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2013年08月25日(日) ドクターZ 週刊現代
「税」を経済政策として使う時の原則は、景気の悪い時は減税、良くなって冷や水をかける時は増税であり、いまは増税すべき時でない。アベノミクスの効果が本格的に出てくるのは約2年後であり、消費税増税が予定されているのは来年4月。このタイミングで増税をしたら、離陸直後に逆噴射をした飛行機のように日本経済の墜落≠烽りえる。
その穴埋めをするために、政府支出を増やす。極端な話、消費税増税で得られた政府収入をそのまま政府支出にまわせば、経済への悪影響は最小限度に抑えられる。政府は、愚かな国民から賢い政府が税金で吸い上げて使うと、経済にいいと考えているかもしれない。
しかし、当たり前のことだが、国民から吸い上げる税金は少ないほうがいい。増税してそれをバラまくのは愚の骨頂。ましてや、本当は愚かな政府にカネをもたせることはよくないというのが実情だ。
ところが、えてして現実は悪い方に転がる。消費税増税が決まればセットで始まるのが補正予算。「駆け込み需要後の景気の落ち込みを下支えするため」というお題目のもと、自民党は補正を組む。その中身は公共事業となりそうで、バラマキの復活でしかない。
これを待ち望むのが、昨年12月の衆院選、今年7月の参院選で当選した国会議員たちだ。当選者には族議員も多いので、彼らの復活は官僚にとってもうれしい話である。さらに、今後は国土強靭化の名のもとに莫大な規模の公共事業が全国で行われる。
まさに自民党政治の復権≠ナあるが、そもそも「公共事業」というのは政策的にどう評価するのが正しいのか。公共事業といっても、普通の投資採択基準と同じである。かけた費用と投資の結果得られる成果を比較考慮して、成果のほうが大きければ、政府のやった公共事業は賢いといえる。
但し、政府は民間ではできないものをやらなければいけない。もし民間でもできるものであれば、政府が公共事業で成果が得られるとしても、その分民間の投資を押し出しているので、そのマイナス分を考慮すると公共事業を正当化できないからだ。
高度成長期には、政府が行うべき社会インフラ整備が多く、しかもそれが民間投資を誘発したので、投資成果は大きかった。このため、公共事業は無駄でなかった。ところが最近は、一定の社会資本が整備されたので、コストはかかるが成果は乏しい「無駄な公共事業」が増えてきた。
大震災で再び公共事業が脚光を浴びている。たしかに震災関係の公共事業は、従来の公共事業に比べて投資成果が大きいものが多い。問題はそれにどう説得力を持たせるかだ。投資成果をベネフィット、投資費用をコストとして、ベネフィットをコストで割った「ビー・バイ・シー(B/C)」をすべて公開して行うことが必要だろう。その基準も厳しくするべきで、B/Cが「1以上」では不十分である。海外では「3以上」としている国もある。
建て前としてB/Cはすべて公開になっているはずであるが、その基礎資料などは入手困難である。この際、第三者機関を作って、公共事業を客観的に評価するのがいいだろう。
政府の産業競争力会議では、そうした提案が出されたが、なぜか却下されている。やはり関係者の密室で決めたいのだろうか。そうなると、かつて辿ってきた公共事業の無駄遣いが自民党復権とともに復活するかもしれない。国民はよく監視する必要がある。
『週刊現代』2013年8月31日号より
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