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2013年08月23日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆安倍晋三首相の「アベノミクス政策」に当初から懐疑的で批判度を強めていたドイツのしかも「連邦銀行」が、「強烈パンチ」を食らわせた。朝日新聞DIGITALが8月20日午後10時44分、「アベノミクス効果は『一時的』 ドイツ連銀が月報で指摘」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「【ベルリン=松井健】ドイツ連邦銀行は19日に公表した8月の月報で、安倍政権の経済政策『アベノミクス』について、『一時的に成長を押し上げるが、中期的には景気への効果はつかの間のものであることがはっきりする』と指摘した。報告は『日本の新しい経済政策のマクロ経済効果について』と題した章で、アベノミクスは2013年には国内総生産の成長率を1・25%押し上げる、と分析した。だが、14年には効果は弱まり、15年には逆にマイナスを見込んだ。6月に公表された成長戦略は漠然としたものだとしたうえで、『思い切った改革の予告と、何よりもその迅速な実行が待たれる』と指摘。財政健全化を重視するドイツでは、財政出動による景気刺激には以前から懐疑的な見方が強い」
確かに、アベノミクスの「3本の矢」(異次元の大胆な金融緩和、大規模な財政出動、強力な成長戦略)のうち、日本銀行の黒田東彦総裁が打ち出した「異次元の大胆な金融緩和」が、国民や経営者に大きな期待感を湧き立たせた分、「国内総生産の成長率を1・25%押し上げる」効果をもたらすだろう。だが、その後が続かなければ、景気がシュリンクするのは当たり前だ。世界から「財政再建」を求められているなかで、「思い切った財政出動」というわけにはいかない。ましてや、肝心な「成長戦略」がいい加減では、アベノミクス効果が「つかの間」に終わるのは目に見えている。それが、安倍晋三首相に対する「失望感」に変っていくことになる。
◆おまけに消費税増税について、安倍晋三首相が、自らの慧眼により「決断と実行力」を示さず、これを「有識者の意見」に頼ろうとしている姿勢では、国家最高指導者としての「権威」が損なわれ、文字通り「無責任」の誹りを免れず、「信頼感」を甚だしく喪失させる。「有識者の意見」は、天下、白日の下で聞くべきことではない。
朝日新聞が8月21日付け朝刊「3面」で「消費増税 59人どう語る」「26〜31日、政府聴取」「政権の独断 批判回避狙う」という見出しをつけて報じているように、これは、安倍晋三首相の「へっぴり腰」を印象づけるのみで、政権にとっては、マイナスである。
やはり、安倍晋三首相のしっかりした「景況感」をアピールしなくてはならない。逃げ腰では、政権は持たないと知るべきだ。
◆TPP交渉では、本当はほとんどが決まっているにもかかわらず、これからしっかり交渉するなどと、ウソをついてはならない。そもそも、甘利明経済産業相は、米国に「お褒めをいただいて大喜びする」態度であり、一体、だれのために交渉しているのか疑わしい。はっきり言えば、交渉などちっとも行っていないのである。その結果は、間もなく明らかになる。その時、「国賊の正体」が白日の下に晒される。そして、安倍晋三首相は、内閣支持率低下の恐怖に苛まれ、政権維持に汲々とすることになる。
◆安倍晋三首相にとって、最大の致命傷となるのは、言うまでもなく、東京電力福島第1原発の「放射能汚染水漏れ」という未曽有の大事故である。いまのところ、これを食い止める手立ては、皆無という極めて絶望的な状況にある。原子力規制委員会は8月21日、8段階の国際基準に当て嵌めて上から5番目の「レベル3」(重大な異常事象)に相当すると発表した。しかし、「重大な異常事象」とは、極めて科学用語的で、切迫感がない。これは、「重大な異常事態」と言うべきであろう。太平洋沿岸国のカナダや米国などに被害を及ぼし、国際問題でもあるからである。
ところが、どうしたことか。安倍晋三首相は、のんびり構えている。それどころか、ゴルフ三昧の「夏休み」を謳歌していた。原子力規制委員会の発表にもかかわらず、何の発言もしていない。一体、この総理大臣は、国民の健康被害、他国に対する迷惑をどう考えているのか、不信感は募るばかりである。
安倍晋三首相の「ボロ隠し」粉飾政権が招く国民不信と弱体化が、すでに始まっているのは、確かである。これに対して、野党は「打つ手なし」とあって、国民の絶望感は、もはや止めようがない。
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