http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/379.html
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韓国の朴槿恵大統領(左)と中国の習近平国家主席(共同)
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130902/frn1309021800011-n1.htm
2013.09.02
通い慣れた自民党から外務省担当となって1カ月。外務官僚の中にも意外と(失礼)人間くさい方が多いことに気付き、ようやくポツポツとネタ元もできてきた。先月まで政治家への居酒屋インタビュー「夜の政論」を連載していたが、集大成の「居酒屋コンフィデンシャル」(新潮文庫)を出版したことを機に心機一転。今後は月1回、外交の裏話を集めた「外交コンフィデンシャル(ひそひそ話)」をお届けします。「夜の政論」スタイルを応用し、外交官とランチやお茶の場で集めた本音トークも随所に盛り込みます。
第1回目のテーマは「中国」。安倍晋三首相と中国の習近平国家主席との日中首脳会談は実現する兆しもないが、日本側に不思議と焦りはない。なぜ?
◇
「正直、こちらが無理してまで会う必要はないんだよね。公害問題など日本がお手伝いしたい案件はあるが、日本が解決を急ぐような懸案もないし」
中国事情に精通する外務官僚の1人は、アッサムティーをすすりながらあっけらかんと語った。
安倍首相は表向き、9〜10月に相次ぐ国際会議の場を借り、日中首脳会談を行うよう呼びかけている。しかし中国は、日本が尖閣諸島(沖縄県石垣市)の領有権問題の存在を認めることを条件に掲げ、固く門を閉ざしたままだ。
中国外務省の李保東次官は8月27日の記者会見で、9月にロシア・サンクトペテルブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議での日中首脳会談の可能性を問われ「対話の基礎ができていないなか、なぜ首脳会談をセットできるのか」と一蹴した。
今では変節したが、かのルーピー氏でさえも、首相当時は「尖閣に領有権問題は存在しない」との立場を取っていた。中国の主張は、昨年の尖閣国有化に伴う混乱に乗じ、日本の一貫した立場に風穴を開けようという姑息な狙いでしかない。
「そんなことは重々中国政府も分かっていますよ。中国の国内事情だって、首脳会談ができない一因となっています」
外務省に近い虎ノ門の牛タン屋。別の外務官僚はランチのテールスープをすすりながらため息をつく。
安倍首相は7月末、腹心の斎木昭隆外務次官を北京に派遣し、王毅外相と会談させた。王毅氏は駐日大使を3年間も務め、日本語ペラペラの知日派。しかし、「こと政治的決断が必要な話になると岩のように堅くなり、事態が改善する兆しもなかったようだ」(テールスープ氏)。
王氏の上には、外交専門の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)(ようけつち)国務委員が目を光らせている。その楊氏は江沢民元国家主席と近いとされる。江氏といえば国家主席時代、『愛国主義』と銘打つ徹底した反日強硬路線を進めた指導者だ。
「そもそも上海市長だった江氏はかつて上海出身の党員を重用し、『上海閥』といわれるグループを作った。上海市党委書記だった習氏は上海閥に近く、江氏に頭があがらない。王氏が下手に日本寄りの態度を示せば、中国内の政治的地位すら危うくなる。動くに動けないんですよ」
中国共産党内では、習氏と李克強首相との複雑なパワーバランスがあり、これが日中首脳会談を阻む主因になっていると唱える説もある。
別の外務官僚は、外務省に隣接する総務省のマクドナルドで、バニラシェイクをすすりながら解説する。
「李氏は中国共産主義青年団(共青団)出身で胡錦濤前国家主席の後輩にあたる。共青団と上海閥のポスト闘争は有名で、実際李氏は習氏と国家主席の座を争った。胡氏は江氏の反日路線を修正した人物。習氏は今年3月に国家主席に就任したばかりで、政権基盤はまだ盤石とはいえない。この方程式をひもとくと・・・尖閣をめぐる習氏の執拗な姿勢が理解できませんか」
バニラシェイク氏も「こんな状況で日本側がハードルを下げてもあまり意味がない。ここはじっくり静観ですよ」と動じない。こうした認識が、「首脳会談に条件を付けるならお断り」という安倍首相の姿勢を支える一因にもなっているのだろう。自民党は7月の参院選で大勝し、首相は次の参院選まで「安定政権の黄金の3年間」を手にしたといわれるのだから、短期的な利益を追わなくともいい環境も整っている。
自民党内には、「米中が急速に近づいており、日本が取り残される」「米のバイデン副大統領が中国との関係改善をせかしている」などとして、日本側から歩み寄りを求める声もある。
にもかかわらず、官邸や外務省からは、日中首脳会談の早期実現に向け、セカセカと汗をかくような雰囲気はない。9月5、6両日の20カ国・地域(G20)首脳会合でのトップ会談もなさそうだ。
この間、安倍首相は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設促進や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉などを通じ、日米関係の強化に勤しむ。じわじわと対中包囲網を作り、中国側の変化を待つ構えだ。
「安倍首相が習氏に会わないのでない。習氏が安倍首相に、今は会えないということじゃないかな。その間、日本はせっせと足腰を鍛えるんですよ」
猛暑を冷やすバニラシェイクが、ゆっくり、ゆっくりとストローを上がっていった。
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