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2013年08月29日
安倍と云う男はどこまでアホなのだろう。中東カタールのドーハでタミム首長と会談、シリア情勢について「シリア情勢の悪化の責任は、暴力に訴え、無辜の人命を奪い、人道状況の悪化を顧みないアサド政権にある。アサド政権は道を譲るべきだ」と発言。しかし、化学兵器の使用疑惑について、「きちんとした調査で事実関係が早期に明らかにされることを強く望む。国際社会は急いで暴力の停止を実現していかなければならない」とも発言した。たしかに以前、オバマやヨルダン国王が“アサド退陣しろ”と言っていたが、今は、その件を持ち出す時期ではない。時と所を間違わずに発言する知恵者が側にいないのか?兎に角、米英支持を表明すれば、国際的に点数が上がるとでも思ったのだろう。
今回の科学兵器使用問題は、どちらが仕掛けたのかも判らないし、仮にシリア政府の倉庫にあった物だとして、盗まれることもあり得るわけだし、同一の化学式の科学兵器が、反シリア政府の勢力によって製造され、使用されたのかもしれない。アメリカは、他国の政権を転覆させる戦争を行く度となく繰り返し、その尻拭いに財政を逼迫させてきた。その無謀な覇権主義につきあわされる西側諸国も、不要な国費を投入してきたのだ。米国の世論も、アメリカのシリア攻撃参加に懐疑的だ。
故に、仮に今回シリア攻撃をするにしても、“政権交代が目的ではない”とホワイトハウス報道官カーニーが発言している。あくまで、科学兵器の使用を禁じた国際基準に基づく制裁に過ぎないと逃げを打っている。にも拘らず、我が国家のアホ首相は“アサド政権転覆”と受けとめられかねない発言を不注意にしている。しかし、国際社会は、今回の英米仏中心の、限定的だと云う攻撃が正当化されているか疑問符もあるし、一旦攻撃となれば、アサドも引くに引けなくなるだろうし、ロシアとアメリカの反目は決定的になる。お陰で、市場は、為替にせよ株価にせよ、理解し難い動きを見せている。WSJの以下の二つの記事は非常に参考になるので添付する。特に二つ目の方が、現在の微妙なポジションにいるオバマ政権を観察している。
≪ シリア対応策はアサド政権交代が目的でない=ホワイトハウス
米ホワイトハウスは27日、シリアで化学兵器が使用されたことへのオバマ大統領による対応策の目的はアサド政権の崩壊ではないと言明した。 ホワイトハウスのカーニー報道官は「明確にしておきたいことは、われわれが検討している選択肢は政権交代ではないということだ」とした上で、「化学兵器の使用を禁じた国際基準への明らかな違反に対応するものだ」と述べた。
カーニー報道官は、先週のシリアの毒ガス攻撃に対する措置として、オバマ大統領は軍事・非軍事両面で選択肢を検討中だと述べた。活動家や反体制派の話によると、この攻撃により1000人以上が死亡した。米仏英やアラブ連盟加盟国を含む多くの国はこれらの攻撃を非難し、アサド政権側の勢力がこれに関与しているとの見解を示している。諸外国の非難は米国がシリア政府を攻撃する際の支援となる。
ヘーゲル米国防長官は、国防総省がオバマ大統領に軍事的対応の選択肢を提示したと述べた。同長官はその内容には言及しなかったが、複数の防衛当局関係者は地中海に配備されている米軍艦からの巡航ミサイルによる攻撃を検討していることを明らかにした。
カーニー報道官は、米国のシリア政府に対するいかなる行動もその目的はアサド氏の追放ではないものの、「アサド大統領があらゆる正当性を失って久しいとわれわれは確信しており、シリアの未来にアサド大統領はいない」とし、化学兵器の使用に関して「未解決のままにしない」ことが米国の国家安全保障の利益にかなうと述べた。
アサド政権は化学兵器による攻撃に関与したとの疑惑を否定しており、シリアのムアレム外相は27日、可能な限りの手段で国を防衛すると述べた。
ムアレム外相は「(諸外国は)シリアを攻撃したいのだ。化学兵器の使用を攻撃の口実に利用することは、使い古された手管で間違っている」と述べた。
カーニー報道官は、誰であってもアサド政権が攻撃に関与していないと主張するのは「非常識」だと断じた。報道官はアサド政権がシリアに化学兵器を保有しており、化学兵器を搭載するためのロケットも持っていると指摘した。≫(WSJ日本版28日)
≪ なぜオバマ米大統領はシリア内戦に引きずり込まれつつあるのか
長期的な泥沼に陥りかねないシリアの内戦への介入を2年にわたって避けようとしてきたオバマ大統領は今、軍事介入の崖っぷちに立っている。米国民の支持がほとんどなく、国防省の幹部たちも本質的には負け戦の提案だと言っているにもかかわらずである。
こうした状況に至った理由はさまざまあるが、最も複雑な理由はイランの一語に要約できる。
シリアの政権を後方から支援し、戦闘の激化に大きな役割を果たしてきたイランは、アサド大統領が反体制派を制圧した場合、その影響力が最も強まる国でもある。
より喫緊の懸念としては、先週に大量破壊兵器である化学兵器を使ったとされるシリアに何らかの対処がなされなければ、危険な核開発計画を持つイランも誤った結論に至る公算が大きい。
要するにイランは誰も話したがらない重要な問題であり、これさえなければ距離を置く正当な理由がたくさん見つかったであろう大統領にとって強烈なジレンマとなっている。
シリアの内戦、そして、市民の殺害や強制移住は現在、人道上の大きな懸念となっているが、1990年代のルワンダでの内戦も同様だった。シリアの内戦は重要な地域の勢力バランスをどの国が握ることになるのかという大きな不安も生んでいるが、1990年代のコソボ紛争でもそれは同じだった。ルワンダ にまつわる懸念が米国を軍事関与に駆り立てることはなかったが、コソボでは北大西洋条約機構(NATO)軍の77日間にわたる空爆という形でそれに至った。
しかし、主にイランが果たしている役割から、シリアの内戦には米国の世界的な利益が関わっており、ルワンダ、コソボとは別のカテゴリーに分類される。シリアの内戦は本質的に、イランが率いる枢軸──イラン、アサド大統領、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの協力者たち──と中東のその他の人々との争いの代理戦争となっている。
そして今、この内戦の中心に大量化学兵器を据えることで問題は拡大している。自国民に対するシリア政府の化学兵器の使用は「否定しようがない」というケリー国務長官の8月26日の宣言で、イランの核開発計画を封じ込めるためのより深刻な戦いとも関連性があるという見方は否定しづらくなった。
オバマ大統領は、シリアによる化学兵器の使用は受け入れられないと言ったが、以前にもイランによる核兵器開発は受け入れられないと述べている。大統領は今、前者の発言への信頼性が後者の発言への信頼性に影響を与えるかどうかをじっくりと考えなければならない。オバマ政権は、核兵器保有の意図を否定し続けるイランのロウハニ大統領の新政権と核問題に関する話し合いに入ることを検討しているので、その疑問には早急に答えを出さなければならない。
それと同時に、米軍の支援で最終的にアサド大統領を追放すれば、イランは単に孤立感を高め、安全パイとして核兵器を保有したいという願望を強めてしまうかもしれない。
米国はこうしたすべてのことを考慮した上で、シリアの標的に対して巡航ミサイル攻撃を仕かけるかどうかの決断を下さなければならない。そうした攻撃は、シリア政府軍の形勢を一気に不利にしようとするものではなく、限定的で、化学兵器の使用には代償が伴うということを知らしめるものになるだろう。とはいえ、そうした限定的な攻撃にさえ、相当な短期的、長期的リスクが伴うのである。
シリアでの軍事オプションの分析を求めていたエリオット・エンゲル下院議員(民主党・ニューヨーク州選出)は数日前、マーチン・デンプシー統合参謀本部議長が軍事行動の影響を率直に分析した手紙を受け取った。そこには、米国にはシリアの空軍力を限定的な攻撃で壊滅させる能力があるが、それでシリアの混乱状態が鎮静化されることはないと書かれていた。
デンプシー議長は「アサド大統領による支配が終わっても、複数の宗派間の根深く、長期的な紛争や権力をめぐる暴力的な闘争は続くだろう」と指摘し、「われわれはこうした状況を踏まえて、限定的な軍事作戦の効果を見極めるべきである」と記した。
いかなる行動にも差し迫ったリスクが伴う。シリアが大いに頼りにしているもう1つの後援国、ロシアとの緊張が即座に高まるだろう。シリアの同盟組織による米国の標的を狙ったテロが起きる可能性も高まるだろう。あらゆる軍事行動の激化には、戦争がその地域全体に拡大する危険も潜んでいる。
同様に、オバマ大統領をできれば傍観者でいたいと思わせた長期的なリスクも以前と変わりなく存在している。大統領の最大の懸念には2つの側面がある。1つ目は、米国がそうした紛争に介入したとき、米国には勝利するだけの軍事力を投入することが期待される。いかなる紛争であれ、超大国が中途半端に介入するのは難しい。ここでもやはり、信頼性の問題が浮上するのだ。
2つ目は、米国が一度介入したら、アサド政権崩壊という勝利の後に続く混乱を米国が引き受けざるを得なくなる可能性は他のどの国よりも高い。新政権を取ろうとする勢力には、米国との利害がほとんど一致しない多くの扱いにくいイスラム原理主義者たちが含まれる。 がれきをかき分けることには何年も要するだろう。≫(WSJ日本版27日)
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