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勤労者は、働きやすくて安定した労働環境を求める。だが、この規制緩和は企業側のメリットがことさら反映されている。
厚生労働省の有識者研究会が、派遣労働者の制度を大幅に見直すべきだとする報告書をまとめた。
現行のルールは、企業が一つの業務に派遣労働者を使用できる期間を最長3年に制限している。
報告書ではこのルールを撤廃して、労働組合の同意を条件に、人を入れ替えれば派遣を使い続けられるよう求めている。
制度を大きく転換する内容といえよう。法改正に向けた議論が加速しそうだが、雇用の質こそを重視した制度にしなければならない。
今の制度では、一般業務で派遣に仕事を任せられるのは3年の上限があり、その業務で1人が2年働けば、後任者は1年しか働けない。
3年間という考え方を、現在の仕事単位の基準から労働者1人が働く期間の基準に変更して、1人が同じ業務に就ける期間を最長3年と定めるのである。
3年働いたところで、別の派遣労働者と交代させれば、派遣をずっと使い続けることができる仕組みだ。
派遣が一定期間同じ仕事ができることで、能力アップにつながるという面もあろう。
しかし、企業側にとって一番のメリットは正社員の仕事を派遣に置き換えやすくなり、人件費などのコストが抑制できることだろう。
報告書は安易な置き換えを抑えるために、労使がチェックする仕組みをつくるべきだとしているが、中小企業の多くは労働組合がなく、チェックも形骸化してしまう。
企業側が使い勝手のよくなるルール改正と言わざるを得ない。さまざまな懸念が残る。コスト削減は、経済成長に必要な賃金の上昇にも逆行するのではないか。
派遣の活用が際限なく拡大し、それがずっと継続すれば、正社員登用の門戸を狭めることにもなる。
報告書は「派遣労働者の保護」に重点を置いたというが、派遣労働者にとっても、雇用が有期なら不安定な身分であることは変わらない。
さらに、現行ルールではアナウンサーや通訳、OA機器操作など派遣期間に上限がない「専門26業務」も同じように最長3年とすることを検討すべきだとした。
IT化で専門性があいまいになったのが理由としているが、26業務で働く人は約64万人もいて、派遣労働者の半分近くを占める。新制度では安定した仕事を失いかねない。
労働者派遣法は1986年に施行され、規制緩和が続いた。2008年のリーマン・ショックで「派遣切り」が問題となり、民主党政権は12年に日雇い派遣を原則禁止などとする改正労働者派遣法を成立させた。
しかし、昨年の政権交代後のアベノミクスは規制緩和へと逆戻りする路線へかじを切ったといえる。
今回の報告書は経団連の提言に沿う内容であり、産業界寄りの考え方が色濃い。労働者の多様な意見にも耳を傾けてほしい。
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/
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