http://www.asyura2.com/13/senkyo152/msg/809.html
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雇用の不安定化を加速する引き金とならないか。そんな懸念を抱かざるを得ない内容だ。
厚生労働省の有識者研究会が、労働者派遣制度の制限を緩和すべきとする報告書をまとめた。
派遣労働者の利用期間を一業務につき最長3年としている現行ルールを廃止し、人を入れ替えれば派遣を使い続けられるようにするのが柱だ。
労働組合の同意を条件にしているが、組合がない中小企業ではチェックが働かない恐れがある。正社員が受け持つ仕事の派遣への置き換えや、非正規雇用の固定化が進む不安はぬぐえない。
正規雇用とは別の労働市場が形成されているとして派遣の上限が設けられていなかった翻訳など「専門26業務」についても、区分の廃止を提言した。一つの職場に安定して働いていた人が、新たな制度では3年を過ぎると別の派遣先に移らねばならず、失業する可能性もある。
2008年のリーマン・ショック後に「派遣切り」が社会問題化し、民主党政権は労働者保護の観点から派遣労働に規制を設けてきた。報告書は、企業の活動のしやすさを重視する安倍政権の方針や経団連の提言に沿い、これまでの流れを大きく転換する内容になっている。
非正規労働者に占める派遣労働者の割合は、08年の7・9%から12年には5・0%と低下傾向にある。だが、雇用者にとっては直接責任を負わずに使え、他の非正規雇用に比べて利用が拡大しやすい労働力であることを忘れてはならない。
一方、働く側にとってはキャリアアップを図りにくいなど、多くの問題点がある。そのため、規制の必要性が常に指摘されてきた。
雇用が不安定で所得の低い非正規雇用の拡大は、少子化や国内消費の縮小、税収減などの大きな要因となっている。不本意な派遣労働に従事する人が多数いる状況を改善せずに、規制を緩和する施策を推し進めれば、事態がさらに悪化する恐れがある。
企業も非正規雇用拡大の悪影響にもっと目を向けるべきだ。人間をコストとしか見ない姿勢から非正規化を進めたことで技術・ノウハウの維持や長期的な企業戦略に支障が出て、競争力を失う。そんな悪循環の反省から、契約社員の正社員化にかじを切る企業も出てきている。
派遣制度の議論は、労使代表らが参加する労働政策審議会に移る。非正規労働の拡大による社会や経済への影響という視点で慎重に議論すべきだ。
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201308/0006271926.shtml
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