http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/411.html
Tweet |
あれは「太平洋戦争」だったのか
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64146874.html
★「田中良紹氏の視点ー(2013/09/02)」★ :本音言いまっせー!
先週末、房総白浜で「田中塾」の最終講義を行った。
そこでは戦後民主教育の真っただ中で学生生活を送ったフーテンが
実社会に出てからものの見方をどれほど変えてきたかを話した。
以前書いたように歴史には様々な見方があり、一方だけの見方に立つと
認識を誤る。また歴史は時間を経ないと真相が語られない事も多く、
子供の頃に教えられた歴史が真実とは限らない。
例えば戦前の日本が「大東亜戦争」と呼んだ戦争を我々は「太平洋戦争」
と教えられた。「大東亜戦争」とは軍国主義を是認する歴史観で
よろしくない、過ちを繰り返さないために「太平洋戦争」と呼ぶべきと
教えられた。しかしイギリスの歴史学者クリストファー・ソーンは
あの戦争を「極東戦争」と定義し、「太平洋戦争」と呼ぶのはアメリカの
一方的な見方だと主張する。
日本が英米に宣戦布告をしたのは、経済封鎖をされてインドネシアの
資源を獲得する必要に迫られ、日本軍はイギリスが植民地にしていた
マレー半島に上陸すると同時にハワイのアメリカ太平洋艦隊を奇襲した。
真珠湾攻撃はアメリカ艦隊のアジア進攻を遅らせるための作戦で、
戦争の主要な舞台は極東である。
ところがアメリカから見ると初めに真珠湾を奇襲攻撃され、太平洋の
真ん中でミッドウェイ海戦に勝利して形勢を逆転した戦争となる。
アメリカの意識は「太平洋」にある。だがそれではあの戦争の本質から
離れてしまうとソーンは主張する。しかしソーンの本の書名に使われて
いるのは「極東戦争」ではなく「太平洋戦争」で、日本の出版社は
「太平洋戦争」しか使わない。
それほど我々のものの見方は戦後日本を占領支配したアメリカに
影響されている。そしてアメリカは占領時代に徹底した情報統制を
行って表と裏の「二つの日本」を作りだした。
それをフーテンはロッキード事件の取材で痛感した。
ロッキード事件はアメリカ議会が世界の反共人脈と軍需産業との癒着を
暴露した事件である。西ドイツの国防大臣、イタリアの副大統領、
オランダ女王の夫君らがロッキード社の秘密代理人と名指しされ、
それぞれの国の政治家に賄賂がばらまかれていた。
日本では右翼民族派の領袖児玉誉士夫が秘密代理人だった。
右翼民族派の領袖がなぜアメリカ軍需産業の秘密代理人なのか。
今でこそA級戦犯の児玉がCIAの手先だったことはCIAの機密文書の
公開で明らかだが、当時の日本国民はそれを全く知らなかった。
フーテンは児玉を調べていくうちに戦後の日本に国民の知らない闇のある
事を知った。アメリカは表では日本の民主化を図り軍国主義を否定したが、
裏では旧軍関係者を復活させてそれをアメリカのために利用した。
フーテンを含め日本の新聞とテレビは戦後史の闇の解明に突き進む。
ところが東京地検特捜部にアメリカから資料が提供され、取材の矛先は
賄賂を受け取った政治家の摘発に変わった。
フーテンも東京地検特捜部担当に配置換えさせられた。占領期の真相に
光が当たることを恐れた日米の勢力によって取材の矛先が変えられた
のかもしれない。
児玉誉士夫と最も親密な関係にある政治家は当時の中曽根康弘
自民党幹事長である。しかし事件発覚直後に児玉の通訳が急死、児玉も
病院に入院したまま死んでしまう。児玉ルートは解明されず、
突然田中角栄前総理が逮捕された。かつてない衝撃が国民を襲い、
田中型金権政治を否定する報道でメディアは一色となった。
それから国民は「政治とカネ」のスキャンダル追及を民主主義の基本と
思わされ、日本の民主主義を検察権力が左右するようになる。
ソ連が崩壊して世界の構造が大転換する時、世界の議会は新時代に
どう適応するかを議論していたが、日本の国会だけは佐川急便事件で
大騒ぎしていた。「政治とカネ」に終始する国会の異常さに疑問を
持ったフーテンは英米の議会を調べてみた。
すると英米は議会のテレビ中継に慎重で、大衆受けする政治家を作る
ことは民主主義を破壊すると考えている事が分かった。
また民主主義の基本は利益誘導にあり、政治は利益の調整そのもので
ある事も教えられた。我々は日本が民主主義国になった積りでいたが、
英米の民主主義と日本の民主主義とは肝心なところが違っていた。
そして驚かされたのは、冷戦後のアメリカ議会が日本経済を解体する
方法を議論していた事である。アメリカにとってソ連に代わる最大の
脅威は日本経済であった。政財官が一体の「日本株式会社」の構造を
アメリカは徹底的に批判して解体作業に乗り出した。フーテンも含めて
メディアはそれに乗せられ、日本経済の構造改革と規制緩和こそが
日本の進むべき道だと主張した。
ところがアメリカの要求を受け入れた小泉構造改革は日本に格差の
拡大をもたらす。世界で最も格差の少なかった日本経済がみるみる
うちに崩壊し、国民は弱肉強食の競争社会に陥れられた。
一方、一国で世界を支配しようと考えるアメリカは自国の価値観を
世界に広めようとする。そのグローバリズムに対する衝突が世界各地に
起きて世界は著しく不安定になった。
社会の現実とぶつかってフーテンのものの見方は二転三転してきた。
それが今では日本独自の生き方を模索する必要を感ずるようになった。
そのために外国文化を遮断して独自の文化を培養した鎖国時代、それを
断ち切り欧米に追い付こうとした明治維新、そしてアメリカの手によって
変えられてきた戦後、それらを比較しながら日本の将来を考える必要を
感じている。
この連載の読者を中心に、日本とは何かを探り、日本の未来を考える会が
出来れば本望である。「田中塾」の延長にそれを夢見ている。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。