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2013年8月21日 植草一秀の『知られざる真実』
8月10日付ブログ記事
「深刻化する安倍軍国路線と民意の激しい「ねじれ」」
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-360d.html
メルマガ第635号記事
「首相目前で安倍軍国路線糾弾長崎市長の快挙」
に記述したが、東電の福島第一原発事故処理の矛盾がさらに拡大し、抜本的な処理方法変更が迫られている。
8月21日付東京新聞=中日新聞「こちら特報部」は、
「東電再建すでに限界」
「破綻処理が大前提」
の見出しでこの問題を取り上げている。
本ブログ、メルマガでは、8月10日付記事に以下のように記述した。
「東電福島第一原発では、放射能汚染水が海洋に垂れ流しされている。
放射能汚染水の海洋への流出を防ぐための措置にかかる費用を政府が負担する方針が示されているが、株式会社として上場を継続されている民間会社である東電に対する政府からの公的資金投入は説明がつかない。
原発事故発生当時に存在した原発事故の損害賠償に関する規定を盛り込んだ唯一の法律は「原賠法」であった。
「原賠法」の規定では、原発事故の損害賠償負担は当該事業者が負うこととされている。
例外は、異常に巨大な天災地変と社会的動乱による自己の場合で、今回の事故はこの例外規定には該当しない。
原発事故を引き起こした程度の地震と津波は歴史的に何度も発生したことが確認されてきており、「異常に巨大な天災地変」には該当しないからだ。
そうなると、原発事故の損害賠償等の費用負担は東電が負わなければならない。
ところが、東電の純資産額よりも、損害賠償費用がはるかに大きいため、現在価値に換算して、東電は大幅な債務超過に陥る。
したがって、東電を法的に整理し、東電を政府支配下に置いて、政府の責任で原発事故処理を進める以外に、適正な方法はなかった。
ところが、政府は東電を法的整理せずに公的資金で東電を救済し、株式上場を継続させている。
東電を法的整理すると、株主、債権者、経営者が責任を問われる。
財務省の最大の天下り機関である日本政策投資銀行は、東電のメインバンクであった。
東電が法的整理されると日本政策投資銀行が大きな損失を計上しなければならなくなる。
この事情から、不当に東電が救済され、現在に至っている。
ルールがあるのに、正当な理由なくそのルールを適用しない。
その理由は、財務省の天下り機関擁護にある。
このような歪んだ政策対応が大手を振ってまかり通る国。それが日本の現状である。
株主責任、債権者責任などが適正に問われることもなく、すべての負担が国民に押し付けられるのは、政治家が自分の利権確保に走っているためでもある。
大変悲しいことだが、日本政治・行政のレベルは完全なる「後進国」である。」
法治国家、近代国家の流儀は、ものごとのルールを明確に定めて、問題が生じた場合には、そのルールに則って処理をするというものだ。
身体の自由など、基本的人権の根源に関わる身体の自由などの制限に関わる刑事司法の問題においては、罪刑法定主義の言葉が使われる。
罪刑を科すには、あらかじめ法律によってその内容を明記しておくことが求められる。
原子力はそもそも重大な危険を伴う存在である。
このことから原賠法が定められ、原子力事故が生じた場合に損害賠償についての定めを置いてきた。
その原賠法に次の規定が置かれている。
(無過失責任、責任の集中等)
第三条 原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
さらに、賠償原資が枯渇する場合に備えて、次の条文も置かれている。
(国の措置)
第十六条 政府は、原子力損害が生じた場合において、原子力事業者(外国原子力船に係る原子力事業者を除く。)が第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき額が賠償措置額をこえ、かつ、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なうものとする。
2 前項の援助は、国会の議決により政府に属させられた権限の範囲内において行なうものとする。
原賠法は、原子力事故が発生した場合、原発事業者に損害賠償責任を課している。
例外となるのは、
「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるとき」
であり、この場合には、法律の規定の限りではないとされている。
上記したように、東電福島第一原発事故は、「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたもの」ではない。
過去に発生したことのある規模の津波と地震によって生じた事故であり、津波対策については、独立行政法人産業技術総合研究所などが、再三、その不備を指摘してきたものである。
損害賠償は事業者である東電が負わねばならない。
しかし、損害賠償金額は東電の純資産をはるかに超える規模であるため、東電はすでに、実質債務超過状態にあり、資本主義のルールによって法的整理しなければならないものである。
東電を法的整理すると、損害賠償に支障が生じるとの意見があるが、これは正しくない。
上記原賠法第十六条の規定により、損害賠償資金が枯渇する場合は、国会の議決により、国が資金援助できるのである。
東電の法的整理と、損害賠償は完全に両立できるのである。
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