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日経新聞が連載している消費税関連記事の一つに、日本ではびこっている消費税に対する誤解について書かれている。
私が阿修羅でしつこいほど書いてもなかなか理解を得られなかった内容で、そのような“誤解”のはびこりは財務省と主要メディアの長期にわたる宣伝広報活動のたまものなのだが、「各流通段階で課される消費税額は、売上高から仕入れ額を引いた付加価値に消費税率をかけた金額だ。単品で計算されるものではない。最終的な負担者は消費者であるが、納付は各段階の事業者だ」と消費税の内実を説明している。
日経新聞が書いているように、消費税は、販売価格(購入価格)に課されるものではなく、消費者が負担しなければならないものでもない。
「最終的な負担者は消費者」や「消費税は間接税」といった説明は相変わらずの誤りだが、消費税が事業者の付加価値に課されたものであることをきちんと説明した意義は認められる。
増税で負担増加になる消費税が最終的に消費者の負担になるか(転嫁されるか)どうかは、個々の事業者が稼ぐ付加価値が負担増加分だけ増加したかどうかで判断されるものであり、無媒介的に「最終的な負担者は消費者」と言えるわけではない。
「消費税は間接税」という定義も、「最終的な負担者は消費者」を印象づけるためのものであり、課税標準(課税対象)や納税義務者を考えれば、消費税が法人税や所得税と同じ直接税であることは明白である。
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実務から見た消費税
(3)価格表示の切り替え 付加価値基点カギ
消費税の導入(1989年)、引き上げ(97年)時に、小売店などでは一斉に価格表示を切り替える光景が各地で見られた。日本の消費税と同様の制度を採用する欧州諸国ではどうか。日本貿易振興機構によると「表示切り替えの騒動を見たことはない」という。
この差は消費税への認識の差だと思われる。各流通段階で課される消費税額は、売上高から仕入れ額を引いた付加価値に消費税率をかけた金額だ。単品で計算されるものではない。最終的な負担者は消費者であるが、納付は各段階の事業者だ。消費税は間接税なのだが、日本では物品税的な考え方が色濃く残っている。だから税率が変わると一斉に店頭の価格表示を替えようとする。
欧州では魅力的な(付加価値の取れる)商品は日常的に価格を上げていく。逆なら下げる。まさに需要と供給の世界だ。
特に税率が上がることが決まるとメーカーも小売業者も商品力の洗い出しをして、価格を上げても売れ行きが落ちないと思われる商品の価格を上げていく。もし価格を上げると売れ行きが落ちる恐れがあれば価格を据え置く。だから増税前夜の価格表示の一斉変更は起きない。
日本では最近、大手流通業が高価格帯プライベートブランド(PB=自主企画)商品の開発を急いでいる。これは増税後でも商品力があれば付加価値の取れることを狙ったものだ。付加価値基点の商品開発が広がれば、表示の一斉変更はなくなるかもしれない。
消費税の本質を知れば、消費の現場も変わるはずだ。
(編集委員 田中陽)
[日経新聞8月28日朝刊P.29]
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