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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130827-00000423-playboyz-pol
週プレNEWS 8月27日(火)12時10分配信
1945年8月15日を「敗戦」ではなく「終戦」と呼び換えたことからすべての歪みが始まった……。アメリカには「敗戦国」として従属を続けながら、日本国内とアジア諸国に対しては「敗戦」という事実を否認し続ける。その結果、敗北が無期限に続く構造を「永続敗戦」と名づけ、日本の戦後論に新鮮な一撃を加えた快作が『永続敗戦論 戦後日本の核心』だ。著者の白井聡氏に聞いた。
―この本全体を貫く明快で論理的な「戦後」の検証に感銘を受けました。それ以上に印象的だったのは白井さんの「この本を書かねば」という気持ちが強烈に伝わってきたことでした。こうしたテーマを扱おうと思った動機は?
「具体的なきっかけはふたつ。ひとつは民主党による政権交代があったのに、その後、鳩山内閣退陣をはじめとしてわけがわからなくなってしまったこと。そして、もうひとつはやはり原発事故ですね。
このふたつが証明したのは、『戦後民主主義』なるものは実は存在しなかった、という事実です。そこから日本の『戦後』の本質を検証し直す必要があると確信しました。そうしたなかで行きついたのが『永続敗戦』という考え方です。
私は、もう少し抽象度の高いテーマを扱うのが専門なので、現代史や外交史について、こうした時事的な著作を出す日が来るとは、自分でも思っていませんでした。ところが“こういうコトを誰かが言わなきゃいけないだろう”と思っていたのに、専門の学者が言わない。じゃあ自分で書くしかないなと」
―この本を通じて白井さんは繰り返し、日本の「戦後レジーム」を再検証する必要性を訴えています。そして「日本を、取り戻す。」というキャッチフレーズで首相の座に返り咲いた安倍首相も「戦後レジームからの脱却」を繰り返し主張しています。このふたつの違いはなんなのでしょう?
「安倍さんの言う『戦後レジーム』が何を指すのかは不明瞭ですが、その発言から推察するに、背景には自民党が結党時から訴え続けてきた戦後民主主義への強い抵抗感があり、日本の『敗戦』によって否定された戦前の体制へのシンパシーが感じられます。具体的には自主憲法制定や国防軍の創設で『普通の国』を目指すというコトなのでしょう。
一方、私の言う戦後レジームとは『永続敗戦レジーム』のことです。際限ない対米従属という形での『敗戦』と、国内およびアジアに対しては敗戦をごまかすという、矛盾しつつ補い合うふたつの立場に依拠(いきょ)してきた日本の戦後の保守政治の体制を指します。そして、この『永続敗戦』は、耐用年数を過ぎたというのが私の見方ですね」
―日本は今、「永続敗戦レジーム」からの脱却とは正反対の方角に突き進んでいるようにも見えます。このまま進むと、その先には何が待っているのでしょうか?
「安倍首相の言う『戦後レジームからの脱却』が本気で追求されるならば、『永続敗戦レジームの崩壊』が一目瞭然の仕方で生じることになるでしょう。最も端的な形は、中国との戦争です。ただ、尖閣諸島で軍事的な衝突が起きた場合、日米安保があるから米軍が必ず助けてくれるとは限らない。私はむしろアメリカは参戦しないと考えます。
また日中の軍事力のどちらが優勢かわかりませんが、実際に戦争になれば中国はレアメタルなど資源の禁輸だけでなく、中国に進出している日本企業の資産接収などに踏み切るはずで、勝ちきれるなどとはとうてい思えません。
場合によっては、そうした事態を起こさせないために、多くの人たちが『日本を守るためにいる』と思っている米軍が『日本の軍事力への抑止』という形で動くことで日米安保が“本当の顔”を見せるかもしれません。どうなるにせよ、『永続敗戦レジーム』を許容してきたことの高い代償を日本国民は支払うことになるでしょう。
対米従属を続ける日本は、アメリカがいつまでも日本の『親代わり』をしてくれると信じて疑いません。ですが、そのアメリカは今や『調子に乗りすぎた』日本を持て余しはじめています。つまり、対米関係においても、そして対アジア諸国との関係においても『永続敗戦』の構図はすでに崩壊しているのです」
(構成/川喜田 研 撮影/山本尚明)
●白井 聡(しらい・さとし)
1977年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会特別研究員などを経て、文化学園大学助教。著書に『「物質」の蜂起をめざして―レーニン、〈力〉の思想』(作品社)など
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