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2013年8月24日 植草一秀の『知られざる真実』
柿沢未途氏がみんなの党を離党した。
メディアはみんなの党の渡辺喜美代表を悪者にする報道を展開しているが、その背後に、米国の日本政治再編の方針がある。
かねてより指摘しているように、米国は日本政治を対米従属の二大政党制に移行させようとしている。
その具体的な姿が、自公と民みん維新による二大政党体制である。
邪魔な存在は何か。
それは、対米従属でない、既得権益での政治を否定し、主権者を軸とする政治を目指す政治勢力である。
2009年9月に鳩山由紀夫政権が誕生した。
この政権樹立を主導したのは、小沢−鳩山ラインである。
この新政権こそ、主権者政権と呼ぶべきものであった。
基軸にあったのは次の三つである。
第一に、対米従属を改め、自主独立に転換する。
第二に、大資本が政治を支配する状況を転換する。
第三に、官僚が政治を支配する状況を廃絶する。
そのために、具体的に次の方針が明確に掲げられた。
第一に、普天間飛行場の移設先を県外ないし国外とする。
第二に、企業団体献金を全面禁止する。
第三に、官僚の天下り利権を根絶する。
明確な、具体的施策が明示された。
米官業のトライアングル、日本の既得権益は戦後最大の危機を迎えたのである。
小沢−鳩山主導の主権者政権が、あと一度、国政選挙で勝利を重ねれば、主権者政治が日本に盤石の基盤を形成するところだった。
日本では、国政選挙3連勝が政治基盤磐石化の条件である。
小沢−鳩山民主党は、2007年参院選、2009年衆院選に勝利した。
2010年参院選に勝利すれば、衆参ねじれを解消し、主権者政権の基盤を確固たるものにできたのである。
米官業の既得権益は、危機に直面して、文字通り「目的のためには手段を選ばぬ」行動に突き進んだ。
それが、小沢一郎氏と鳩山由紀夫氏に対する人物破壊工作であった。
そして、民主党の菅直人氏を既得権益勢力に転向させた。
2010年6月の政変は、既得権益勢力が主権者勢力から政治権力を強奪した「クーデター」だったのである。
既得権益勢力の中心に位置する米国は、主権者勢力の伸長、躍進を阻止するために、別の工作活動を展開してきた。
それが、「人為的第三極」創設の行動である。
2008年夏に放映されたフジテレビ政治ドラマ「チェンジ」は、反自民票が主権者勢力であった民主党に集中して流れ込まないようにするための第三極新党を創設するための舞台回しを目的として制作されたものであると私は判断してきた。
そして、このドラマ放映後に「みんなの党」結成の動きが本格化した。
しかし、小沢−鳩山ラインが主導する主権者勢力としての民主党の勢いを止めることはできなかった。
2009年8月30日の総選挙を通じて、主権者政権が日本で初めて誕生したのである。
そして、最終決戦の場は、2010年7月の参院選に移された。
この状況下で、戦後最大の政治謀略事件と言える「陸山会事件」が新たに創作されたのである。
この巨大政治謀略「陸山会事件」が創作されていなければ、主権者政権は破壊されていなかったはずである。
2010年参院選は小沢−鳩山ラインが主導する民主党が勝利し、主権者政権が盤石の基盤を固めたはずなのである。
このなかで、人為的第三極政党を補強する工作活動が継続された。
その文脈のなかで、人為的に創作されたのが「橋下石原維新」の巨大宣伝活動である。
橋下石原維新が短時日のなかで、急激な拡大を遂げたが、その拡大は、マスメディアの巨大宣伝活動によって、人為的に創出されたものである。
連日連夜、マスメディアが公共の電波を占有して、橋下石原維新大宣伝を展開した。
この広報費用を通常の広告宣伝費に換算すれば、恐らく兆円単位のものになっているはずである。
「ニュース報道」という、表面的には無償の広報宣伝媒体が存在している。
既得権益の一角を占める「電」=メディアを支配する米官業トライアングルが指令して、橋下石原維新の超巨大宣伝活動が実行されたのである。
これと同時並行で進められたプロジェクトがある。
それが、小沢新党潰しである。
マスメディアは、橋下石原維新を超巨大宣伝する一方で、小沢新党を完全無視する行動を展開したのである。
2012年総選挙では、比例代表投票集計で、小沢新党得票が過小に集計された可能性もある。
これらの巨大工作活動の結果として、衆参両院で、自公と民みん維新が議席の大半を占有する状況が生み出されたのである。
民主党では、本来の主流派勢力であった主権者勢力が離党して新党を結成する歪んだ再編が行われた。
そしていま、既得権益勢力が民主党を完全に乗っ取る工作が展開され続けている。
米国が描く構想は、民主党を既得権益政党に転換し、これと、みんな、維新を合体させ、新たな対米従属=既得権益政党としての「民みん維新新党」を創設することである。
だから、今回の柿沢氏離党について、メディアは、渡辺喜美氏を悪者にする報道を展開しているのである。
食料、エネルギー、鉱物資源、兵器、原子力、金融、マスメディア
これが、世界の巨大資本が独占支配する対象である。
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