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2013年09月03日 Electronic Journal
陸山会事件と郵便不正事件は、ある意味において、とても対照
的な事件なのです。共通している点、対照的なポイントをまとめ
ると、次の4つになります。
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1.両方とも2009年に起こっている
2.ともに民主党の政治家が絡んでいる
3.検察の不法な取り調べに問題がある
4.検察の関係者の処分が対照的である
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「郵便不正事件」はどういう事件であったかについてまとめる
ことにします。障害者のための郵便料金割引制度というものがあ
ります。一般には120円かかるものが8円で送れるのです。も
ちろんそのためには、厚労省発行の証明書が必要です。
この制度に目をつけたのは倉沢邦夫という人物です。倉沢氏は
障害者団体「凛の会」をもっていて、当時の村木厚子社会・援護
局障害保健福祉企画課長の部下であった上村勉厚労省元係長に頼
んで、郵便料金割引を認める偽証明書を発行してもらうことに成
功したのです。
「凛の会」はこの証明書を使って、電通や家電量販会社のダイ
レクトメールの発送業務を行い、莫大な利益を得ていたのです。
そのことが摘発されたのは、2009年のことです。
本来この郵便不正事件は、これだけの事件として、終わる予定
だったのです。しかし、2009年といえば、東京地検特捜部が
当時の民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書を3月に逮捕した年
です。そのとき東京地検特捜部としては、小沢逮捕の計算ができ
ているように見えたのです。
そこで大阪地検特捜部は、嫉妬からなのか、われわれもこの事
件に乗っかるべきだと考えて、厚労省に絡むこの事件を民主党の
政治家を巻き込んで、もっと大事件にしようと企んだのです。そ
して、次のストーリーをでっち上げます。ターゲットにされた民
主党の政治家とは、石井一参院議員だったのです。
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大阪地検の最終ターゲットは、警察と癒着関係にある公明党の
敵でもある民主党副代表の石井一参議院議員だった。当時「政
治とカネ」の問題で、バッシングを受けている民主党に致命傷
を与えるためだった。『凛の会』の倉沢邦夫元会長から頼まれ
て、石井議員から厚労省の塩田幸雄部長に証明書を発行するよ
う要請があったというのはどうだ。塩田部長が決裁権のある村
木課長に便宜を図るよう指示し、村木から上村係長に証明書発
行の指示が下りたことにしよう。 http://bit.ly/cY4Rqm
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そして、大阪地検は2009年5月に厚労省の上村係長、同年
6月に村木課長を逮捕し、取り調べを開始したのです。同時に厚
労省職員7人を証人として取り調べ、このシナリオを元に検事が
誘導尋問して、シナリオに沿わない証言メモはその場で廃棄し、
村木被告の上司を通じて、石井一民主党参院議員から証明書を発
行するよう口添えがあり、厚労省が組織ぐるみで偽証明書を作っ
たとするシナリオどおりの調書を作り上げていったのです。
信じ難いことですが、こういう滅茶苦茶なことが現実に特捜部
の内部で日常的に行われていたのです。しかし、これは大阪地検
特捜部の大誤算であったのです。それは、村木厚子氏の弁護を引
き受けたのがあの弘中惇一郎弁護士であったからです。
弘中弁護士は、大阪地検特捜部の作り上げた供述調書の矛盾点
をていねいかつしらみつぶしに調査し、調書が検察の作文である
ことを暴いたからです。そのなかで、石井一参院議員の関与もな
かったことも明らかになったのです。
郵便不正事件の裁判は、2010年1月15日の小沢氏の3秘
書逮捕、小沢一郎氏への検察の事情聴取の騒ぎのなかで、あまり
大きく報道されないまま進行したのです。
しかし、第5回公判あたりから、出廷した証人たちから、次々
と検察の誘導尋問にひっかかって真実と違うことを述べたり、事
実無根の供述調書に無理やり署名させられたなどという驚くべき
証言が飛び出したのです。
そして、村木厚子氏に対しては大阪地裁は2010年9月10
日に無罪判決を言い渡したのです。そして、同年9月21日に主
任検事・前田恒彦が証拠隠滅容疑で最高検察庁刑事部の長谷川充
弘検事によって逮捕され、自宅官舎及び大阪地検の執務室が捜索
を受けることになったのです。この騒ぎのなかで、検察側は控訴
を断念し、村木厚子氏の無罪は確定したのです。
この郵便不正事件の裁判で興味深い判決があったのです。これ
は、当時の厚労省係長上村勉被告と「凛の会」の倉沢邦夫被告が
共謀した犯罪です。
上村被告に対しては虚偽公文書作成罪と同行使罪が課せられて
いたのですが、このままでは無罪になってしまうのです。なぜな
ら、虚偽公文書作成罪は、文書作成権限がある者が虚偽の文書を
作成する犯罪なのですが、係長には、証明書を独断で作成できる
権限がないので、虚偽公文書作成罪は成立しないのです。
本来であれば、作成権限がある村木課長の指示を受けて、それ
に共謀して作成したというかたちを取る必要があります。しかし
村木課長は無罪になったので、このままでは上村被告も無罪にな
るのです。
そのため、検察は上村被告に対しては、公文書偽造罪および偽
造公文書行使罪に訴因変更を裁判所に申請し、認められたので懲
役1年執行猶予3年の有罪判決を受け、上村被告はこれを受け入
れています。
しかし、「凛の会」の倉沢邦夫被告ほか関連者の裁判では、訴
因変更を裁判所が認めなかったので、無罪判決になっています。
裁判長の考え方によって、本来有罪になるべき者が無罪になって
しまうこともあるのです。もともと大阪地検特捜部がありもしな
い犯罪をでっち上げようとしたことが、こういう矛盾を生んだの
です。 ─── [自民党でいいのか/46]
≪画像および関連情報≫
●佐藤優の「眼光紙背」/村木厚子氏に対する無罪判決
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中央官庁の官僚が、課長名で偽造証明書を作るなどというこ
とはあってはならない重大な犯罪だ。筆者自身外務官僚だっ
た。外務省での相場観からすると、課長名で偽造外交文書を
作成したことが露見すれば、それを行った職員は確実にクビ
だ。課長も少なくとも管理責任を問われ、処分される。今回
村木氏に無罪が言い渡されたが故に、厚労省官僚による偽造
文書作成という犯罪の真相究明がおろそかになってはならな
い。村木氏に関し、無罪が言い渡されることは、公判におけ
る証拠採用の段階で明白だった。調書の信用性が否定された
わけだ。調書がどのように作られたかについて、9月10日
発売の『文藝春秋』2010年10月号の手記で村木氏はこ
う述べている。「調書の作成というのは、検事さんとの交渉
なんですね。私は一度、弘中先生(引用者註*弘中惇一郎弁
護士)から叱られたことがあります。「なんでみんな、こん
なに嘘をつくんだろう」と私が嘆いた時です。弘中先生は、
「みんなが嘘をついているわけじゃない。検事が自分の好き
な調書をまず作ってしまう。そこから交渉が始まるんだ。調
書とはそういうものだ」って。どんなに説明しても、結局検
事さんが書きたいことしか書いてもらえない。いくら詳しく
喋っても、それが調書になるわけではないんです。話した中
から、検事さんが取りたい部分だけがつまみ出されて調書に
なる。そこから、どれだけ訂正をしてもらえるかの交渉が始
まるんです。なので、いくらやりとりをしても自分が言いた
いこととはかけ離れたものにしかなりません。がんばって交
渉して、なんとかかんとか「少なくとも嘘はない」というと
ころまでたどりつく、という感じです。(村木厚子「私は泣
かない、屈しない」『文藝春秋』2010年10月号)
http://blogos.com/article/23428/
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