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原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」を、子どもが自由に閲覧できない「閉架」とするよう、松江市教育委員会が市内の全小中学校に求めていたことが分かった。
作品の中に、兵士が首をはねたり女性を乱暴したりする場面があることから、昨年末に要請したという。これを受け、各学校は本の閲覧には教員の許可が必要とし、貸し出しも禁止している。
市教委の対応に、自由な閲覧を求める電話やメールが相次いでいる。
戦争のむごたらしさを知り、平和について考えるのは、大切な学習行為である。貴重な教材になり得る作品を子どもの目から遠ざける。そんな市教委の対応は、とても教育的な配慮とは言い難い。撤回を求めたい。
はだしのゲンは、昨年末に亡くなった漫画家の中沢啓治さんが、自らの被爆体験をもとに描いた。日本での総発行部数は1千万部を超え、英語や韓国語、ロシア語などにも翻訳されている。
作品を読んで広島の原爆や戦争について考えたという小中学生は少なくない。子どもが持つ戦争イメージや平和観に最も大きな影響を与えてきた作品の一つといえるだろう。
戦争の生々しい描写には、読者から抗議の声もあったというが、原爆の怖さを知り、二度と戦争を起こしてはならないという中沢さんの願いが作品には込められている。全国の図書館に収蔵されているのは、その願いに共鳴する人々がたくさんいるからだ。
市教委の対応のきっかけは、「間違った歴史認識を植え付ける」として学校図書館からの撤去を求める市民の陳情があったことだ。市議会は全会一致で不採択としたが、「過激」な描写を問題視する一部議員の意見があり、閲覧制限につながった。
戦争中の軍の行為や歴史認識については、さまざまな意見がある。だからこそ、意見をぶつけ合い、共に考える。それが教育の原点ではないか。そのことを抜きに、作品の自由な閲覧を妨げるようでは、学ぶ機会を子どもから奪うことになりかねない。
教育委員が出席する会議に諮らず、市教委事務局が独断で対応を決めた手続きにも問題がある。
松江市教委は、近く教育委員会会議を開き、閲覧制限の是非をあらためて協議するという。表現の自由や知る権利の過度の規制から、豊かな発想や判断力は育たない。良識ある対応を望みたい。
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201308/0006268916.shtml
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