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以前、NHKの「その時歴史が動いた」で有名な松平定知氏が、戦後すぐ自衛隊(当時、警察予備隊)が創設されるときの米国外交文書を解説していた。アメリカでは一定期間過ぎると外交文書が公開される。
それによると、その時、帝国海軍は敗戦の残務処理をしていた。そこに出てきたのが自衛隊である。残務処理の責任者のトップは早速アメリカに書簡を送った。その書簡はアメリカを褒めたたえていた。そして次の言葉が見られた。
「アメリカは日本の救い主である」
これを見て私は、大きなショックを受けた。いくら戦争に敗れたとはいえ、そこまで卑屈になるのか……。又そのあとの文書を読んで唖然とした。次のような内容である。
……警察(現在の海上保安庁)では命を捨てて海上の防衛はできない。軍隊が必要だ。そこでぜひとも帝国海軍を採用してもらいたい。……
こうして帝国海軍はそっくり自衛隊(警察予備隊、保安隊)に残った。しかし、帝国陸軍はすべて排除され、新規採用になった。
第二次世界大戦の真相は、世界史で見ると背後にいろいろな歴史的理由があった。しかし、公開文書から見る限り海軍と陸軍の主導権争いがあったと推察できる。そうすると英米派の海軍とドイツ派の陸軍の主導権争いで、結局、ドイツ派の陸軍が壊滅し、英米派の海軍が生き残った都いう見方もできる。
この見解に対しては反論もあろう。しかし、その犠牲になったのが国民であることは否定できない。
現在、消費税増税を2014年度実行するかしないかが検討されている。実行すべきだというのは日銀の黒田総裁である。景気は回復しつつあるから増税してもよい(本人がそう言っている)。
しかしどうみても回復しつつあるとは思えない。インフレの数値を見るとそうだが、その内容は株の値上がり、都心部の地価の値上がりのほか、食料品の値上がり、電気料金の値上がりなどで、お金持ちにはいいことかもしれないが、庶民には良くないことだ。
円安になって儲かるのは輸出大企業だ。多くの中小企業は円安による輸入価格の上昇で経営が苦しい。
そこで反対派の本田参与は株や土地以外の実体経済が回復していない以上、消費税増税は行うべきでない、しばらく待つべきだと言う。参与の浜田宏一も反対のようだ。
同じ参与でも堺屋太一は増税に賛成だ。
経済現象から言うと、今は増税の時期ではない。増税により景気は悪くなる。中小企業は価格に転嫁できず、経営が悪化する。消費は冷え込み、賃金は下がりデフレになる。中小企業の国内総生産に占める割合が圧倒的に多い日本では、致命的だ。
その代り輸出大企業は儲かる。外国人は消費税を払わないからその分、輸出企業には戻ってくる。即ち還付制度がある。消費税増税は輸出企業の利益になる。そうであるのに大企業は、増税の埋め合わせとして法人税を下げることを要求している。還付制度を廃止するか、廃止しないなら法人税を上げて吸収すべきだと思うが、そうではない。
このように大企業が消費税増税に賛成しているのは自己利益につながるからであるが、黒田日銀総裁や堺屋参与が賛成するのはなぜだろうか。まともに経済が理解できる人なら、今は時期でないと思うが……。なぜ増税を主張するのだろうか。まさか彼らが経済オンチと言うことではないであろう。
その時、ハッと気づいた。黒田も堺屋も官僚出身だ。黒田は財務省(現在名)、堺屋は経済産業省(現在名)。植草先生もその著『アベノリスク』で述べていた。官僚は自分の省庁のことしか考えていない、国民など全く眼中にない、給与が保障され天下りできればよいと。
黒田も堺屋も国民から税金を取りさえすれば良いと考えているのだろう。彼ら特有の大義、即ち財政健全化があるのだろう。国民不在の財政健全化。農民から重税を取り立て財政健全化が実現したと喜ぶ家老のような気もする。主君のアホ藩主は判断できないから、有識者(本当にそうかな?)を集めて会議を開くだけ。
以前、海軍と陸軍の主導権争いで大被害を受けたのは国民だ。帝国海軍は海上自衛隊として生き残った。さて増税で生き残るのは誰だろうか。大企業と官僚だけになるのでは。共通するのは国民不在だ。
もっとも、消費税を上げなくても日本経済は衰退する。大量の国債発行と公共事業で巨額の財政赤字を抱える。ドイツ連銀は2015年マイナス成長になると報告している。結局、日銀の国債買い取りに頼らざるを得ず、国際的に信用丸つぶれになる。その時はギリシャのように公務員の給与削減が必至になる。視野の狭い官僚は、日本経済がどうなるかなどはどうでもよく、自分の給与削減だけを恐れているのであろうか。
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