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2013/8/30 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
消費増税を巡り、60人の有識者から意見を聞く「集中点検会合」で、霞が関の役人がこうボヤいている。
「反対論者を集めるのが難しいんだよなあ」
初日の「総論」の部では賛成4人、反対2人。2日目の「金融・経済」専門家の部は賛成5人、反対4人。3日目の国民生活・社会保障の部では賛成7人、反対1人、産業界代表の部では賛成7人、反対1人(総理に任せるが1人)。
本当は2日目のように賛否を均衡させたかったのにそうならない。これじゃあ、せっかくの茶番劇も「盛り上がらない」ということだ。で、会によっては、これといった意見も出ずに30分も早く終わっている。麻生財務相が時計を見ながら「もういいだろっ」とか言って、打ち切ってしまった。
◆経済オンチの胸三寸で決められる恐怖
茶番も茶番、これほどふざけた会合もないのだが、こうした手続きを経て、安倍首相は10月にも消費増税の是非を決断する。どういうふうに決めるかというと、安倍が勝手にひとりで決めるのだ。自民党の総務会も通さないし、たとえ、有識者全員が「反対」しても、安倍が「やる」といえば、それまでだ。国民生活と日本経済を左右する大増税が、経済オンチの首相の胸三寸で決まってしまうのである。
「そりゃ、閣議決定くらいはやるかもしれませんが、すでに来年4月に8%、再来年10月に10%という法案が通っている。変更がなければ、安倍首相が会見で『やります』というだけです。ま、民主党政権が3党合意で決めたことなので、安倍さんにしてみれば、そのまま『やります』では面白くない。法人減税や住宅減税など何らかの景気対策をセットにするかもしれませんが、それも安倍さんが決めること。今や、日本経済の浮沈は安倍さんが握っているようなものです」(官邸関係者)
自民党内には党税調もあるし、与党税制協議会もある。総務会も一応、議員が集まり、意見は言う。しかし、実は機能していない。消費増税とセットになるはずだった社会保障改革は、社会保障国民会議が高齢者の負担増メニューを並べると、すぐに安倍政権はプログラム法案を作って、秋の臨時国会に出すことを決めた。その際、自民党の総務会は見事に素通りされたのである。
「これまでは自民党の部会、政調会を通じて、議論し、最後は総務会が了承した後、与党責任者会議を経て、閣議決定という流れでした。ところが、プログラム法案は形だけ自民党の厚労部会にかけたものの、直前に議員に中身を知らせて、“これでいいですね”みたいな感じで決めてしまった。野田聖子総務会長は文句を言うどころか、『(従来の手法では)手続きが二度手間になる』とか言っているのですから、驚くべき様変わりです」(自民党政調関係者)
それを大新聞は「官邸主導」とか言って、褒めちぎっているわけだ。極右のナショナリスト、経済オンチの官邸主導なんて、悪夢としか思えない。
◆いつのまにか独裁を完成させたナチスと酷似
実際、安倍の“暴走官邸”主導は増税や社会保障だけではないのだ。
安倍は私的諮問機関、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を使って、集団的自衛権の行使容認に舵きりする。懇談会の結論は年末の防衛大綱に反映され、当然、法案になっていく。
安全保障戦略も外務、防衛OBで作る有識者会議に練らせ、首相、官房長官、外相、防衛相の「4大臣プラス1」で決めていく。これが今後、日本版NSC(国家安全保障会議)の核となる。こうやって、有識者を隠れみのにすれば、やりたい放題ができる。省庁が逆らおうとしても、内閣法制局長官の人事じゃないが、幹部人事はすべて、官邸が仕切っている。逆らうヤツはクビ。すでに恐怖政治は始まっているし、そうした実態に怒った役人がリークすれば、これまた、秋の国会で成立必至の秘密保全法違反で捕まってしまう。
ナチスはワイマール憲法下で独裁を完成させたが、安倍も同じだ。なるほど、この手法を使えば何でもできる。できるのではなく、やろうとしている。そのために、意図的に政治システムを変えようとしている。そこが恐ろしいところだ。
「経済財政諮問会議など有識者を使った官邸主導といえば、小泉政権の手法ですが、結果はどうだったか。格差が拡大し、デフレが長期化した。有識者が企業経営者の理屈で、勝手な政策を推し進めたからです。民主主義とは手間暇がかかるもので、トップダウンの決め方は一見、効率的に感じても議会制民主主義においては邪道なのです。まして、安倍首相は方向性があまりにも危うい。東アジア外交は行き詰まり、国際的には孤立しているし、アベノミクスもバクチ政策でしかない。ブレーキがない上に、右ハンドルしか切れない暴走車が、有識者を使って、トップダウンで物事を決めていけばどうなるのか。官邸主導ではなく、官邸独裁、官邸専制になってしまう。恐ろしいことになりますよ」(法大教授・五十嵐仁氏=政治学)
◆モーロク爺さんたちはすっこんでろ!
しかも、その有識者たるや、経済ブレーンのエール大名誉教授・浜田宏一氏(77)や安保懇談会の柳井俊二座長(76)を筆頭にモーロクしたような爺さんばかりだ。何を決めたって、自分は今後、生きていないのだから、イイ気なものだ。
本来であれば、こんな無責任な横暴政治は野党が体を張って止めなくてはならないのだが、国会情勢は絶望的。ならば、メディアが頑張るべきだが、こちらも安倍応援団というか、ほとんどグルだから、どうにもならない。
かくて、この国の民主主義はほとんど死滅し、あろうことか、もっとも危険な政治家によるファッショ政治の暴走が始まってしまったのである。新著「日本を疑うニュースの論点」でメディアの腐敗堕落を鋭く指摘した元外交官の孫崎享氏はこう言う。
「大メディアの役割は権力の暴走をチェックし、批判することなのに、この国の主要メディアは統治機構の一部と化している。安倍政権になってからの異様な右傾化の責任の多くは、こうしたメディアにあると思っています。安倍政権が行おうとしている右傾化路線は今や、世界で危険視されている。国連の潘基文事務総長が日本の政治指導者の歴史認識を批判し、日本国内からは『中立性を欠く』という非難が相次ぎましたが、潘氏は百も承知でしょう。『日本が異常だ』というのが国際認識で、それを踏まえた発言なんです。米国も安倍右傾化路線には『戦前回帰の危惧がある』と警戒心を強めています。民主主義に逆行し、戦後の国際社会のあり方を壊しかねない言動が目立つからです。それなのに、主要メディアが何も書かないのは極めて異常なことです」
◆人権無視法案が次々可決の悪夢
大メディアがこの調子では、安倍はますます図に乗り、秋の臨時国会では人権無視法案を次々に出してくるだろう。秘密保全法案が筆頭で、最終的には憲法改正に行き着く。
秘密保全法を審議する作業部会の座長、町村元官房長官はわざわざ、「基本的人権を不当に侵害することがないような法律にしなければならない。また、報道の自由を確保するため、正常な取材活動は問題ないことを法律上明確にしたい」とか言っていた。
取材活動の前に「正常な」という形容詞があるところがミソである。すでに、この国の民主主義は死んだも同然だが、この法案が通ったら、いよいよ、戦前の暗黒時代に逆戻りだ。
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