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特定の日本史教科書を「不適切」 教委の選定介入相次ぐ 教員から疑問の声
朝日新聞デジタル 2013年8月31日
http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201308300661.html
教育委員会が特定の日本史教科書を「不適切」と認定し、高校に選ばないよう求める動きが相次いでいる。地方教育行政法では教委に採択の権限があるが、これまで文部科学省の検定を通った教科書は高校が選んできた。教員は「生徒の学力をよく知る学校に任せるべきだ」と反発する。
「最終決定機関は教育委員会。混乱が起きる前に判断した結果だ」。県立高校で来年度使う教科書を採択した20日の神奈川県教育委員会の会議後、具志堅幸司教育委員長は述べた。
同県では、実教出版の「高校日本史A」「高校日本史B」の採択が注目されていた。当初、この教科書を選ぶ予定だったのが28校。だが、国旗・国歌をめぐって「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」という表記について、7月23日の教育委員会で保守系団体が「県教委の方針が違法のような誤解を与える」と指摘。県教委は翌24日、28校長に口頭で再考を促した。
その結果、実教出版の教科書の採択申請はなかった。県教委は「国旗や国歌に関する指導は学習指導要領に基づき、記述は我々の方針と相いれない」とする。
東京都教委も7月、同じ教科書について「使用は適切ではない」との見解を全校に通知。この教科書を選んだ学校はなかった。ある幹部は「一方的な記述は誤解を招く」と言う。
地方教育行政法では、教委の職務権限として教科書の取り扱いを管理し執行すると定めており、都教委は「採択権者である以上、責任を持って選ばなければならない」と話す。ただ、文科省によると、高校は学校間の学力差や専門学科があり、各校の特色が明確なため、学校ごとに教科書を選び、教委がそれを採択する流れが一般的という。
教員には疑問の声が広がる。「学校の実態に合わせて選んだ教科書。現場と関係ない所で変えるのはおかしい」。7月26日、神奈川県内のある公立高校の校長室で、社会科教員数人が指摘した。だが、校長は「変更しなければ学校名が明らかになり、攻撃される」と議論を引き取った。
教科書選びの実務を担ってきたのは各教科の担当教員だ。1カ月以上かけ、放課後や授業の合間に教科書の展示場へ足を運び、教科書会社から送られるサンプルを比べる。
30年以上、都立高で日本史を教える教員は「高校は各教科で専門性があり、生徒に興味を持たせるにはどんな内容が良いか、受験にはどうかといった多くの要素を考える。責任を持って選んでいる」と自負する。「都教委のやり方には違和感がある」と話す。
■大阪・埼玉は条件付き採択
一方、大阪府教委は30日、実教出版の教科書について、補助教材を使うなどして教科書の記述を補完する具体策を実行させる条件をつけ、使用を認める方針を決めた。埼玉県教委は22日、各出版社の記述を一覧にした「指導資料集」の併用を条件に、8校で実教出版の教科書を採択した。
清水松代・埼玉県教育委員長は「大事なのは子どもが多角的な考え方を身につけること。子どもを一番よく分かっている先生が決めたことを受け止めたい」と話す。
各地の教育委員会の対応について、実教出版は「大変残念だが、コメントは差し控える」としている。
■検定制度の趣旨、著しくゆがめる
<日本教育法学会事務局長の中嶋哲彦・名古屋大大学院教授(教育法)の話> 教科書の採択権は実質的には学校側にあるという解釈が通説だ。教育委員会として採択に関して事前に具体的な見解を示すことは、教育委員会の権限として認められておらず、学校が持つ教育課程の編成権の侵害にもなり得る。検定に合格した教科書の記述を理由に排除する行為は、検定制度の趣旨を著しくゆがめる。
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<参照>
教科書「排除」撤回を/神奈川で県民集会開く [2013.8.19]
実教出版の日本史教科書排除/神奈川 県教委が不当性認めず/「県民の会」が抗議文 [2013.8.21]
日の丸・君が代強制記す教科書/都教委また排除 [2013.8.23]
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