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投稿者関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/
ドイツ連邦選挙(9月22日)が、9月1日のキリスト教民主同盟のメルケル首相と社会民主党のシュタインブリュック首相候補のテレビ討論で開始された。
このテレビ討論はドイツの2つの公共放送ZDFとARD主催の90分を超える質問討論で、シュタインブリュックは最近の働く貧困層の急増を厳しく批判し、高額所得者の増税による再配分強化で、年金増額、最低賃金保障(時間当たり8、5ユーロ)、子ども手当増額などで社会的公正の実現を約束した。
これに対してメルケルは受身に回ったが、任期中の成長と安定を強調し、3期目でのさらなる安定を訴えた。
明らかに討論だけを見ればシュタインブリュックが優勢であり、ARDの世論調査ではメルケル44パーセント優勢に対してシュタインブリュック優勢49パーセントであった(ZDFの世論調査ではメルケル優勢40パーセント、シュタインブリュック優勢33パーセント)(注2)。
しかしドイツの6つの大手世論調査は連邦選挙でのキリスト教民主同盟の圧倒的勝利を予想し、社会民主党の政権復帰を絶望視している。
ドイツでは2011年のメルケル脱原発宣言以来新自由主義の推進が見直されてきたのも事実であるが、以前として中間層の底辺層への没落は継続しており、本来であれば富裕層への増税で社会的公正を求める社会民主党に有利な状況である。
実際昨年10月の私のブログで「社会民主党の復権はあるのか」(注3)を書いた時は、最大手の世論調査(TMS)で社会民主党支持28パーセント、緑の党12パーセント、キリスト教民主同盟37パーセント、リンケ8パーセント、FDP5パーセントで、緑の党との連立で復権の可能性が拡がっていた。
しかし11月にシュタインブリュックの企業スポンサーによる講演などの150万ユーロにものぼる報酬が問題視されると(注4)、30パーセントまで達した支持率は急激に低下し始め、今年4月には22パーセントとなり、以後も低迷を続け現在も23パーセント(TMS9月4日発表)であることから、復権が絶望視されている。
シュタインブリュックは2007年の新自由主義推進を反省したハンブルク綱領の際、それを支えた副党首でもあり、テレビ討論は見事であった。
しかし問題は社会民主党自体にあり、企業から安易に政治献金が入ることから(企業は買収意図で)、政治家をサポートする組織の金銭感覚も麻痺しているからだ。(2009年の連邦選挙でも、大連立で厚生大臣を務める社会民主党の看板女史ウララ・シュミトが、フランスでの休暇を必要もない公用施設訪問で政府公用機を使用したことが選挙前に明らかにされ、ドイツ市民の激怒で歴史的敗北をしたように組織及び政治家が市民感覚を失っている)。
(注2)ARDターゲスシャウhttp://www.tagesschau.de/inland/tv-duell-befragung100.html
ZDFホイテhttp://www.heute.de/Kein-klarer-Duell-Sieger-29552710.html
(注3)http://d.hatena.ne.jp/msehi/20121013/1350135599
(注4)ケリを付ける(シュタインブリュック 講演などの報酬150万ユーロ)
http://www.faz.net/aktuell/politik/inland/steinbruecks-nebeneinkuenfte-unterm-schlussstrich-11948765.html
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