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2013年09月02日 Electronic Journal
陸山会事件には2つの裁判があります。この2つを整理して考
える必要があります。
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1.秘書裁判 ・・・・・ 一審/控訴審有罪判決
2.小沢裁判 ・・・・・ 一審/控訴審無罪判決
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「秘書裁判」の本質は、陸山会の政治資金収支報告書の虚偽記
載です。「小沢裁判」は、陸山会代表の小沢一郎氏が秘書たちの
行った政治資金収支報告書の虚偽記載に関わっていたかどうかが
ポイントになる裁判です。
これら2つの裁判の中心は「秘書裁判」です。しかし、くどい
ようですが、この裁判で問われている収支報告書の「虚偽」記載
は、既に述べているように虚偽ではありません。
2004年10月末日の土地代金の支払いは、陸山会は「権利
能力なき社団」であるため陸山会名義ではできないので、所有権
移転仮登記は小沢一郎名で行われているのです。したがってこれ
は、陸山会としての取り引きではないので、収支報告書に記載す
る必要はないのです。しかも、2005年1月7日には土地の登
記と同時に代金が支払われている旨の記載があるのです。どこが
「虚偽記載」なのでしょうか。
百歩譲ってそれが政治資金収支報告書の記載のミスであること
を認めたとしても、それは単なる記載ミスであり、会計担当者に
よる訂正と罰金程度で済まされてしかるべきです。毎年多くの会
計責任者が当局から記載ミスの指摘を受け、修正しています。な
ぜ、陸山会の場合だけ、逮捕・起訴・有罪なのでしょうか。
しかし、検察としてはこの「虚偽記載」の線が崩れてしまうと
「秘書裁判」はもちろんのこと、それが前提である「小沢裁判」
まで崩れてしまいます。そんなことになると、検察の完敗であり
検察トップの責任問題になり、検察は完全に崩壊します。
虚偽捜査報告書が明るみに出たとき、検察幹部はそういう危機
を感じ取ったと思います。このとき、検察としてのとるべき道は
「秘書裁判」の被告を絶対に有罪にすることです。
そうしておけば、「小沢裁判」が無罪になっても、検察として
のメンツは保てると考えたのです。「小沢は無罪でも秘書は有罪
にする」という方針です。
その証拠に「小沢裁判」と「秘書裁判」は、同じ陸山会事件の
裁判であるのに、まるで様相が異なっています。「小沢裁判」、
小沢一郎被告に無罪判決(第一審)を出した東京地検では、その
判決文で、田代政弘検事(当時)の取り調べの手法の悪辣さを徹
底的に批判しています。
石川氏は逮捕された直後の田代検事の取り調べにおいて、検事
の誘導に引っかかって、小沢代表への報告・了承があったととら
れても仕方のない供述調書──甲89と甲90を取られていたの
ですが、「小沢裁判」の裁判長はそれを証拠として採用せず、そ
の理由を次のように述べています。
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石川が、建設会社からの金銭受領や被告人の関与を否認してい
たところ、田代検事において、そのような供述をしていると、
捜査が拡大し、別件での再逮捕などの不利益を被ることがあり
得ることを示唆し、また、石川とのやりとりの中で被告人の関
与を認める調書の案文を示し、この程度の記載であれば被告人
が起訴されることはなく、被告人の関与を全面的に否定してい
るとかえって被告人が起訴されるなどと石川を懐柔、説得する
などの取調べ方法により、調書の作成に応じさせたとの疑いに
は、具体的で相当の根拠がある。このような経緯で作成された
との疑いがある以上、甲89、甲90については供述の任意性
に疑いがあり、特信性は否定されるといわなければならない。
──鳥越俊太郎・木村朗編
『20人の識者がみた「小沢事件」の真実/
捜査協力とメディアの共犯関係を問う!』/日本文芸社刊
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一方の「秘書裁判」の一審では、検察側は石川・大久保秘書に
対する、ありもしない水谷建設による1億円裏金資金提供があっ
たとして数人の証人を呼んで尋問し、単なる政治資金収支報告書
の記載ミスを超える大犯罪であるかのような演出をした結果、裁
判長はそれがあったと推認して、有罪判決を出しています。
さらに「秘書裁判」の控訴審では、弁護側が強く求める「小沢
裁判」の判決書と証人に呼ばれた水谷建設の元会長と元社長が一
審で供述したことが誤りであったとする意見陳述書のほか、被告
の無罪を証明する新証拠87通すべてを却下して、証拠採用せず
一審を支持して、有罪判決を出しています。
明らかに「秘書裁判」と「小沢裁判」とは、トーンが異なるの
です。まるで検察と裁判所が協力し、「秘書裁判」では何が何で
も、どんなに批判されても、有罪に追い込もうとしているようで
す。既に大久保被告と池田被告は力尽きて判決を受け入れており
裁判は検察の狙い通りになりつつあります。
問題なのは、もし石川氏が2010年5月17日の取調べで録
音をしていなかったら、どうなったかということです。
この場合は、小沢氏にとって不利な石川氏の誘導供述調書──
甲89と甲90──それが検事に誘導されたものであったとして
も裁判長はそのことを知る由もなく、証拠として採用されていた
はずです。そうすると、小沢氏は有罪判決になっていたと考えら
れるのです。つまり、あの録音が小沢氏を救ったのです。
取り調べの可視化に自民党はまるで関心がありません。取り調
べで、誘導して供述調書をでっち上げ、虚偽の捜査報告書を書い
て被疑者を有罪にしても、田代検事は不起訴です。一方は政治資
金収支報告書のささいな記載ミスは有罪です。このアンバランス
は何でしょうか。メディアはこの問題にはシカトです。このこと
は検察は誰でも逮捕して、有罪にできることを意味しています。
こんな無法が許されていいのでしょうか。世間はこの問題にもっ
と関心を持つべきです。 ─── [自民党でいいのか/45]
≪画像および関連情報≫
●「もし、石川氏の録音がなかったら」/小川敏夫元法務大臣
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その録音記録が存在しなかったならどうなったであろうか。
取調べに問題があったという証拠は、取調べを受けた石川氏
の証言しかない。一方で検事は適正な取調べだと証言する。
その時に、裁判所はどう判断するか。一般に、被告人やその
関係者は被告人の罪責を免れるために嘘をつくものだ、検事
は適正な取調べに心掛けているはずだということになると、
石川氏の証言が検事の証言を排斥して採用されるとは考えが
たい。そうすると、小沢氏への報告と了承を認めた石川氏の
供述調書は証拠として採用されることになる。その結果、小
沢氏は、有罪になっていたのではないかと想像するわけであ
る。その有罪は、間違った証拠が間違って採用された結果と
して出された判決であるから、正しくはない判決である。し
かし、間違った証拠が間違った証拠であると明らかにならな
ければ、そうした結果になってしまう。それは、小沢氏の政
治生命に決定的影響を与えたであろう。小沢氏は、無罪の判
決を受けたが、秘書が有罪となり、自分も強制起訴手続きに
よって被告の身に立たされたことで、政治生命に大きなダメ
ージを受けた。これが有罪とでもなっていたならば、そのダ
メージは決定的であっただろう。それが、検察が作り上げた
間違った証拠によって作り出されようとしていた。石川氏の
録音は検察の大罪をあぶり出す結果をもたらしたのである。
──鳥越俊太郎・木村朗編/小川敏夫氏論文
『20人の識者がみた「小沢事件」の真実/
捜査協力とメディアの共犯関係を問う!』/日本文芸社刊
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