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東京五輪招致 安倍首相のプレゼンはIOCにとって当たり前
http://gendai.net/articles/view/sports/144227
2013年8月27日 日刊ゲンダイ
【連載 「2020五輪は東京にやってくるのか」第1回】
<上から目線で消えたソルトレーク五輪>
2016年東京招致が失敗した時、プレゼンテーションの稚拙さやロビー活動の不足などが批判されていた。確かにプレゼンテーションの出来がいいに越したことはないし、ロビー活動はした方がいいかもしれない。しかし、長野五輪の招致活動に深く関わった経験から言うと、招致決定には「理想的な」プレゼンテーションよりも、「具体的な」プレゼントが重要である。
IOC(国際オリンピック委員会)委員はIOCが任命し、国や地域にオリンピック運動を広める大使として派遣される。つまりスポーツ王国からの全権特命大使である以上、一国の元首と対等の立場になる。だから例えば、中国スポーツ界の友人は、「IOC会長は米国大統領と同じコードで接遇する」と言った。「なぜならスポーツ国の大統領だから」。IOC会長の車はパトカー、白バイで先導するのが国際的常識なのだ。IOC委員も準じる扱いになり、バスで集団移動の場合はパトカーなどの護衛がつく。
一国の元首がプレゼンテーションに参上し、IOC委員に五輪開催を訴えることに意味があるのは、それがIOC委員の権威に敬意を表するという一点だけである。思い出すのは1991年、バーミンガム。98年の冬季五輪開催地を決める最終プレゼンテーションでソルトレークシティーのトム・ウェルチ招致委員会会長は、同市がオリンピック開催都市として世界最高であることを自信満々に主張した。IOCがソルトレークを選ばなければ、IOCではないほどの勢いで全てのスピーチを独りで演じた。IOC委員はこれを歓迎しなかった。ウェルチ会長が五輪運動を主導するかのように見えたからだ。
<IOCと委員をくすぐるお土産が必要>
ソチ五輪招致のために、ロシアのプーチン大統領は、(IOC公用語の)英語と仏語で政府の全面支援を打ち上げた。自国語以外でスピーチをしない大統領が、IOCのプロトコル(行動規範)に自らを合わせたのである。もし(リオに決まった総会で)シカゴの招致演説でオバマが仏語を話していたら、票数は変わったかもしれない。
上から目線で開催都市をアピールする都市に勝利はない。IOCに懇願する都市が生き残る。
IOC委員は自らを五輪のオーソリティー(権威)と認識しているので、そのプライドをくすぐり、IOCと五輪運動が尊重されているというリアリティーを示す必要がある。方法はいろいろだが、長野の場合、プレゼンテーションの最終段階であるプレゼントを用意した。五輪開催収益で冬季スポーツ強化基金をつくり、この基金によって、冬季スポーツ発展途上のアジア各国を支援するという提案であった。もし長野を選べば、冬季五輪のアジアセンターができる五輪運動史の画期的な貢献となるものであり、長野を選んだIOC委員の名誉となる。
9月のプレゼンテーションに安倍総理が参上するのは日本にとっては凄いことかもしれないが、IOCにとっては当然のことに過ぎない。安倍総理が、五輪運動にどれだけ貢献できるかを具体的に示すことができるかどうか。それが勝利のポイントになるだろう。
次回はロビー活動と長野五輪招致の裏側に触れたい。
【春日良一】
かすが・りょういち 長野県出身。1978年に日本体育協会に入る。89年にJOCに移り、長野五輪招致委員会に出向。招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。
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