれている。
広告代理店は、オリンピック招致の事業を取り仕切るだけで、莫大な政府支出を受け入れる。
スポーツは素晴らしいし、スポーツに打ち込むアスリートの多くは素晴らしいが、スポーツを取り巻く環境は、巨大な利権そのものなのである。
オリンピック招致活動がこれだけ大規模になっているのは、オリンピックが「カネを生む木」であるからだ。
日本が社会保障制度を充実させ、国民全体の幸福と安定を生み出して、さらに余裕があるなら、オリンピック招致活動も結構だ。
しかし、社会保障制度を切り込み、利権支出だけは拡充して、そのうえで、利権のためにオリンピック招致に血道をあげるというなら、これは邪道としか言いようがない。
真に主権者国民の側に立つ政治の実現なしに、利権のためのオリンピック招致であるなら、それは国民に幸福をもたらすものにはならない。
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